原因
・椎骨動脈、後下小脳動脈(PICA)の閉塞
・椎骨動脈、脳底動脈の解離
診断の注意点
・椎骨動脈解離が原因の場合、若年者にも発症することがある
・MRI検査では急性期に病変が検出できないことが多い
・否定できない場合、歩いて帰宅できない場合は「入院+48時間後のMRIフォロー」が必要
症状
交代性温痛覚障害(顔面は病巣側、体幹上下肢は対側の温痛覚障害)
・痛覚:爪楊枝や酒精綿のパックの角を利用
・顔面温痛覚は同側三叉神経脊髄路(ここが障害される)を下降し三叉神経脊髄路核で線維を変え、対側に交叉して対側の大脳皮質感覚野に投射する。
・頚部以下の温痛覚は脊髄で交叉し、対側の外側脊髄視床路を上行し、対側の大脳皮質感覚野に投射する(唯一対側の症状)
・延髄における外側脊髄視床路は、外側から内側に向かって臀部→下肢→体幹→上肢の順番で局在があるため、「下肢のみの温痛覚障害」の場合もありうる
図:延髄外側における外側脊髄視床路の位置関係
球麻痺症状(構音障害、嚥下障害)
迷走神経背側核(Ⅹ)、孤束核(顔面神経(Ⅶ)、舌咽神経(Ⅸ)
病側の味覚障害
・迷走神経(Ⅹ)の味覚線維の終止核)
構音障害、嚥下障害
・疑核(舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ))
・嚥下障害、嗄声、小声
病側のカーテン徴候
・疑核(舌咽(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)運動核)の核・核下性障害
・病側のカーテン徴候
・「あ」と短く発声してもらい、咽頭後壁(口蓋垂ではない)が健側に偏移する場合を異常とする
前庭神経核障害(Ⅷ)
めまい、眼振、嘔吐
・交感神経下行路による病巣側のHorner症候群
(病側の眼裂狭小化、縮瞳、発汗低下、眼球陥凹)
・下小脳脚障害による病巣側の上下肢失調
認めない症状
※舌下神経麻痺がない、錐体路障害がない(延髄内側症候群(Dejerine症候群)との鑑別)
※聴力障害もない(前庭神経核より上方に位置する蝸牛神経核は保たれる)
※顔面神経運動覚は障害されない
参考文献:歴史的名著。必携。
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