リハビリテーション処方の記載内容
1.主たる病名と疾患別リハビリテーションの種類
・リハビリテーション治療の主たる対象とする診断名
・上記に基づいて、いずれの疾患別リハビリテーション料を算定するのかも明記する。
2.病歴
・疾患の経過を簡潔に記載する
・手術を受けた患者については、その術式も記載する(例えば、股関節手術の患者においては、術式によって脱臼肢位が異なる。
・重要な既往歴を記載する(既往疾患のすべてを記載する必要なない)
3.並存疾患
・現在も治療が継続されている疾患およびその治療内容を記載する(例えば、糖尿病がありインスリン治療を受けている場合や、COPDでHOTを施行されている場合など)
4.依然の生活レベル
・リハビリテーション治療となる対象疾患を発症、受傷する以前の生活レベル(日常生活の自立度、必要としていた介助の内容と量など)を記載。
・特に移動能力や認知能力についての情報は重要。
5.主な障害と問題点
・主たる障害(症状)とその程度を記載
・「移動能力の障害」「ADL障害」「社会活動の制限」について記載
6.行うべきリハビリテーション治療(訓練)の内容
・訓練についての方針
・必ず行ってほしい訓練内容
7.目指すべきリハビリテーション治療のゴール
・リハビリテーション治療によって目指すべき「身体機能・認知精神機能レベル」「日常生活レベル」「社会活動レベル」を記載する。
・「短期ゴール」(今後1週間~1か月で目指すべきもの)と「長期ゴール」(入院患者であれば退院時までに目指すべきもの、今後数か月で目指すべきもの)に分けて記載する
・目標とすべき「移動能力」を記載することが重要(例えば「屋内での杖歩行自立を目指す)」「屋外での歩行器歩行自立を目指す」などと記載する
・リハビリテーション治療の継続期間について、おおよその予定を記載しておく。
8.リハビリテーション治療(訓練)実施での注意点
・訓練上の禁忌事項
・「起こりうる合併症とその対策」(例えば、低酸素血症が起こりうる患者についてはパルスオキシメーター使用、不整脈が出現する可能性がある患者については心電図モニター使用を指示する)
9.その他
・患者の環境因子(住宅の状況、介護者の状況、経済状況など)
・介護保険の申請、認定状況、療育手帳・障害者手帳の取得状況
・患者本人と患者家族の病状理解の程度や治療(訓練)についてのモチベーションの有無と高さ
・病名告知の方針、急変時対応の方針
・患者本人や家族の要望として特記すべきものがあれば記載する
リハビリテーション処方における注意点
・リハビリテーション処方を行うことによってその医師は、その処方に基づいて開始される(行われる)リハビリテーション診療の全責任を負うことになる。(責任の所在が明確化される)。
・患者の状態の変化、訓練の進み具合、訓練による機能改善の程度などをみながら、医師はリハビリテーション処方の内容を適宜見直し、必要があれば修正や再処方をしていくことが望ましい。リハビリテーション処方は「初診時や入院時に一度だけ処方して、それで終わり」というものではない。
・リハビリテーション治療の軌道修正は必要である。
・リハビリテーション処方を出すのと同時に、医師はその患者および家族に対しても「今後に行うリハビリテーション治療の概略(それらの目的、内容、期間、注意点など)」を必ず説明する。
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