・日本での近代学校教育制度は1872年に成立した「学制」からと言える
・その後学習メカニズムは「行動主義的心理学」の研究を通して科学的根拠を提示されました
・1950年代に教育工学的アプローチが誕生した。これは明確な行動目標を設定し、授業を設計し、その設計に基づいて教育の実施、評価を行うことである。
・その後、認知心理学をもとにした構成主義的アプローチの発展に至っている
行動主義的教育と構成主義的教育
・行動主義的な教育観は教育工学の発展をもたらせた
・目標を定め、それに沿って方略を設定、実施し、教育評価を行う
・それまでは構造化されていなかった教育が科学的にプランニングされるようになったことは大きな成果と言えます
・しかし現実世界では教育者が教えるだけでは学習者が目標へ達成できるという保証はありません
・そのことを踏まえ、「何を教えるか」よりも「どう学ぶか」「何を学ぶか」に主眼を置いたカリキュラムの作成が妥当である
・その際のカリキュラムプランニングは教育工学の知見が使用されます
・教育とは学習者に価値ある変化をもたらすプロセスである
文献:
日本医学教育学会教育開発委員会 編. 医学教育マニュアル第1巻.医学教育の原理と進め方.篠原出版1978
・ニーズに現実的制約が加わり、目標が設定される
・学習者はその目標に到達することが求められ教育者はそれを支援することが役割である
・目標に沿って教育方略が実践され、教育方略が実践された後は評価が行われる
・評価とは「学習者を評価するテスト」が一般的に思い浮かべられるが、教育における評価は
「教育者に対する評価」「教育方略に対する評価」「目標や、その前段であるニーズに対する評価
」、そして「評価そのものにも評価」が向けられる。
・社会からのニーズ、教育者側のニーズ、学習者側のニーズを把握する
・ニーズと現実的制約を踏まえ、アウトカムを検討していく
・学習者の背景やレディネスも踏まえ学習者のニーズ評価(推定も含め)を行う
※レディネスとは?「レディネス(Readiness)」とは、学習のために必要な準備状態を意味する心理学用語のこと。学習の前提となる知識や経験、環境などが整っている状態を指しており「心身の準備性」といわれる場合もあります。
レディネスがある学習者は自ら興味を持って学習を進められます。一方、レディネスのない学習者は学習そのものに興味がなく、効果を上げることが困難とされているのです。
② 教育目標
・教育目標が学習者へ共有されないのはまるで「ゴールを知らされないマラソン」のようなものである
・また学習者のうち半分しか到達できないような目標も、教育目標としてはナンセンスと言える
・「どんなアウトカムを想定し、それを踏まえた目標とするか」が重要と言える
教育目標の大原則: RUMBA
文献3,4
・教育目標の原則に「RUMBA(ルンバ)」と呼ばれるものがある
Real:現実的で
Understandable:誰でも理解でき
Measurable:到達度が判定でき
Behaviorable:行動実行可能であり
Achieveable:到達可能である
・レクチャー、ディスカッション、シミュレーション、実習、振り返りなど、いろいろな教育方略・学習方略がある
・教育目標の到達に向けて、妥当な方法での教育の実施が必要である
・例えば、実技能力向上のためにはいくらレクチャーを行ってもスキルが向上するわけではない
・学習者がいかに学習できるかを意識した教育の実施も重要である
・課題も学習のドライブに活用することができます
・課題作成を通して、目標達成につながるような仕組みが重要である
④ 教育評価
・評価の対象は学習者だけではない
・目標は適切か、教育者の教え方は適切だったか、教育方略・学習方略は適切だったか
・さらには評価そのものについても、「その評価は本当に学習者が目標へ到達できたかどうかを適切に評価できているのか」を評価される
教育のアウトカムの考え方 :Kirkpatrickモデル
・教育のアウトカムを考える際、Kirkpatrickモデルと呼ばれるものが活用できる
Level1:Reaction:面白かったというレベル
Level2:Learnig:〇〇の知識を新たに得た
Level3:Behavior:具体的な行動が変わる
Level4:Results:結果が良いものに変わる
・Level2とlevel3の差を大きく、教育に合うとかも考える際に具体的な行動がどう変わるかというところまで考える必要がある。
・これまでに挙げたような行動主義的教育観は教育工学の発展をもたらし、教育の構造化を達成した
・しかし現実世界では、教育者が教えるだけでは学習者が目標へ達成できるという保証はない
・行動主義的教育観では、そこに限界がある
・「教育者が教えた内容」と「学習者が学んだ内容」とは必ずしもイコールではない。構成主義的教育観では、その前提に立っている
・現在の教育のトピックでは、構成主義的教育観をもとにしたものが多数存在する
5 microslkills(5マイクロスキルズ)
・成人学習理論に基づいた学習者中心の教育手法
・短時間で効率よく学習者を導くことができると報告されている
・最近は「1分間指導医モデル(One Minute Preceptor Model)」と呼ぶことが多い
・原版に下記の6番目を加えた “Six microskills for clinical teaching” 版もある
臨床教育1分間指導法(Six Micro-Skills for Clinical Teaching)
1. Get a commitment(自らの意見の促進)
主体的な意見を尋ねる:
「何が起こっていると思う?」
「(研修医の考えを聞く)先生はどう考えるの?」
2. Probe for supporting evidence(意見の根拠の確認)
考えの根拠を探る:
「どうしてそう考えたのかな?」
「(研修医から根拠を聴く)なぜそう考えたのかな?」
3. Teach general rules(一般的な知識の伝授)
広く応用可能な原則を教える:
「~を見た時はね,必ず~を念頭において…」
「(一般論を示す)ここで大事なことは・・・」
4. Reinforce what was done right(正しくできたことの支持)
正しくできたことを強化する:
「特に,~の点は感心したよ」
「(できたことをほめる)特に、・・・は良かったね」
5. Correct mistakes(誤りの是正)
間違いを修正する:
「次回~が起こった時は,~するようにしよう」
「(間違いを正す)今度は・・・しようね」
6. Identify next learning steps(学習課題の設定)
次の学習段階を明らかにする:
「次は何を勉強する必要があるかな?」
「(さらなる学習を勧める)もっと勉強するとしたら・・・」
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