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Duchenne型筋ジストロフィー

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疾患

・Duchenne型筋ジストロフィー症(DMD)は、幼児期から始まる筋力低下・動揺性歩行・登攀性歩行・仮性肥大を特徴とするX連鎖劣性遺伝病。

・筋ジストロフィー症の中でもっとも頻度が高い。

・原因はX染色体上のジストロフィン遺伝子変異で、これにより筋細胞の骨格タンパクであるジストロフィンの機能異常が生じ、筋線維に大小不同や脱落が生じる。

・遺伝子異常の多くはPCR法で迅速に検出できる.患児で診断が確定すれば、出生前診断も技術的には可能であるが、実地の差異は十分な倫理的配慮が望まれる。

 

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発症機序

X染色体p21.1領域のDMD遺伝子は79個のエクソンを有する全遺伝子中最大のものである.

この遺伝子の産物ジストロフィン蛋白は片方が細胞質アクチン線維に他方が蛋白群を介して筋細胞膜に結合している.このことより筋細胞の構造安定化に寄与する蛋白と考えられている.

遺伝子変異は、欠失が60%, 重複が6%で、その他のほとんどがフレームシフトを生じさせる点変異. ジストロフィン遺伝子の発見により、発症年齢が遅く緩徐な進行のベッカー型筋ジストロフィー症(BMD)と早期発症で急速に進行する本症の臨床像の違いの理由が判明した.

すなわちBMD変異は軽度のミスセンス変異、すなわちアミノ酸の一部が失われるだけで不完全ながらタンパクは産生されるのに対し、DMD変異はナンセンス(フレームシフト)変異で、その結果 タンパクが全く産生されない.

 

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臨床像

・本疾患の典型例では2-3歳から躯幹・四肢の筋力低下が始まり、一旦歩行が可能になるものの、その後次第に転びやすくなる.

・運動能力のピークは5歳頃

・症状は進行性で、次第に動揺性歩行(歩く時におしりを振る)や登攀性歩行(立ち上がる時に膝に手をおく)、仮性肥大(ふくらはぎが腫れて固くなる)などの所見が顕著になる.

・10歳頃には車椅子が必要となり、15歳頃に臥位 となり、20歳前後で呼吸障害や心不全で死亡する.

・骨格筋の他、心筋にも障害も見られることもある.

・軽度の精神遅滞を合併する例もある.

・診断には血清中のCK値の異常高値が参考になる.

 

リハビリテーション

・歩行可能な時期では短縮が生じやすい下肢筋のストレッチ、下肢の関節可動域訓練

・転倒が頻回になれば長下肢装具による起立・歩行訓練

・歩行が不可能となったら普通車椅子処方。手機能が低下してきたらジョイスティック付き電動車椅子の使用

・定期的な呼吸機能評価、呼吸障害が伸展する前からの肺・胸郭可動性維持、排痰機能維持、気道クリアランスを保つため呼吸リハビリテーション

 

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