「職業性疾病」と「作業関連疾患」の違い
職業性疾病
・「職業性疾病」とは、医学用語で「業務上疾病」とも呼ばれ、特定の業務に従事していることによってかかる、もしくはかかる確率が非常に高くなる病気の総称です。
・労働基準法では、業務に起因して発生した負傷または疾病として定義されており、使用者は災害補償を行わなければなりません。
・労働災害として認定される職業性疾病の治療費は、全額労働保険が負担することになります。
職業性疾病の例
騒音による難聴
化学物質を扱うことによる中毒症状
手を使う業務で生じた頸肩腕障害
重量物を取り扱う作業による筋肉や関節の疾患
長時間の不適切な姿勢による腰痛
振動工具による神経障害
パソコンや電子機器の反復操作による運動器症候群
作業関連疾患
・職業病が特定の作業によって出現する特有な病気であるのに対して、一般の人がだれでもかかる日常的な病気のうち、特に、職場の環境、労働時間、作業による負荷などの影響によって、進行や発症の危険性が高くなる病気を作業関連疾患とよんでいます。
・作業関連疾患は、労働に伴うストレスや過労が直接的あるいは間接的に原因になるため、発症時および発症前の作業の状況によっては、労災補償の対象として認定されることもあります。
作業関連疾患の例
・問題行動(喫煙、過剰な飲酒、過食など)
・心因性疾患(不定愁訴、神経症、うつ状態)
・高血圧
・虚血性心疾患
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、気管支端息)
・運動器系障害(腰痛、頚肩腕症候群)
労働災害とは
労働災害とは
労働災害とは、業務が原因で労働者が負傷したり病気になったりすることをいいます。具体的には、「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること(労働安全衛生法第2条第1項第1号)」をいいます。
令和5年の新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除いた労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となりました。休業4日以上の死傷者数は135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しました。
労災の申請
労働者が労働災害により負傷した場合などには、休業補償給付などの労災保険給付の請求を労働基準監督署長あて行ってください。なお、休業4日未満の労働災害については、労災保険によってではなく、使用者が労働者に対し、休業補償を行わなければならないことになっています。
労働災害によって負傷した場合などには、労働基準監督署に備え付けてある請求書を提出することにより、労働基準監督署において必要な調査を行い、保険給付が受けられます。
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