脂肪(脂質)とは?
・生体成分のうち、水に溶けない物質を「脂肪」という。体内では水分の次に多く含まれている。
・脂肪は「科学的には脂質と呼ばれる」が、意味合いは同じである。
・脂肪(脂質)は「油脂」「脂肪酸」「グリセリン」「コレステロール」などを総称した呼び方である。
・一方「脂肪酸」とは、脂質の90%を占める脂肪の構成する要素である
脂肪酸について
・脂肪酸は炭素原子が鎖状につながった分子で、その鎖の一端に酸の性質を示すカルボキシル基(-COOH)持つ物質である。
・脂肪酸は、エネルギー源として役目を果たすほか、身体の各種細胞膜の大切な構成成分である。
・脂肪酸には「飽和」「不飽和」「多価不飽和」「トランス」の4種類がある
・脂肪酸には骨格となる炭素がすべて飽和結合で満たされた「飽和脂肪酸」と、一部に二重結合(不飽和結合)を持つ「不飽和脂肪酸」に大別される。
・さらに不飽和脂肪酸の中でも二重結合を1個だけ持つものを「一価不飽和脂肪酸」、2個以上持つものを「多価不飽和脂肪酸」と呼ぶ。
参照(このサイトより引用):https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/309#h2-1
飽和脂肪酸とは?
・飽和脂肪酸は、一般に固形で乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含まれる。
・化学的に安定した物質であるから飽和脂肪酸は貯蔵脂肪として使われる
・パルミチン酸、ステアリン酸などがある。
不飽和脂肪酸とは?
・不飽和脂肪酸は、常温では液状で、植物油に多く含まれる。
・不飽和脂肪酸の中でも、二重結合を1個だけ持つものを「一価不飽和脂肪酸」、2個以上持つものを「多価不飽和脂肪酸」と呼ぶ。
・多価不飽和脂肪酸は、細胞膜を構成するリン脂質の一部であり、細胞から出るシグナル物質、プロスタグランジンなどの生理活性物質の材料として重要である。
・不飽和脂肪酸については二重結合の位置により、メチル基末端から数えて3番目、6番目、9番目の炭素に初めて二重結合が現れる脂肪酸をそれぞれ「n-3(またはω3と表記)系脂肪酸」、「n-6(ω6)脂肪酸」、「n-9(ω9)系脂肪酸」と呼ぶ。
・オレイン酸(一価不飽和、n-9、ω9)、アラキドン酸(n-6、ω6)、リノール酸(n-6、ω6)、α-リノレン酸(n-3、ω3)、DHA(n-3、ω3)、EPA(n-3、ω3)の5つの不飽和脂肪酸は体内合成できず、食事から摂取する必要があるため、「必須脂肪酸」と呼ばれる。
・とくにリノール酸はLDLを減らし心臓病を予防するといわれる。リノール酸は普通に食事を摂っていれば、必要量は簡単に摂取できる。
多価不飽和脂肪酸のn-3系、n-6系、n-9系とは?
・不飽和脂肪酸については二重結合の位置により、メチル基末端から数えて3番目、6番目、9番目の炭素に初めて二重結合が現れる脂肪酸をそれぞれ「n-3(またはω3と表記)系脂肪酸」、「n-6(ω6)脂肪酸」、「n-9(ω9)系脂肪酸」と呼ぶ。
・哺乳類はn-3(ω3)位、n-6(ω6)位に二重結合を導入する不飽和化酵素をもっていないため、n-3(ω3)系脂肪酸とn-6(ω6)系脂肪酸を体内で合成することができない。
・そのため、これらは食事により摂取する必要がある必須脂肪酸であり、その体内バランスは食事の質に大きく依存している。
・n-3系にはα-リノレン酸と生体内でそれから代謝されてできるEPA(IPA)、DHAなどが属する。
(エパデール®はω3系高純度EPA製剤)
・n-6系にはリノール酸と、生体内でそれから代謝されてできるアラキドン酸などが属する。
「一価不飽和脂肪酸」
・ オメガ9系脂肪酸とも呼ばれる
・ オレイン酸は一価不飽和脂肪酸である
・ 比較的エネルギーとして使われにくく、常温で液体の脂肪酸
・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ持つ構造)
・ オリーブオイル、菜種油、アボカド、タラ肝油、イワシ油などに多く含まれる
「多価不飽和脂肪酸」
・ オメガ3系、オメガ6系脂肪酸に分類される
・ 体内で合成できない必須脂肪酸を含む
・ 物質として不安定(炭素鎖2重結合を一つ以上持つ構造)
・ 魚油(青魚)、植物油(トウモロコシ油・大豆油・サラダ油等)、クルミ、えごまなどに多く含まれる
・ リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコペンタエン酸(EPA)など
トランス脂肪酸
・トランス脂肪酸は、「トランス型二重結合」という特有の構造を持つ不飽和脂肪酸の総称。
・炭素-炭素間の二重結合を構成している、2つの炭素原子に結合している原子や炭素鎖の順序が同じであっても、二重結合を中心に見ると、結合の向きが違う場合がある。脂肪酸においては、炭素-炭素間の二重結合(C=C)を境目にして、水素原子が同じ側にある場合をシス(cis)型二重結合、反対側にある場合をトランス(trans)型二重結合という。
・「シス(cis)」とは、“同じ側の、こちら側に”という意味で、脂肪酸の場合には水素原子(H)が炭素(C)の二重結合をはさんで同じ側についていることを表している。
・「トランス(trans)」とは、“横切って、かなたに”という意味で、脂肪酸の場合では水素原子が炭素間の二重結合をはさんでそれぞれ反対側についていることを表している。
・天然の不飽和脂肪酸のほとんどは、炭素間の二重結合がすべてシス(cis)型。これに対して、トランス(trans)型の二重結合が一つ以上ある不飽和脂肪酸をまとめて「トランス脂肪酸(trans-fatty acid)」と呼ぶ。
・トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことが報告されている。トランス脂肪酸は、動脈硬化などによる心疾患にかかる危険性を高める。
・ マーガリン、ショートニング、加工油脂などに含まれる可能性がある
食品にはどうしてトランス脂肪酸が含まれているの?
トランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがあります。
天然にできるもの:バター牛乳牛肉
天然の不飽和脂肪酸は、通常シス型で存在します。しかし、牛や羊などの反芻(はんすう)動物では、胃の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸が作られます。そのため、牛肉や羊肉、牛乳や乳製品の中には微量のトランス脂肪酸が天然に含まれています。
油脂の加工・精製でできるもの:スナック類クリームパンドーナツマーガリン
常温で液体の植物油や魚油から、半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つに「水素添加」があります。水素を添加することで不飽和脂肪酸の二重結合の数が減り、飽和脂肪酸の割合が増えますが、これによってトランス脂肪酸ができることがあります。
部分的に水素添加した油脂を用いて作られたマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに、トランス脂肪酸が含まれているものがあります。
植物や魚からとった油を精製する工程で、好ましくない臭いを取り除くために高温で処理することにより、油に含まれているシス型の不飽和脂肪酸からトランス脂肪酸ができることがあります。そこで、サラダ油などの精製した植物油にも、微量のトランス脂肪酸が含まれているものがあります。
・ 植物油を高温にする過程などで生成される脂肪酸
EPA、DHA、IPAとは?
注:IPA(イコサペンタエン酸:icosapentaenoic acid)は、EPA(エイコサペンタエン酸eicosapentaenoic acid)と同じものの別称で、読み方が違うだけ(紛らわしい!どちらかに統一してほしい!)
・n-3系のαリノレン酸は、エイコサペンタエン酸(EPA)→ドコサペンタエンサン(DPA)→ドコサヘキサエン酸(DHA)へと代謝される.
・しかしEPAからDHAへの変換率は低い(そのため、DHAを補給したければ、DHAそのものを摂取することが大切)。
・n-6系のリノール酸は体内でアラキドン酸を作り出し、イコサノイドという生理活性物質にもなる。
・これらは動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな作用を有する。
DHA(ドコサヘキサエン酸)と、EPA(エイコサペンタエン酸)の違い
・DHAは血液脳関門を通過でき、脳神経を活性化し、記憶力の向上などの効果がある(EPAは血液脳関門を通過できない)
・EPAは血小板凝集抑制効果が非常に高く、心筋梗塞や、虚血性心疾患の予防効果が非常に高いといえます(DHAも血小板凝集抑制効果を持つが、EPAほど高くない)
・EPAからDHAへの変換率は低いため、DHAを補給したければDHAそのものを摂取するのが良い。
DHA・EPAを含むn-3系脂肪酸の1日あたりの摂取目安
・日本ではDHA、EPAの目安量はないが、厚生労働省厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、n-3系脂肪酸の目安量を設定している。
・目安量は欠乏症を予防する観点から設定されている。
・またα-リノレン酸とEPAやDHAといった他のn-3系脂肪酸とを生体内で機能を区別するのが難しいことから、n-3系脂肪酸の摂取量として基準が設定されている。
・1日の摂取目安量として、n-3系脂肪酸は成人男性の場合2.0g~2.4g、成人女性で1.6g~2.0gの摂取が推奨されている。
効果的な摂取法
・ナッツはn-3系脂肪酸(ω3脂肪酸)を豊富に含み、健康によい。
・しかしカロリーも高いため、1日の推奨摂取量は30g。
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・いい油を摂る(オリーブ油、亜麻仁油、ココナッツ油)
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・サプリから摂取する方法
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