疾患
・節外性の非ホジキンリンパ腫の一種。
・リンパ腫細胞が血管の管腔内で発育する疾患。通常はリンパ節腫脹や腫瘤形成を認めない
・大細胞型のB細胞リンパ腫細胞が起源。
・毛細血管内腔にリンパ腫細胞が浸潤、増殖する。大血管を侵襲することは通常なし。
・脳、肺、骨髄、皮膚、副腎、肝臓、脾臓などの微小血管、主として動脈内腔を閉塞して多彩な臓器虚血を引き起こす中枢神経、皮膚が代表であるが、どの臓器も浸潤しうるとされている。
・血管外の腫瘤形成や末梢血でのリンパ腫細胞が検出されないため非常に診断が難しいことが特徴。
・「LDH上昇+不明熱」の場合、IVLを疑う必要がある。
疫学
・日本人の報告では年齢中央値67歳(34~84歳 72%は60歳以上)、男女比=1.3:1と中高齢女性に多い。
臨床症状
・発熱(45%):非特異的な所見から不明熱の様相を呈する場合が多い。
・中枢神経症状(34%):多発脳梗塞、亜急性経過の認知症、意識障害、精神症状、痙攣、脊髄障害・脊髄根障害(馬尾障害)など様々な神経症状を呈する。
・呼吸不全(発熱とともに説明できない肺高血圧や低酸素血症を認める場合に考慮)
・血球減少、血球貪食症候群
・皮疹(39%):
大腿や下腿、体幹部に結節や紅斑、青紫色の斑、毛細血管拡張を認める「
・表在リンパ節腫大(11%)
・肝脾腫
検査結果
・LDH上昇(86%)
・貧血(63%)
・血小板減少58%
・白血球減少27%
・sIL-2R上昇(5000 U/mL以上)
※ 末梢血中にリンパ腫様細胞を認めることは極めて稀である
診断
組織診断
・組織診にて血管内の異型リンパ球の存在を証明する
・普通のリンパ腫と違い骨髄、リンパ節、末梢血、髄液からはリンパ腫細胞を検出できない場合が多い。
・皮膚(ランダム皮膚生検)、骨髄なそ通常侵襲度が低いことから行い、肺、脳の生検を状況に応じて検討する必要がある
IVLを疑う症状
・「不明熱 + LDH高値 + 脳梗塞」
・脾腫とLDH高値の不明熱
・血球貪食症候群
・発熱とLDH高値を画像所見に乏しい低酸素血症
・酸素化低下があるが、呼吸困難はそれに比して認めない
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