情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
情報機器作業における「身体的拘束性」とは
・情報機器作業においては、画面からの情報を正確に得るために頭(眼)の位置が限定されること、さらに、特にキーボードからの入力においては、手の位置も限定されることから、身体の動きが極端に制限される。これが情報処理作業における身体的拘束性である。
・「作業時間又は作業内容に相当程度拘束性があると考えられるもの」として、
○ 1日に4時間以上情報機器作業を行う者であって、次のいずれかに該当するもの
○ 作業中は常時ディスプレイを注視する、又は入力装置を操作する必要がある
○ 作業中、労働者の裁量で適宜休憩を取ることや作業姿勢を変更することが困難である
主な照明用語と光束、光度、輝度、照度の関係
光束(ルーメン:lm)
・光束は、光源から出ている光の束、及び対象となる光源からすべての方向に放射される光の量を意味します。単位はルーメン(lm)です。
(「ラーメンの束」と覚える)
・ルーメンとは光束の単位であり、光線がある面を通る際の光の量、つまりは光源から発される光の明るさを数値化したものです。
光度(カンデラ:cd)
・光度とは、光源からある方向に出る光の強さを表す。
・光度の単位にはラテン語で「獣脂蝋燭(じゅうしろうそく)」を意味するカンデラ(cd)が使用されており、車のヘッドライトや投光器などの特定方向への光の強さを表す際に用いられます。
・光度は、「光源から特定の方向に放出される光の強さ」を表したものであり単位はカンデラ(cd)で表されます。
・同じ光源でも「上後方は光度が低く、下方向は光度が高い」などの場合がある
参照(このサイトより引用):https://shikakushika.com/lighting3/
照度(ルクス:lx)
・照度とは、光源から出た光がある面にどの程度降り注いでいるかを示す単位。
・「照度」とは、単位面積当たりに入射する光束であり、明るさの指標である。
・照度の単位は「ルクス(lx)」
・「1ルクス(lx)とは、1ルーメンの光束によって、1平方メートルの面が均等に照射されている際の照度」とされています。
・必要な照度は作業内容に応じて異なります。
・照度は同じ明るさの光源であれば、光源と対象物の距離が近いほど高くなり、対象物との距離が遠いほど低くなる性質を持っています。
・画面は紙に比べて拡散反射率が低い。
・ディスプレイ画面上における照度は 500 ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300ルクス以上を目安とし、作業しやすい照度とする。
・また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくする。
輝度(カンデラ毎平方メートル:cd/m2)
・輝度とは単位面積当たりの光度で、光源の輝きの強さや、光が当たった面の明るさを表す。
・輝度とは、面積のある光源を観測者側から見たときの眩しさを示す単位です。ディスプレイなどの光源や照明の明るさの指標として使われることが多く、輝度が高いほど明るくなり、輝度が低いほど輝度の値は低くなります。
参照
・また、輝度が高い場合画面がはっきりと見えるようになるため、「高輝度ディスプレイ」などと輝度の高さを前面に押し出し販売している商品も少なくありません。ただし、輝度は高ければよいというものではないため注意が必要です。輝度の高い光源や照明は眩しく、明るすぎるため目が疲れてしまうデメリットもあります。
・輝度は面光源を観測点から見た時、観測点を通過する単位面積・単位立体角から放射される光束量で定義されます。
※ 立体角:立体角とは、錐体の頂点から見た広がりを表す量のこと。 錐体の頂点を中心とする半径1の球の球面を切り取ったときの面積で表し、単位にステラジアンを用いる。
光度=
光度:カンデラ(cd)、光束:ルーメン(Lm)、立体角:ステラジアン(sr)
グレア対策
・「グレア」とは、視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や見にくさのことで、光源から直接又は間接に受けるギラギラしたまぶしさなどをいう。
・ディスプレイを注視している時に視野内に高輝度の照明器具・窓・壁面や点滅する光源がある場合や、これらがディスプレイ画面上に映り込む場合などがある。
・「直接グレア」とは、ディスプレイそのものが発する光によるまぶしさのことであり、「間接グレア(反射グレア)」とは、他の光源が映り込むことによるまぶしさのことである。
・画面の表面を粗くする処理をしても、反射光の総量は処理前とほとんど変わらない。
・グレアを防止する方法には、以下のことがある。
① 間接照明等のグレア防止用照明器具を用いたり、照明器具にルーバーを取り付ける。
② ディスプレイを置く位置を工夫して、視界内に輝度が高いものがないようにしたり、映り込みを防ぐ。
③ ディスプレイにフィルター(反射率の低いもの)を取り付けることで映り込みを防ぐ。
文字の大きさ
・ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮し、文字高さがおおむね3mm 以上とする。
ノート型パソコンの労働衛生上の問題点
(1)ノート型パソコンが持つ労働衛生上の問題点
・ノート型機器には、携帯性を重視した設計(画面が小さい、キーストロークが短い、キーピッチが小さいなど)のものがあり、それらを長時間の情報機器作業に使用する場合には、人間工学上の配慮が必要となる。
