- 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
- 事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う目的
- 心身の状態の情報の取扱いの原則(情報の性質による分類)
- ① 労働安全衛生法令に基づき事業者が直接取り扱うこととされており、労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
- ② 労働安全衛生法令に基づき事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが適当である心身の状態の情報
- ③ 労働安全衛生法令において事業者が直接取り扱うことについて規定されていないため、あらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要であり、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが必要である心身の状態の情報
- 事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱ってもよい場合
- 取扱規程に定めるべき事項
- 心身の状態の情報の加工
- 労働者に対する不利益な取扱いの防止
- 事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き
- 事業者が、医療保険者(健保組合等)から一般定期健康診断結果の提供を求められた場合
労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成30年9月7日 労働者の心身の状態に関する情報の適切な取扱い指針公示第1号)」
事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱う目的
(労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針)
「事業者が心身の状態の情報を取り扱う目的は、労働者の健康確保措置の実施や事業者が負う民事上
の安全配慮義務の履行であり、そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し、活用する必要が
ある。
一方、労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては、事業者が心身の状態の情報を
取り扱えるのは、労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合のほか、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等とされているので、上記の目的に即して、適正に取り扱われる必要がある。」
心身の状態の情報の取扱いの原則(情報の性質による分類)
労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
健康情報等については、以下の3つの分類に応じて、これらの情報を取り扱うことができる権限を有する者と取り扱うことのできる情報の範囲、取扱い方法等を取扱規程において明確にし、労働者に対しても周知する必要があります。
① 労働安全衛生法令に基づき事業者が直接取り扱うこととされており、労働安全衛生法令に定める義務を履行するために、事業者が必ず取り扱わなければならない心身の状態の情報
全ての情報をその取扱いの目的の達成に必要な範囲を踏まえて、事業者等が取り扱う必要がある。
ただし、それらに付随する健康診断の結果等の心身の状態の情報については、②の取扱いの原則に従って取り扱う必要がある。
例)
(a) 健康診断の受診・未受診の情報
(b) 長時間労働者による面接指導の申出の有無
(c) ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された者による面接指導の申出の有無
(d) 健康診断の事後措置について医師から聴取した意見
(e) 長時間労働者に対する面接指導の事後措置について医師から聴取した意見
(f) ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された者に対する面接指導の事後措置について医師から聴取した意見
② 労働安全衛生法令に基づき事業者が労働者本人の同意を得ずに収集することが可能であるが、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが適当である心身の状態の情報
事業者等は、当該情報の取扱いの目的の達成に必要な範囲を踏まえて、取り扱うことが適切である。そのため、事業場の状況に応じて、
・情報を取り扱う者を制限する
・情報を加工する
等、事業者等の内部における適切な取扱いを取扱規程に定め、また、当該取扱いの目的及び方法等について労働者が十分に認識できるよう、丁寧な説明を行う等の当該取扱いに対する労働者の納得性を高める措置を講じた上で、取扱規程を運用する必要がある。
例)
(a) 健康診断の結果(法定の項目)
(b) 健康診断の再検査の結果(法定の項目と同一のものに限る。)
(c) 長時間労働者に対する面接指導の結果
(d) ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された者に対する面接指導の結果
③ 労働安全衛生法令において事業者が直接取り扱うことについて規定されていないため、あらかじめ労働者本人の同意を得ることが必要であり、事業場ごとの取扱規程により事業者等の内部における適正な取扱いを定めて運用することが必要である心身の状態の情報
個人情報の保護に関する法律に基づく適切な取扱いを確保するため、事業場ごとの取扱規程に則った対応を講じる必要がある。
例)
(a) 健康診断の結果(法定外項目)
(b) 保健指導の結果
(c) 健康診断の再検査の結果(法定の項目と同一のものを除く。)
(d) 健康診断の精密検査の結果
(e) 健康相談の結果
(f) がん検診の結果
(g) 職場復帰のための面接指導の結果
(h) 治療と仕事の両立支援等のための医師の意見書
(i) 通院状況等疾病管理のための情報
事業者が労働者の心身の状態の情報を取り扱ってもよい場合
・労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合
・本人が同意している場合
・労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
※ 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
取扱規程に定めるべき事項
取扱規程に定めるべき事項は、具体的には以下のものが考えられる。
① 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
② 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
③ 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
④ 心身の状態の情報の適正管理の方法
⑤ 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。以下同じ。)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む。以下同じ。)の方法
⑥ 心身の状態の情報の第三者提供の方法
⑦ 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
⑧ 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
⑨ 取扱規程の労働者への周知の方法
なお、②については、個々の事業場における心身の状態の情報を取り扱う目的や取り扱う体制等の状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限及び取り扱う心身の状態の情報の範囲等を定めることが適切である。
※ 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
心身の状態の情報の加工
「心身の状態の情報の加工」とは、心身の状態の情報の他者への提供に当たり、提供する情報の内容を健康診断の結果等の記録自体ではなく、所見の有無や検査結果を踏まえた就業上の措置に係る医師の意見に置き換えるなど、心身の状態の情報の取扱いの目的の達成に必要な範囲内で使用されるように変換することである。
労働者に対する不利益な取扱いの防止
事業者は、心身の状態の情報の取扱いに労働者が同意しないことを理由として、又は、労働者の健康確保措置及び民事上の安全配慮義務の履行に必要な範囲を超えて、当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことはあってはならない。
以下に掲げる不利益な取扱いを行うことは、一般的に合理的なものとはいえないので、事業者は、原則としてこれを行ってはならない。なお、不利益な取扱いの理由が以下に掲げるもの以外のものであったとしても、実質的に以下に掲げるものに該当する場合には、当該不利益な取扱いについても、行ってはならない。
① 心身の状態の情報に基づく就業上の措置の実施に当たり、例えば、健康診断後に医師の意見を聴取する等の労働安全衛生法令上求められる適切な手順に従わないなど、不利益な取扱いを行うこと。
② 心身の状態の情報に基づく就業上の措置の実施に当たり、当該措置の内容・程度が聴取した医師の意見と著しく異なる等、医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの又は労働者の実情が考慮されていないもの等の労働安全衛生法令上求められる要件を満たさない内容の不利益な取扱いを行うこと。
③ 心身の状態の情報の取扱いに労働者が同意しないことや心身の状態の情報の内容を理由として、以下の措置を行うこと。
(a)解雇すること
(b)期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと
(c)退職勧奨を行うこと
(d)不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更を命じること
(e)その他労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること
※ 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針
事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き
事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き
000497426
個人データの盗難・紛失等を防止するために、以下のような物理的安全管理措置を行う。
- 個人データの保管場所の施錠
- データ保管場所への入退室管理の実施
- 記録機能を持つ媒体の持込み・持ち出し禁止
- 記録機能を持つ媒体の接続の禁止又は制限
- 離席時等におけるパソコン等のパスワードロックの実施 等
事業者が、医療保険者(健保組合等)から一般定期健康診断結果の提供を求められた場合
・事業者が、医療保険者(健保組合等)から一般定期健康診断結果の提供を求められた場合、高齢者の医療の確保に関する法律によって提供することが義務付けられている。
・したがって、労働安全衛生規則に基づく定期健康診断の検査項目のうち、高齢者医療確保法に基づく特定健康診査の検査項目に含まれる項目については、その提供は法令に基づく場合であることから、労働者の同意を得る必要はない。
・一方、労働安全衛生規則に基づく定期健康診断の検査項目のうち、高齢者医療確保法に基づく特定健康診査の検査項目に含まれない項目については、労働者の同意を得る必要がある。
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