疾患
・マラリアは、寄生虫(原虫)によって起こされる生命を脅かす疾患。
・マラリア原虫(Plasmodium)を保有した雌のハマダラカの吸血で人に感染する。
・原虫は5種類で、「熱帯熱マラリア原虫」「三日熱マラリア原虫」「四日熱マラリア原虫」「卵形マラリア原虫」「サルマラリア原虫」からなる
・流行が多いのは「熱帯熱マラリア」と「三日熱マラリア」である
・特に重症化するがの熱帯熱マラリア
・感染症法で4類感染症に分類されている
疫学
・熱帯熱マラリアの流行サハラ砂漠以南の西アフリカ
・三日熱マラリアはメキシコ、中米、中東、北アフリカで多く認める
※最近の流行状況は厚生労働省検疫所「FORTH」で確認
潜伏期
・多くは2か月以内の潜伏期間
・非熱帯熱マラリアの約35%は帰国後2か月以上経過して発症したとの報告があり、病歴聴取の際には数か月遡って流行地域への渡航の有無を確認する必要がある。
病態・臨床症状
・マラリア流行地で育ったわけではなく、マラリアに免疫のないヒトが初感染した場合、発熱はほぼ必発といってよい
・ただし、流行地で生まれ育ち、何度もマラリアに罹患して免疫を得ているヒト(semi-immune)では、発熱などの症状が軽度しかみられないこともある。
症状
・発熱:周期的は発熱は稀といわれている
・頭痛
・倦怠感
・筋肉痛
・脾腫(感度24%、特異度96%)
・消化器症状(悪心・嘔吐、下痢、腹痛)
※ 発熱に伴い、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などがみられるが、腹部症状や、呼吸器症状がめだつこともあり、マラリアを疑わないと、風邪やインフルエンザと誤診されることになる。
※ リンパ節腫脹、発疹、関節炎がある場合はマラリアの可能性が下がる
検査所見
・高ビリルビン血症
・血小板低下(感度75%、特異度88%)
診断
末梢血塗抹Gimsa染色
・感度が高くないため、8時間毎に3回繰り返す
・感染赤血球の大きさが非感染赤血球と同じで、環状体だけが多数みられる場合は熱帯熱マラリアの可能性が高い
・感染赤血球が大きく、環状体以外の形態がみられる場合は三日熱マラリアを疑う
重症熱帯熱マラリア
・意識障害
・ショック
・肺水腫
・低血糖
・出血傾向
・腎機能障害
感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022 単行本 – 2021/9/22
岡 秀昭 (著)
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