・小さいキーボードを、手が大きい作業者が使用する場合には、連続キー入力作業で負担が大きくなることがあり、小型の画面は文字が小さく視距離が短くなりすぎる傾向がある。
・また、キーボードとディスプレイが一体となった構成は、デスクトップ型に比べてディスプレイと頭の位置及びキーボード等入力装置と手の位置の関係において自由度が小さくなるため、作業者に特定の拘束姿勢を強いることや過度の緊張を招くことなどがある。
(2)ノート型パソコンの問題点を緩和する方策
・多くのノート型機器は外付けのディスプレイ、キーボード、マウス、テンキー入力機器などを接続し、利用することが可能であり、小型のノート型機器で長時間の情報機器作業を行う場合には、これらの外付け機器を利用することが望ましい。
作業管理
姿勢
(1)作業姿勢
・デスクトップ型パソコンで好ましいとされている作業姿勢は、ディスプレイの上端が眼の位置より下になるようにし、視距離は 40cm 以上確保すること
・デスクトップ型パソコンで好ましいとされている作業姿勢は(中略)上腕と前腕の角度は 90 度以上で、キーボードに自然に手が届くようにする
・椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、十分な広さを有し、かつ、すべりにくい足台を必要に応じて備えること。
・椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。
・膝や足先を自由に動かせる空間を取ること。
・作業姿勢として、座位のほか、時折立位を交えて作業することが望ましい。
・高さ調整が可能な机又は作業台を使用する場合には、椅子の高さを最適に調整した後、机の高さを調整する。
(2)その場で実施できる対策
・就業の前後又は就業中に、体操、ストレッチ、リラクゼーション、軽い運動等を行うことが望ましい。
・また、前傾姿勢を避け、適宜、立ち上がって腰を伸ばす等姿勢を変えること。
椅子
椅子は、次の要件を満たすもの。
① 安定しており、容易に移動できる。
② 座面の高さが、作業者の体形に合わせて調整できる。
③ 複数の作業者が一の椅子を使用する場合は、高さの調整が容易で、調整中に座面が落下しない構造である。
④ 傾きを調整できる適当な背もたれがある。
⑤ 適当な長さの肘掛けがある。
机
机は、次の要件を満たすもの。
① 作業面は、作業に必要なものが適切に配置できる広さである。
② 作業者の脚の周囲の空間は、脚が窮屈でない大きさのものである。
③ 机の床からの高さは、高さが調整できない場合は作業者の体形にあった高さとし、調整が可能な場合は作業者の体形にあった高さに調整できる。
作業時間
・一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10 分~15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設ける。
・1日の作業時間が長すぎないようにする
(注:ガイドラインでは情報機器による1日の作業時間の上限は設定していない)
高齢者が情報機器作業に携わる場合に配慮すべき事項
・高年齢の作業者については、照明条件やディスプレイに表示する文字の大きさ等を作業者ごとに見やすいように設定するとともに、過度の負担にならないように作業時間や作業密度に対する配慮を行うことが望ましい。
・また、作業の習熟の速度が遅い作業者については、それに合わせて追加の教育、訓練を実施する等により、配慮を行うことが望ましい。
テレワークで情報機器作業を行う労働者の長時間労働対策
情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
① メール送付の抑制
テレワークにおいて長時間労働が生じる要因として、時間外、休日又は深夜に業務に係る指示や報告がメール送付されることが挙げられる。
そのため、役職者等から時間外、休日又は深夜におけるメールを送付することの自粛を命ずること等が有効である。
② システムへのアクセス制限
テレワークを行う際に、企業等の社内システムに外部のパソコン等からアクセスする形態をとる場合が多いが、深夜・休日はアクセスできないよう設定することで長時間労働を防ぐことが有効である。
③ テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止等
業務の効率化やワークライフバランスの実現の観点からテレワークの制度を導入する場合、その趣旨を踏まえ、時間外・休日・深夜労働を原則禁止とすることも有効である。この場合、テレワークを行う労働者に、テレワークの趣旨を十分理解させるとともに、テレワークを行う労働者に対する時間外・休日・深夜労働の原則禁止や使用者等による許可制とすること等を、就業規則等に明記しておくことや、時間外・休日労働に関する三六協定の締結の仕方を工夫することが有効である。
④ 長時間労働等を行う労働者への注意喚起
テレワークにより長時間労働が生じるおそれのある労働者や、休日・深夜労働が生じた労働者に対して、注意喚起を行うことが有効である。具体的には、管理者が労働時間の記録を踏まえて行う方法や、労務管理のシステムを活用して対象者に自動で警告を表示するような方法がある。
情報機器作業に係る健康診断
・業務歴
・既往歴
・自覚症状の有無
・眼科学的検査
・筋骨格系に関する検査(上肢の運動機能、圧痛点等の検査)
筋骨格系疾患については、自覚症状が検査所見よりも先行することが多いことに留意すること。
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