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ガスクロマトグラフ分析

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充填カラムとキャピラリカラム

・「カラム」とは、長細い配管に、充填剤(固定相)が充填されていたり、配管の内壁に液相が塗られている物です。ガスクロマトグラフィーにおける分離は、試料注入部で気化した試料混合物がキャリアガス(ヘリウムガスなど)により移送されカラム内に入ります。カラム中では試料成分と固定相との相互作用(吸着、分配)により、試料中のあらゆる化合物を分離する場所です。その分離された成分が検出器に到達しピークを検出します。

・GCのカラムには、「充填カラム」と「キャピラリーカラム」の2種類があります。

・充填カラムはステンレスやガラスなどの内径2~4mm程度の管の中に、珪藻土などの担体に液相を含浸、塗布した充填剤、または活性炭などの吸着剤を充填したものです。

・キャピラリーカラムは、内径1mm以下のフューズドシリカや内面不活性処理ステンレスなどの中空細管の内面に、液相または吸着剤を塗布、もしくは化学結合したものです。

 

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理論段数

・理論段数とは、カラムの分離効率を数値化したものです。理論段数が大きいほど性能のよいカラムといえます。

・性能のよいカラムとは、カラム内でのピークの広がりが小さいものをさします。

・例えば、上の図に示した2つのクロマトグラムはどちらも2成分がまったく同じ間隔で溶出しています。
・しかし、一方は完全に分離していますが他方は不分離です。これは、分析に使われたカラムの性能の違いによるものです。このカラムの性能の違いを表す方法として使われるのが理論段数になります。

・充填カラムの方が単位長さ当たりの理論段数が小さい(性能が悪い)

 

理論段数

 

式1 ・・・1)  tr:保持時間, W:ピーク幅

 

理論段相当高さ(H)

・「理論段相当高さ」は,HETP と略され,「カラム効率を理論段1 段に相当する長さで表すもの」

H = L /n(L:カラム長さ,n:理論段数)となります。

・理論段相当高さHETPとは、理論段1段に相当するカラム長さをmm単位で表したものです。
・HETPが小さいほど性能のよいカラムであるといえます。

 

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渦流拡散

・渦拡散は、カラム内で移動相が通過する経路に差があること(軸方向の線速度の不均一性)によって生じる拡散のこと

・移動相の様々な異なる流路を取れることにより、拡散が起こり、これが大きければ大きいほど段高は大きくなり、つまりクロマトグラフィーの性能が低下します

・キャピラリ―カラムの方が渦流拡散が小さく、ピーク幅の広がりは抑制される

 

線速度

・線速度とは、単位時間当たりにカラムの軸方向に移動する距離を示す

 

分離度R(resolution)

・分離度R(resolution)とは、隣接する二つのピークがどの程度分離しているか表したものです。
・ピークは完全分離すると分離度は1.5以上になります。

t:保持時間(試料を注入してからピークが検出されるまでの時間)

W:ピーク幅(ピークの両側の変曲点における接線とピークの両端を結ぶ直線(ベースライン)との交点で結んだ幅です。単位は分)

 

 

 

キャピラリカラム(毛細管カラム)

 

・キャピラリーカラムとは、中空細管の内面に、液相や吸着剤を塗布、または化学結合させたものです。
・キャピラリーカラムの材質には、溶融石英(フューズドシリカ)が最も多く使用されています。これは、フューズドシリカが、高純度で表面活性点が少なく(金属含有量≦1ppm、OH基含有率<120ppm)、さらにチューブの外側をポリイミド樹脂でコーティングしているので、折れにくく取り扱いやすいためです

・内径は0.1~0.8nm程度

・市販のキャピラリカラムの多くは、液相を内壁に化学結合させたもの.(ケミカルボンディド)である

・充填カラムと比較して、キャピラリカラムは多成分を含む試料の分離分析に適している

・充填カラムと比較して、キャプラリカラムは導入できる試料は少量である

 

