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レジオネラ肺炎

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疾患

Legionella pneumophilaが原因。

・細胞内寄生菌(→細胞内活性が低いβラクタム系は無効)

・70種類以上の血清型があるが、1型が80%

・グラム陰性桿菌(ヒメネス染色)

・温泉や循環式浴槽、冷却塔水で増殖

・汚染されたエアロゾルが飛散し吸入することでヒトに感染する

・ヒトからヒトへの感染はない

・培養にはBCYE培地という特殊な培地が必要で、検査可能施設は限られる

 

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感染経路

・レジオネラ属は水や土壌中に生息し、エアゾルとして吸引することで肺に感染を起こす

・温泉や循環式浴槽、冷却塔水で増殖

・細菌を含むエアロゾルを吸入することで感染。レジオネラの伝播と関連をもつエアロゾルの発生源は、空調機の冷却塔、温水と冷水の水まわり、噴水、加湿器、ジェットバス・スパなど

・空調設備や入浴施設、院内感染などで集団感染を起こすことがる

・感染は免疫力の弱った入院患者では、細菌を含んだ水や氷を誤嚥することででも起こり得る。

※ 人から人への直接感染はない。

 

 

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病歴

・温泉(掛け流しでない)

・土壌(土いじり)

・造園業、ガーデニング

・屋外の配管工事

・肝不全、腎不全

・糖尿病

・悪性疾患

・喫煙

・免疫不全状態

 

 

臨床症状

肺外病変を伴うことがあり、細菌性肺炎との鑑別に参考となる

・せん妄、意識障害などの神経症状

・高熱(大半が≧39℃)

比較的徐脈(「39℃では110番」39℃で110回/分以下の脈拍数)

・消化器症状(下痢)

・筋痛の訴え(横紋筋融解症、CK上昇)

・低ナトリウム血症、低リン血症

・急性腎不全

・肝トランスアミナーゼ上昇

・βラクタム系が無効の病歴

・数日で急激な陰影拡大悪化

 

レジオネラ肺炎のハイリスク者

下記のハイリスク患者背景から疑うこともできる

・慢性肺疾患

・喫煙者

・高齢者(>50歳)

・ステロイド治療中

・化学療法中

・hairy cell leukemia

・固形腫瘍

・TNF阻害薬療法中(アダリズマブ)

TNF阻害薬によりマクロファージやT細胞が肉芽腫を形成できず、その結果結核や非定型抗酸菌、レジオネラなどの細胞内寄生菌を抑制できなくなる

・移植レシピエント

 

検査

血液検査所見

・低Na血症(SIADHによる)→原因不明の低Na血症をみたら、レジオネラも鑑別に上げる

・低P血症

・腎機能障害(横紋筋融解症によるミオグロビン尿による機序や、レジオネラによる直接的な尿細管間質障害)

・肝機能障害

横紋融解症(レジオネラ自体が直接筋に侵入することや、エンドトキシンが関与することが推測されている)

CK、LDH上昇

 

画像検査

・胸部CT:

浸潤影主体パターン、すりガラス陰影主体パターンなど

すりガラス陰影の中に境界明瞭な浸潤影が混在する画像パターンが特徴的

 

 

細菌検査

※グラム染色や一般的な培養検査では検出困難

 

レジオネラ尿中抗原検査(第一選択)

・2019年より1~15型を検出するキットが販売

・感度70%、特異度99%→陽性なら確定、しかし陰性でも除外はできない

 

喀痰PCR検査(LAMP法):

全てのレジオネラ属と血清型を検出できる
所要時間:2~3時間で結果判明
感度90%、特異度100%

 

 

治療

キノロン系かマクロライド系(テトラサイクリン系は耐性化があり、第一選択では用いない)

例)第一選択:キノロン系

LVFX 500㎎/日(必ず結核を除外してから)

 

例)マクロライド系

AZM(アジスロマイシン(ジスロマック®))

500㎎/日 7~10日間

 

レジオネラ症を診断したら

「レジオネラ症」は、感染症法上の四類感染症に分類されております。

全数報告対象であるため、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければいけません

 

 

 

参考文献

抗菌薬ドリル 実践編〜臨床現場で必要な力が試される 感染症の「リアル」問題集
羽田野 義郎
 

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