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骨・関節感染症(化膿性関節炎):一般医の対応

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原因

・化膿性関節炎の多くは他部位からの細菌の血行性散布により発症する(感染性心内膜炎など)

・リスクファクターとして、静脈薬物注射使用患者、免疫不全患者、関節リウマチ、関節穿刺・関節内注射、人工関節など

・「淋菌性」と「非淋菌性」に大別される(→下記)

 

 

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結晶性関節炎との鑑別

・特に肩、膝(約半数)、腰部関節を侵し、約80%が単関節炎を呈する

・「痛風」、「偽痛風」関節炎との鑑別が必要

関節液の光学顕微鏡での検鏡で「尿酸ナトリウム」(痛風)や「ピロリン酸カルシウム」(偽痛風)の結晶の有無を判定する。

・手関節、股関節、足関節は穿刺が難しく、迷った場合は整形外科コンサルトが推奨される。

 

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検査

 

※ 抗菌薬の先行投与は関節液培養検査の偽陰性率を上昇させるため、

検体を提出するまでは行わないこと!

 

検査項目

・血液検査

・血液培養

・関節X線検査(関節内石灰化→偽痛風)

・関節液検鏡(尿酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム)

・関節液グラム染色(感度50%→偽陰性の可能性)

・関節液培養(感度60%)

・関節液白血球数(25000/μL以上でLR+2.9)

・尿試験紙法で白血球エラスターゼ反応陽性(1+~2+)かつ糖陰性
←血液混入を避けるため、遠心(6600回転/分で2~3分)

 

起炎菌

・多くは他部位からの細菌の血行性散布により発症する(感染性心内膜炎など)

・その他、関節穿刺や関節内注射も発症リスク

 

淋菌性と非淋菌性

・淋菌性と非淋菌性に大別される。

淋菌性

・若年者に多い

・尿道(参照:尿道炎)、子宮頚管、直腸、咽頭粘膜に付着した淋菌が播種した結果として起こり、性的活動性の高い若年者の化膿性関節炎の原因として最も頻度が高い

・移動性関節炎を呈する

※ 移動性関節炎:急性関節炎が数日を掛けて軽快した後、別の関節炎が起こる現象。淋菌性の他に、リウマチ熱、サルコイドーシス、SLE、ライム病、感染性心内膜炎などでも起こる

・治療は第3世代セフェム。単回投与で速やかに反応するのが特徴。治療は約2週間

 

非淋菌性

・ブドウ球菌や連鎖球菌が多い

・結核など

 

結核性関節炎との鑑別

・高齢者では稀に結核菌による結核性関節炎を認めることがある

・皮膚に瘻孔を生じて排膿を認め炎症所見に乏しい場合(冷膿瘍)は結核性関節炎を疑い、全血インターフェロン-γ応答測定法(T-スポットやQuantiFERON)での結核性感染の確認と、関節液の抗酸菌培養による確定診断が必要

 

治療

MSSA:

・セファゾリン(CEZ) 1回2g 8時間毎

・MRSAまで考慮する場合はバンコマイシン

連鎖球菌、腸球菌:

・PCG 1回200~400万単位 4時間毎

または

・ABPC 1回2g 6時間毎

グラム陰性菌、淋菌:

CRTX 1回2g 24時間毎

 

人工関節感染

起因菌

・表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌が大半

・まれにCoryneobacterium 、Bacillusなどのグラム陽性桿菌、カンジダなど真菌の報告もある

 

治療

1)人工関節除去

 

2)保存的治療

※黄色ブドウ球菌の場合は少なくとも経静脈的に4~6週間加療する

MSSAを想定する場合:

・セファゾリン(CEZ)1回2g 8時間毎

+リファンピシン(RFP)150mg 1回3カプセル 1日1回

MRSAやCNSを考慮する場合:

・バンコマイシン+リファンピシン(RFP)150mg 1回3カプセル 1日1回

 

 

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