スプリット注入法

・「スプリット注入法」とは、キャピラリーカラムを使用する際のガスクロマトグラフィの注入手法の一つで、試料として注入した成分のうち、一部を排気してしまう方法です。

・スプリット注入でカラムに導入される部分と排出される部分の比率をスプリット比という。

・スプリット比が高くすると、排気される割合が増すことになり、スプリット比を低くすると排気量が少なくなります。

・スプリット注入法のメリットは、キャピラリーカラムは一般に試料負荷容量が小さいため、高濃度の試料を注入した際はピーク形状が悪くなってしまいます。スプリット注入ではカラムに導入される試料の量を減らせるので、良好な形状のピークを得ることができます。

 

・スプリット注入法のデメリットは、試料の一部を排気してしまい、カラムに導入される試料成分が減る分、感度はどうしても落ちてしまいます。

・感度の低い試料を取り扱う際は注意が必要です。スプリット注入で十分な感度が得られない場合は、スプリットレス注入を検討しましょう。

スプリット比とは,「カラム流量:スプリット流量」を示しており,注入試料のおよその分岐比を示している。

・よく使われるスプリット比は,内径 0.25 mm~0.32 mm のカラムでは 1 : 50~1 : 100
であるが,必要とする感度,カラムへの負荷量を考慮し,最適なスプリット比を用いて分析を行う

 

キャリアガス

・水素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが用いられる

 

ガスクロマトグラフ質量分析法

・「ガスクロマトグラフィー–質量分析法(Gas Chromatography – Mass spectrometry、GC-MS)とは、ガスクロマトグラフで分離させた種々の成分を、質量分析計で検出する方法。

・キャリアガスとして高純度ヘリウムを用いることが多い

質量分離装置、質量分析装置

・物質は、原子や分子が数多く集まってできていて、質量をもっています。この質量を測定する装置が、質量分析計です。

・『イオン源』と呼ばれる部分で原子や分子を気体状のイオンにし、高真空に保たれた分析計に導かれ、質量ごとに分けられます。この検出器の測定対象物質はイオン化する全ての化合物です。

・質量分析計にも様々な種類があり、四重極型・イオントラップ型・磁場型・飛行時間型などがあります。イオンは、高真空中を飛行させないと、他の気体分子による散乱などの影響を受けるため、高真空にしておく必要があります。一般的に使用されるのは四重極型である。

・対になっている 2 本に直流電圧と交流電圧をかけることで、決まったイオンのみを通過させることができます。

・たとえば 125 のイオンのみを通過させる設定にしておけば、それ以外のイオンは電極外へと排出されます。

 

イオン化法

・「イオン化法」とは、質量分析を行うために試料をイオン化する手法で、試料の種類や解析目的に応じて適したイオン化法を選択することが精度良く質量分析を行うための重要な要素です。

・GC-MSにおけるイオン化法の例としては、次のようなものがあります。

電子イオン化(EI)法:

・GC部で気化した試料分子にフィラメントから放出された電子を当てることでイオン化させる手法です。

・GC-MS分析で最も一般的な手法で、他のイオン化法と比較してフラグメンテーションを起こしやすいため、分子の構造解析に広く活用されています。

 

FI(Field Ionization)法:

・高電界中における試料からエミッター(陽極)への電子移動(トンネル効果)により試料をイオン化する手法です。

・GC-MSは、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS)を連結した複合分析装置で、GCで成分を分離し、MSでイオン化された成分を質量分析します。

 

 

電子捕獲検出器(Electron Capture Detector:ECD)

・ガスクロマトグラフィーで用いられ、有機ハロゲン化合物、ニトロ化合物、アルキル水銀などの親電子性の物質を選択的に高感度で検出できる検出器のこと。

・検出器内部にはニッケル63(63Ni)というβ線を出す放射性同位元素が封入されており、キャリアガスとメイクアップガス(窒素)が導入されます。メイクアップガスはキャリアに比べ多量に導入され、β線によって窒素がイオン化し電子を放出します。

・この電子はカラムから親電子性化合物(電子を捕獲しやすい化合物)が入ってくると反応し、電子の量が少なくなります。その結果検出器の基底電流値が変化し、ピークとして検出されます。この放射線形ECDはβ線を用いるため、「放射線障害防止法」に基づいて管理する必要があります。

