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むずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome)

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疾患

・夕方~夜間にかけて下肢を中心に異常感覚を訴える疾患

・間脳の背後側視床下部に存在するA11細胞群におけるドパミン活動低下が、抑制性投射系の機能不全をもたらし、その結果、脚の筋肉からの筋求心路を介した体性感覚入力が増大することが原因と考えられている

 

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症状

・睡眠障害をきたすことがある

・睡眠中の周期性不随意運動(周期性四肢運動:periodic limb movemets during sleep:PLMs)を伴うことが多く、これも熟眠感欠如や中途覚醒の原因となる

・日内変動が問診で重要

鉄代謝には日内変動があり、血清鉄濃度は真昼に高くなり、真夜中に低くなるという特徴がある。この鉄代謝の特徴はが夜にかけて症状が出現し、悪化するムズムズ脚症候群の日内変動と関係していると考えられている

・有力な説として脳内の神経伝達物質の1つであるドパミンの機能障害や鉄が関与していると言われている。

・下肢に限らず、上肢や体幹にも症状が生じることもある。

・「ふるえ」「いたみ」「ほてる」などの訴え

・下肢を動かすことで改善する(問診「トイレに歩くと楽になりますか?」)

 

4徴

① 脚を動かしたくてたまらなくなる欲求(urge to move)

② 安静臥床ないし座位で出現ないし悪化(worse at rest)

③ 脚を動かすことにより改善(relief by movemet)

④ 夕方~夜間に増悪(worse at night)

 

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原因

「特発性(一次性)」と「二次性」に分けられる

鉄欠乏・フェリチン低値は二次性RLSの原因および特発性RLSの症状増悪の原因になる

※ 鉄はドーパミンを作る律速酵素であるチロシンヒドロキシゲナーゼの活性に必要である

※ 若年女性では鉄欠乏と関連あり(→フェリチン、血清鉄、TIBC測定)

 

特発性(一次性)

・約30%に「家族集積性」がみられ、常染色体優性遺伝の可能性が指摘されている

 

二次性

・パーキンソン病

・腎不全、尿毒症

・関節リウマチ

・鉄代謝異常(鉄欠乏)

鉄欠乏・フェリチン低値は二次性RLSの原因および特発性RLSの症状増悪の原因になる

若年女性では鉄欠乏と関連あり(→フェリチン、血清鉄、TIBC測定)

・妊娠

・睡眠時無呼吸症候群
・薬剤性(SSRI、抗精神病薬、ドパミン遮断薬、抗ヒスタミン薬など)

 

診断基準(International RLS Study Group2014年)

・病歴を聴取し、臨床症状、臨床的特徴を把握し、「5つのの必須診断基準」すべてが十分に満たされた場合にRLSと診断される。

・必須診断基準を1つでも満たさない場合は、「診断を補助する4つの特徴」を加味して判断する

 

1) 病歴を聴取

家族歴、不快感の出現部位、不快感を感じる状態、時間帯など

 

2)鑑別診断

・検査:終夜睡眠ポリグラフ(周期性四肢運動の把握)、アクチグラフなど

・鑑別疾患:筋肉痛、関越炎、多発性神経障害、静脈うっ滞、こむらがえり、特定の体位における不快感、下肢浮腫、アカシジア、線維筋痛症 など

 

3)5つの必須診断基準

① 脚を動かしたいという強い欲求が、常にではないものの、不快な下肢の異常感覚に伴って、あるいは異常感覚が原因と感じて起こる

② その強い欲求および異常感覚が、静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、あるいは増悪する

③ その強い欲求におよび異常感覚は、運動によって改善する

④ 安静時におけるその強い欲求および異常感覚が、日中より夕方・夜間に増悪する

⑤ これらの特徴を持つ症状が、他の疾患・習慣的行動で説明できない(除外診断)

 

診断を補助する4つの特徴(診断に必須ではない)

① 睡眠中あるいは安静時の周期性四肢運動の合併

② ドパミン作動薬(ドパミンアゴニスト)が不快感の軽減に効果を持つ

③ RLSの家族歴がある

④ 日中の強い眠気がない

 

 

治療

フェリチン、血清鉄、TIBC測定

・「血清フェリチン濃度<50μg/dL」、または「トランスフェリン飽和度(Fe/TIBC×100%<16%)」の場合、

フェリチン濃度が50μg/dLを超えるまで鉄剤投与

 

ドパミン受容体作動薬

プラミペキソール(ミラペックス®、ビ・シフロール®)0.125mg錠

ドパミン作動(脳ドパミンD2受容体刺激作用)

※妊婦には禁忌

1~2錠、就寝1~2時間前に服用

最大4錠(0.5㎎)まで増量可

 

ロチゴチン(ニュープロパッチ®)

 

ガバペンチン・エナカルビル(レグナイト®)

・夕食後300~600㎎

 

 

 

総合診療 2022年11月号 不定愁訴にしない“MUS”診療ー病態からマネジメントまで
 

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