参考:脂漏性皮膚炎
疾患
・脂漏性皮膚炎は,皮脂腺の密度が高い脂漏部(被髪頭部、眉毛部、鼻唇溝、耳介、耳後部、前胸部、背部正中、腋窩、陰部)に生じる皮膚の炎症である。
・類円形の粃糠様鱗屑をつける紅斑が特徴
・原因は不明であるが,皮膚の常在真菌であるマラセチアが何らかの役割を果たしている。
・脂漏性皮膚炎はHIV感染患者と特定の神経疾患を有する患者で頻度の増加がみられる。
症状
頭部
・掻痒
・ふけ
・髪際部および顔面の黄色調かつ脂ぎった鱗屑
顔面
・眉間、鼻の脇、頬部などの紅斑、鱗屑
・全体に脂ぎってテカテカした皮膚の光沢
・ざ瘡(にきび)のような丘疹、面皰はあまりない
治療
・軽症例や寛解維持にはケトコナゾール(ニゾラール®)のみの外用で治療可能
・重症例(発赤が強い、掻痒感が強い)では、初期にステロイド外用薬を使用し、炎症を軽減させてからケトコナゾールの外用に徐々に切り替える
・ステロイドは、顔面や陰股部はにはマイルドクラス以下、それ以外の頭部や体幹はストロング~ベリーストロングクラスでも可。ただし副作用を考慮し症状改善後は中止する
・頭部などの被髪部には基剤としてローションタイプが有用。
頭部
・抗真菌薬外用(ケトコナゾール:ニゾラール®:イミダゾール系)
・痒み、ふけの増悪時、重症例:
まずはステロイド外用を4~5日使用
(アンテベートローション、デルモベートスカルプローション、リンデロンVGローション)
その後炎症が治まってからケトコナゾール外用に切り替える
・頭部などの被髪部には基剤としてローションタイプが有用。
処方例)
リンデロンVGローション1日1回
↓
その後
ケトコナゾールローション20g
リンデロンVGローション20mL混合
1日1回
・予防:抗真菌薬外用、風呂上りに1日1回(ニゾラールローション)
顔面
・軽症ではケトコナゾールクリーム
・炎症が強い場合はマイルドレベル以下のステロイド4~5日間の期間限定、その後ケトコナゾールへ
・ステロイドはランクの低いmildレベル(ロコイド®、キンダベート®)を使用
・ステロイドは4~5日間の期間限定(ステロイド酒さに移行してしまう危険性があるため)
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