疾患
・SAPHO症候群とは、synovitis(滑膜炎)、acne(ざ瘡)、pustulosis(膿庖)、hyperostosis(骨過形成)、osteitis(骨炎)の頭文字をとった疾患概念。
・強直性脊椎炎や炎症性腸疾患の合併、一部にHLA-B27陽性の頻度が高いとする報告があり、脊椎関節炎(SpA)や炎症性腸疾患との関連を示唆する意見もある。
疫学
・日本人に多く、男女比は女性にやや多い。
・青年~高齢者まで幅広い年代で発症するが、中年を中心とした年代に発症しやすい(平均診断年齢51.8歳)
・60歳以降はまれ。
・喫煙者に多いとされる
・「掌蹠膿疱症」(手掌や足底に無菌性の膿疱を認める)患者の約10%に経過中に発症する
症状
・皮膚症状として「掌蹠膿疱症」(手掌や足底に無菌性の膿疱を認める)(50%)、「皮膚乾癬」(25%)、「重度のざ瘡」(9%)など
・皮膚病変を認めない症例も16%ある
・前胸部の骨炎や骨化(胸肋関節、胸鎖関節、胸骨柄、鎖骨、上位肋骨、肋軟骨)を高頻度に認める(65~90%)
・長管骨病変(骨硬化、骨皮質の肥厚、骨周囲の仮骨形成)
・扁平骨病変(腸骨、下顎骨、頭蓋骨)を10%で認める
・下顎骨の慢性特発性骨髄炎症例の85%がSAPHO症候群の診断基準を満たすため、原因不明の下顎骨骨髄炎では後にSAPHO症候群に移行する可能性があることを銘記しておく
・他に、脊椎や仙腸関節炎、膝、足首、手足などにも関節炎を伴うことがあります。
・SAPHO症候群では強直性脊椎炎や炎症性腸疾患の合併、一部にHLA-B27陽性の頻度が高いとする報告があり、脊椎関節炎(SpA)の1つとする意見もある。
検査
・骨病変の評価に骨シンチやPET-CTが有用
予後
・13%は3~6か月程度の経過で改善し再発を認めない
・35%は寛解と再燃を繰り返す
・52%は軽快・増悪を繰り返し慢性化する
・慢性化リスク:前胸部病変、皮膚病変、炎症反応陽性
治療
確立されたものはない
・NSAIDsによる対症療法
・抗菌薬
・ステロイド
・DMARD
・抗TNF-α阻害薬
・ビスホスフォネート点滴(骨痛に対して)
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