SIAD(syndrome of inapropriate antidiuresis)
※SIADは副腎不全、下垂体機能不全、甲状腺機能低下症、利尿薬副作用を除外した後の除外診断である。
原因
薬剤(カルバマゼピン、アミトリプチン、PPI、Caブロッカー)
COPD
中枢性疾患
悪性腫瘍
尿中Na排泄は亢進(尿中Na>20mEq/L)
・ADHが過剰に分泌され、循環血漿量増加し、RAA系が抑制され、アルドステロンの分泌が抑制され、尿Na排泄が亢進する(尿中Na>20mEq/L)
・生理食塩水を点滴してもあまりNaが上昇しない場合、SIADを疑う
・SIADの低Na血症は、体水分増加による希釈性と、尿中Na排泄増加によるNa喪失の両方の要因によって生じる。
体液量が増加しない理由:
・SIADの状態が続くと、ADHの抗利尿作用の減弱(エスケープ現象)を生じ、それ以上の水貯留の進行が抑制されるため、循環血漿量の増大はせいぜい10%程度にとどまり、臨床的に明らかな浮腫は認めない。
診断基準
必要条件
・血漿浸透圧<275mOsm/kgH2O
・尿浸透圧>100mOsm/kgH2O
・臨床的体液正常
・体液減少所見なし
起立性変化なし(立位への体位変換時収縮期血圧20mmHg以上の低下、または20/分以上の脈増加)
頻脈なし
ツルゴール低下なし
口腔粘膜乾燥なし
・体液量増加所見なし
浮腫なし
腹水なし
・尿ナトリウム>40mEq/L(塩分摂取は通常通りの場合)
・内分泌異常なし(甲状腺機能低下なし、副腎不全なし)
・利尿薬使用なし(評価の1週間以内)
補助診断
・尿酸<4mg/dL
・BUN<10㎎/dL
・FENa>1%、FEurea>55%
・0.9%生理食塩水投与で改善せず
・水分制限で改善
中枢性塩類喪失症候群(cerebral salt wasting syndrome;CSWS)
・脳外科手術や脳損傷により、ナトリウム利尿ペプチドが放出され、それが直接腎臓に作用しナトリウム利尿を来す
・ナトリウム利尿による多尿を来す
・循環血漿量は減少する(SIADと違い脱水になる)
・治療は生食輸液
鉱質コルチコイド反応性低Na血症(mineralcorticoid responsive hyponaturemia of elderly)
・高齢者で、腎でのNa保持能の低下により体液量低下をきたすが、RAA系の賦活化も不十分なため、代償的にADHが亢進し水分保持を招いて低Na血症になる。
・体液量は減少している
・治療はフルドロコルチゾン(フロリネフ)投与
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