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IgA血管炎(Henoch-Schönlein紫斑病)

疾患

・触れることのできる皮膚の紫斑(palpable purpura)がみられ、関節痛や腹痛・下血などの消化管症状、腎障害を合併することがある全身性の小型血管炎。

・病因は未だ明らかではないが、IgAを含む免疫複合体の関与する全身疾患である。IgA腎症と同様に、IgA1の糖鎖異常が指摘されている。

・IgA血管炎は「免疫複合体血管炎」に分類され、IgAを含む免疫複合体が小血管に沈着することで炎症が生じ、毛細血管の透過性が亢進して浮腫や組織への出血を来す

・病理では、皮膚血管や腎糸球体にIgAと補体C3沈着がみられる

・IgA血管炎に伴う腎症(紫斑病性腎炎)はIgA腎症と区別のつかない糸球体腎炎を呈するため、腎症に関してはIgA腎症と同一範疇の腎炎として考えられています

 

症状

疫学

・幼児後半~学童期に小児に多い。男児に多い

・IgA血管炎は小児に好発し、全体の約半数は5歳以下で発症。

・17歳未満の発症率は年間10万人あたり10~20人であり、性差は男児に多く、女児の1.2~1.8倍に

上気道感染(特に溶連菌)の1~3週後に、四肢伸側に左右対称性の紫斑が出現することが多い

3徴:

① 皮膚症状:触れることのできる紫斑(palpable purpura)、血管浮腫

② 関節痛

③ 消化管症状(腸炎):腹痛、下痢、血便

※「腎障害」を加えて「4徴」とすることがある

 

・症状としては、紫斑100%、関節炎80%、腹痛60%、腎炎50%程度に認められる。

・皮膚症状はほぼ100%の症例で認められる症状で、関節症状は60~80%の症例、消化管症状は60~70%の症例、腎障害は報告によりばらつきがありますが20~60%の症例に腎炎を合併し、そのうち80~90%は自然寛解あるいは適切な治療にて改善します。

 

紫斑(palpable purpura)

・軽度の隆起を伴う紫斑が主に下肢、あるいは上肢遠位に現れる。全身に及ぶこともある。

・左右対称性、丘疹性で触知可能

・成人の3分の1では壊死性または出血性である。

・3~10日程度で安静とともに自然消失するが再発しやすい。

 

紫斑病性腎炎

・腎炎は全身症状発現後の数日から1か月以内に尿所見異常(血尿、蛋白尿)が発現する。

・皮膚症状から遅れて発見されることが多い

・15%が血尿のみで、38%が血尿+蛋白尿、15%が急性腎炎症候群、23%が腎炎+ネフローゼ症候群、8%がネフローゼ症候群で発症している。

・腎炎の自覚症状としては、全身倦怠感、微熱などの不特定な症状を認める。

・ネフローゼ症候群や急性腎炎症候群を呈する例では、浮腫や高血圧に伴う頭痛がみられる。 検査所見としては、血尿+たんぱく尿、腎機能の低下(血清クレアチニンの急速な上昇)などである。

・3~20%は治療抵抗性あるいは治療に反応するが再燃を繰り返し、末期腎不全に至る症例もあります。

消化管症状

・消化管症状は50%以上でみられ4~8日程度続く。疝痛を伴う事がある。

・腹痛(100%)、吐気/嘔吐(14.4%)、下痢/直腸出血(12.9%)、便潜血陽性(10.3%)の報告がある。

・虚血と浮腫による症状と考えられ腸重積、梗塞、穿孔を生じる事もある。

・下行十二指腸と回腸終末部に多く、内視鏡ではびまん性の粘膜発赤、点状出血、びらんや潰瘍など、腹部CTでは腸間膜血管の拡張を伴う腸壁肥厚がみられる。

 

検査

・血小板、凝固系は正常(時に第Ⅻ因子低下:消化管出血による消費)

※血管壁の脆弱化のため、Rumpel-Leede試験は陽性になることがある

・ANCAは陰性

・WBC(特に好酸球↑)

・血沈亢進

・血清IgA上昇

 

診断

小児の血管炎の90%はIgA血管炎であり紫斑、関節痛、腹痛、腎障害などの臨床症状で診断できるが、成人ではANCA関連血管炎、クリオグロブリン血症性血管炎、低補体血症性蕁麻疹性血管炎などとの鑑別が必要となるためIgA沈着の証明が大切である。

2010年EULAR / PRINTO / PRES分類基準(小児の分類基準として提唱されたが、成人で感度100%、特異度87%)

必須: 紫斑または点状出血

いずれか:

① 腹痛
② 関節炎/関節痛
③ 腎障害
④IgA沈着を伴う白血球破砕血管炎/IgA沈着を伴う増殖性糸球体腎炎

 

鑑別疾患

・ANCA関連血管炎

・クリオグロブリン血症性血管炎

・低補体血症性蕁麻疹性血管炎

などとの鑑別が必要

 

治療

通常、良性であることが多く治療は対症的となることが多いが、重症の紫斑、強い腹痛や下血などの消化管症状または糸球体腎炎ではステロイドや免疫抑制薬を使用する。

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