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NHCAP(nursing and healthcare-associated pneumonia:NHCAP)医療・介護関連肺炎)

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NHCAPの定義

下記の4項目のうち、1つでも該当する者をNHCAPとする

①長期療養型病床群もしくは介護施設に入所している(精神科病床も含む)
②90 日以内に病院を退院した.
③介護(PS(performance status)3以上)を必要とする高齢者,身障者。
④通院にて継続的に血管内治療(透析,抗菌薬,化学療法,免疫抑制薬等による治療)を受けている.

注)

・介護の基準:
PS3:限られた自分の身の回りのことしかできない.
日中の 50% 以上をベッドか椅子で過ごす,
以上を目安とする.
・①には精神病床も含む

 

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NHCAP(医療・介護関連肺炎)の原則

・感染症診療においては原因菌を同定し,標的治療を行うことが理想的である.しかし,NHCAP 患者は高齢者や寝たきりの状態が多く,喀痰の採取も難しく,原因菌を同定するための侵襲的検査を行うことは困難である.

・したがって,NHCAP では細菌学的検査は診断,治療の補助的な判断材料として用い,抗菌薬の選択はまず経験的(エンピリック)治療を優先させる.

※ 「2023年版の肺炎診療ガイドライン」

できるだけ狭域スペクトラム抗菌薬からのescalationとすることを検討する、狭域〜中程度スペクトラムの抗菌薬で開始し、感受性試験で耐性、 または効果不良であれば抗菌薬のスペクトラムを広げる

 

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A 群(外来治療)

・A 群の外来治療で標的となるのは,肺炎球菌,インフルエンザ菌,MSSA,クレブシエラ,肺炎クラミドフィラなどである.

推奨される抗菌薬:

内服:

① β-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系経口薬。

非定型肺炎の合併が考えられる場合はマクロライド系経口薬を併用

オーグメンチン(250RS)1回1錠1日3~4回

クラリシッド(200) 1回1錠 1日2回

アジスロマイシン(ジスロマック®) 1回500㎎、1日1回(3日投与で7~10日持続)

 

 

② レスピラトリーキノロン経口薬 単剤

・ラスクフロキサシン(LSFX,ラスビック®):第4世代

Rp)ラスクフロキサシン(LSFX,ラスビック®)(75)1日1回75mg

※ 腎機能障害患者でも使用可

・ガレノキサシン(GRNX, ジェニナック®):第4世代

Rp)ジェニナック(200) 1回2錠 1日1回

・シタフロキサシン(グレースビット®):第4世代

Rp)シタフロキサシン(グレースビット®)(50)2T 1×M

30≦Ccr<50:1日1回50mg

10≦Ccr<30:1回50mg、48時間以上毎

 

注射:

緑膿菌やMRSAを疑わない軽症例では、1) あるいは2) の単剤を用いる。

重症例、緑膿菌を疑う患者では、3)あるいは4)、MRSAを疑う患者では、さらに5)を追加して用いる。

1) ユナシン-S静注用3g 3g, 大塚生食注[100mL] 100mL 1時間かけて6時間おき7~14日 [㊜肺炎]

2) ロセフィン静注用1g 2g,大塚生食注[100mL] 100mL 1時間かけて 24時間おき 7~14日 [㊜肺炎]

3) ゾシン静注用4.5 4.5g 6時間おき [㊜肺炎]

4) 注射用マキシピーム1g 1~2g 8時間おき(1日最大6gまで、1日最大4gの添付文書記載の用量を上回ることに留意する)

医療機関にもよるが、カルバペネムは過剰使用と耐性菌出現が問題になるため、ルーチンでは用いないほうがよいかもしれない。

マキシピームは腎機能や体格により大きく用量が異なるため、症例ごとに十分検討する。 [用量2倍以下/㊜肺炎]

5) 塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g 1g 12時間おき [㊜MRSA肺炎]

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