心電図における「回転」の定義
・胸部誘導におけるr波の増高はV1からV2、V3と進むにつれて順次r波が大きくなり、R/S比が<1から1>へとV3またはV4付近で逆転(=移行帯:transitional zone)するのが正常である(移行帯は正常V3またはV4)
・「回転」とは、心臓を心尖部からみて、心臓の水平断上の電気軸が時計の針の回転方向と同じ、または反対方向に向いているという状態をいう。
・正常では、R/Sが<1から>1に移行する誘導(移行帯)はV3~4だが、移行帯がV5付近にったものを「時計方向回転」という。
・一方、移行帯がV1~2にずれたものを「反時計方向回転」という。
参照(このサイトより引用):https://www.kango-roo.com/learning/1712/
時計方向回転(現時点では「A判定」)
「時計方向回転」とは
・R波の増高がなかな進まず移行帯がV5付近になっているのを、心臓を心尖部から見たとき時計方向に回転していると考えらえるため、「時計方向回転」という。
原因
・肺血栓塞栓症、急性肺性心(ともに右室の拡大によって心室中隔、左室が時計方向へ回転するため)
・慢性閉塞性肺疾患(滴状心では時計方向回転が加わるため)
・左脚後枝ブロック
・poor R progressionやreversed R/S ratio progressionを生じる前壁中隔梗塞
・拡張型心筋症・拡張相肥大型心筋症
・2次性心筋症
・胸郭変形
→まずはこれらの鑑別が必要。いすれもなければ正常亜型(noormal variant)としてよい
健診での判定区分
・「時計方向回転」は少し予後が悪いという報告があるが、現時点では「従来通りA判定」とする。
反時計方向回転(A判定)
「反時計方向回転」とは
・移行帯がV1~2にずれた場合
・臨床的意義は乏しい(A判定)
・「反時計方向回転」は、るい痩のため横隔膜が下方に下がっているときによくみられるが、電気的現象であり、やせていない健常者でもみられる場合もある。
臨床的意義
・問題にならない心電図上の所見であり、特に問題はない。
・ただしV1でR/S>1の場合、右室肥大や純後壁梗塞の可能性があり注意すること。
「時計方向」「反時計方向」の健診判定区分
・「時計方向回転」は正常回転に比べて心血管疾患死リスクが高く、一方で「反時計方向回転」は心血管疾患死リスクは低いとの報告がある(NIPPON DATA 80)
・「反時計方向回転」は臨床的意義に乏しく「A判定」。
・「時計方向回転」は少し予後が悪いという事ではあるが、現時点では「従来通りA判定」とする。
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