・この検出器は電気陰性度の高いハロゲン化合物の検出が可能で、塩素や臭素の化合物のみピークとして検出が可能です。残留農薬やPCB、異臭などの分析にも使用されています。

 

水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector)

・FIDは有機化合物を空気と水素で形成された水素炎中で燃焼させ、イオン化された化合物が電極部に捕集されたときに発生する電流の変化を検出します。

・有機物中の炭素がイオン化しますが、炭素に水素以外のものが結合していると(酸素やハロゲンなど)感度が低下します。測定対象が炭素を持っていれば検出可能なため多くの分野で使用されています。製剤中の残留溶剤、作業環境、脂肪酸や炭化水素の分析など幅広い分野で使用されています。

・ほとんどの有機化合物は検出するが、ホルムアルデヒドやギ酸は検出されない

 

熱伝導度検出器TCD(Thermal Conductivity Detector)

・TCDは、サンプル成分を含まないキャリアガスとサンプルを含むキャリアガスの熱伝導度の違いを測定し検出します。

・検出器内部にはフィラメントがあり、これに直流の電圧をかけて熱します。サンプルがフィラメントを通過すると、フィラメントの温度が変化し、抵抗値も変化するため電位差の変化として検出できます。さらにTCDはサンプルが破壊されないためにほかの検出器と直列に設置することが可能です。この検出器は無機ガスの分析でも多く使用されています。

・物質選択性がない

炎光光度検出器FPD(Flame Photometric Detector)

・硫黄・リン・錫化合物が対象となる検出器です。水素炎の中で発光する元素特有の光を干渉フィルターに透過させ検出します。

・フレームの中で硫黄を含む化合物、リンを含む化合物はいったんS原子やPO-となります。次にS2およびHPO-ラジカルを形成し、394 nm(硫黄化合物)、526 nm(リン化合物)、600 nm(錫化合物)の光を発光します。これら以外の波長をもつ光も発生しますが、干渉フィルターで必要な波長以外の光をカットして、光電子増倍管(PMT)で増幅し検出します。

・この検出器では、硫黄化合物、リン化合物、錫化合物のみ検出可能で、その他の化合物はピークとして検出できません。そのため定性的にも用いられます。残留農薬、悪臭の分析、材料中の発生ガスなどに使用されています。

光イオン化検知器Photo lonization Detecto

・検知対象ガスに紫外線を照射してイオン化し、このとき発生するイオン電流からガス
濃度を検知するガス検知センサです。有機・無機を問わず広範囲のガスを検知でき
ます。一般的にppbからppmレベルの揮発性有機化合物(VOC)の測定に使用されます。

 

分析

標準溶液

標準溶液とは、濃度が正確にわかっている試薬溶液で、化学分析や容量分析、機器校正などに用いられる分析値の基準となります。

 

標準物質

・標準物質とは「均質かつ安定で使用目的に適した物質」と定義され、いろいろな物質の成分を分析する分析装置を最初に設定するとき「このシグナルの大きさが、この成分の濃度」と決めるために使うものです。

・コレステロールやメタン、エタノールなどさまざまな物質ごとに濃度が定められています。

・日本では産総研の計量標準総合センターが担う国家計量標準機関が、各国で標準物質の開発と供給を行っています。

 

脱着溶媒

 

 

内標準法

・クロマトグラフィーなどを行う際,量のわかった特定の物質を試料に加えて分析し,添加したその物質量から試料の中の物質の量を知るという方法をとる.この,試料に加える物質を「内標準物質」といい,内標準物質を添加して分析を行う方法を「内標準法」という.

・内標準法は、目的成分と内部標準物質のピーク面積比と濃度比の関係を元に,目的成分の濃度を求める定量方法です 。

・測定により求められた数値は有効数字を考慮して表す

 

参照(このサイトより引用):https://engineer-education.com/hplc-basics_qualitative-analysis_quantitative-analysis/

 

 

目的物質、内標準物質

・目的物質は、分析の対象となる物質です。

・内標準物質は、測定試料に一定量添加して、目的物質の濃度を算出する際に用いられる物質です。

 

検量線

・検量線とは、「検出器からのデータを濃度にすると何ppmになるか」を描いたグラフ

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