参考
本邦での脳卒中後てんかんの診療実態に関する多施設アンケート調査結果
疾患
・てんかんの有病率は一般人口 1,000 人あたり 6.38 人,年間発症率は 10 万人あたり 61.44 人とされる
・てんかんの発症率は乳幼児と高齢者に多く 、高齢期に発症するてんかんの原因は脳卒中が 30~40%(最多),脳腫瘍や頭部外傷,アルツハイマー病などの器質的疾患が 10~20%を占める 。
・脳卒中後てんかんは脳卒中患者の 3~12% にみられ,脳卒中の後遺症として注目されている.
・高齢者てんかん(65歳以上)は、1%以上の頻度である。 高齢者てんかんの一番多い原因疾患は脳卒中である。
・脳卒中後てんかんの発作型は,大部分が部分発作や二次性全般化である.時に痙攣がなく,麻痺等の神経脱落症状や非痙攣性てんかん重積状態による意識障害を来すこともある.
・脳卒中の再発や電解質異常,不整脈,薬剤に伴う痙攣と鑑別するため,血液検査や頭部 CT,頭部 MRI,脳波検査などによる評価を行うことが望ましい.
・ルーチン脳波検査におけるてんかん性放電は診断の重要な指標の一つとなるが,1 回の脳波検査でてんかん性放電を検出できるのは 50%以下といわれており ,感度は決して高くはない.
・急性期に関して,近年ではてんかん発作が 10 分以上 しくは 5 分以上 続けばてんかん重積状態と診断し治療を始めるように推奨されている.
・本邦では明確な脳卒中後てんかんのガイドラインはないが,高齢発症てんかんの部分発作に対して,合併症のない場合はカルバマゼピン,ラモトリギン,レベチラセタム,ガバペンチンの順に推奨され,合併症のある場合にはレベチラセタム,ラモトリギン,ガバペンチンの順に推奨される.
・なお,全般発作にはラモトリギン,バルプロ酸,レベチラセタム,トピラマートの順に推奨される.
・脳卒中後てんかんに対する適切な診断および治療法については,未だエビデンスが限られている.
コメント