夜間、休日でも緊急でワークアップする必要があるか、あるいは経過観察でよいかの判断
※ 敗血症になっていないかを判断すること!
qSOFA
「SBP≦100」
「RR≧22」
「GCS<15」(意識変容)のうち2つ以上あれば「敗血症疑い」
+αの所見
・SIRSの診断基準のうち、採血なしでわかる2項目
体温:38℃以上または36℃以下
脈拍数:90以上
を合わせた5項目をチェック
・上記とは独立した項目として、「悪寒戦慄」の有無のチェック
qSOFA+α
→あれば菌血症の可能性が28%ある
→緊急ワークアップを!
市中菌血症の原因
尿路感染症(腎盂腎炎、または前立腺炎)と胆道感染が2大原因。
1)尿路感染症
腎盂腎炎と無症候性細菌尿の鑑別
・「CVA叩打痛」の有無が大事!
・意思疎通が困難な高齢者では表情の変化を見て判断する
・翌日に陽性になることもある(初日陰性でも翌日に再度診察を)
尿閉の有無の確認:恥骨上聴性打診
・恥骨結合の上縁に聴診器膜型の下縁を置く
・臍より上の辺りから、指で打診しながら下方に降りてくる
・音が急に大きくなり、響くようになった場所が膀胱の頂点
・頂点の位置と恥骨結合上縁との距離を測る
(参考:聴診器のダイアグラムの直径は5cm)
6cm:膀胱容量が200mL→残尿が多いと判断
8cm:250mL以上
9cm:500mL→水腎症、腎後性腎不全を起こす危険性あり→導尿の適応
直聴診の併用
・尿閉があった場合、直聴診を実施すると原因が分かる
→前立腺肥大の有無、前立腺の圧痛(前立腺炎)、肛門括約筋トーヌス低下(→神経因性膀胱)
2) 胆道感染症
・高齢者では総胆管結石、閉塞性化膿性胆管炎が多く、「心窩部痛」や「嘔吐」、「ショック」を来すことがある
(→心筋梗塞との鑑別が必要→心電図、心エコ-、胆道系エコーで鑑別)
・無痛性黄疸の場合がある(→悪性疾患)
・閉塞性化膿性胆管炎ではMurphy徴候は陽性になりにくい(感度30%)
→「肝叩打痛」が有効!(認知症でも顔の表情で判断できる)
入院患者の発熱で考えるべき原因(6D)
・3大感染症である「肺炎」「尿路感染症」「胆道感染症」をまず考える。
・加えて「入院発熱の6D」を考える。
医原性の3つのD
・Drug(薬剤):抗菌薬、抗痙攣薬
・Closttidioides Difficile(偽膜性腸炎)
・Device(血管内ライン、経鼻胃管、シャントなど)
寝たきりの3つのD
・DVT
・Decubitus
・CPPD(結晶性関節炎):偽痛風、痛風
入院患者における非感染性疾患による発熱の鑑別
1)急性の高熱
・急性心筋梗塞、肺塞栓
・薬剤熱
・頭蓋内出血
・消化管出血
・輸血後反応
・痛風発作
2)遷延する微熱
・無気肺
・胸水、腹水
・静脈炎
・血管内脱水
・乾燥した壊疽
・深部静脈血栓症
fever work up検査
・基本3点セット
「胸部X線」「尿定性検査」「血培2セット」
・加えて、
下痢があれば「CDトキシン」
手術部位の感染徴候があれば「創部浸出液グラム染色、培養」
入院早期であれば「COVID-19」検査
を適宜実施する。
総合診療 2022年5月号 「診断エラー」を科学する! セッティング別 陥りやすい疾患・状況
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