概念
・「成長痛」は、“幼児から思春期の成長期に起こる子どもの下肢の「特有の症状や特徴をもつ痛み」の総称。
・年齢は2~14歳にみられ、好発年齢は3~5歳の幼児である。
・病名と言うより「幼児期の繰り返す下肢の痛みで、特に骨や関節の治療すべき病気を認めない場合の症状」である。
・子どもが夕方から朝方にかけて「膝のまわり」「足の甲部分」「かかと」「股関節」部に痛みを訴えるものの、朝になると痛みはなく、検査をしても原因が見つからない。このような場合は「成長痛」と診断される。
(「夕方から夜間に突然下肢を痛がる」、といって来院した場合に本症を疑う)
・関節炎などの痛みの場合、疼痛部位が特定できるのに対し、成長痛ではばくぜんと「この辺りの痛み」としか答えられないことが多い。痛みの程度もさまざまである。
・成長痛の多くは活動中ではなく、主に夕方から朝方の時間帯に痛みを訴えることが多いことが特徴。
・朝には痛みが治まっていて、病院でレントゲンなどの検査を行っても問題を発見することができないことがほとんどである。
・痛みは下肢(股関節から足)で起こることも特徴の一つである。
・疼痛部位は膝から足部に多く、疼痛発生時刻は夕方から夜半にかけて多いのが特徴。
診断基準(試作)
1)疼痛は8時間以上持続しない
2)来院時には無症状である
3)診察上圧痛,腫脹などの異常所見を認めない
4)単純X線検査で異常を認めない
上記4項目とも満たす場合に「いわゆる成長痛」と診断する
「いわゆる成長痛(小児の一過性下肢痛)の診断基準作成の試み 横井広道ら、中国・四国整形外科学会雑誌 25(3): 495-495, 2013.」
治療
・痛みに対する特別な治療方法はない。
・疼痛時には、疼痛部位をさすったり、外用剤を貼付するなどの処置で様子をみる。
・消炎鎮痛剤の内服あるいは坐薬使用は基本的に不要
・1回10分×1日2回の下肢筋のストレッチ運動が疼痛の軽減に有効との報告もあるが、理学療法や運動療法の適応はほとんどない。
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