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不眠、睡眠障害(問診、検査、睡眠衛生指導、薬物療法、出口戦略)

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不眠に関する問診

1.不眠の種類

「寝付きはいいですか?」

「途中で目が醒めますか?」

「朝早く目が醒めて、その後眠れないことはありますか?」

「朝起きた時にぐっすりと眠れたと感じますか?」

 

2.睡眠習慣

「寝るのは何時ですか?」

「寝床に入ってから眠りに付くまでどのくらい掛かりますか?」

「起きるのは何時頃ですか?」

「目が醒めてから寝床を出るまでどれくらい掛かりますか?」

「週末や休日ではどうですか?」

 

3.昼間の症状

「昼間に眠気を感じることがありますか?」

「昼寝はしますか?」(昼寝をしていれば、「何時から、それくらいの時間昼寝をしていますか?」)

 

4.入浴

「お風呂は何時頃に入りますか?」

 

5.睡眠時無呼吸症候群)(→専門医へ紹介)

「いびきをかきますか?」

「他人から寝ている時に息が止まっていると言われたことがありますか?」

 

6.レストレスレッグス症候群

「寝床に入ると脚がむずむずしたり、脚を動かしたくて我慢できなくなったり、ほてったり、かきむしりたくなることがありますか?」

 

7.周期性四肢運動障害

「寝床に入ると脚がピクピクすることがありますか?」

 

8.REM睡眠行動異常(→専門医へ紹介)

「よく夢を見ますか?」

「夜中に大声で寝言を言ったり、うなされることがありますか?」

 

9.ナルコレプシー(嗜眠症)(→専門医へ紹介)

「夜十分に眠れているのに、昼間眠くてたまらないことがありますか?」

 

10.概日(がいじつ)リズム障害(→専門医へ紹介)

「昼夜が逆転したり、眠る時間がずれていってしまうということはありませんか?」

 

11.身体疾患

「痛いとか、痒いとか、トイレが近いとか、夜中に気になる身体の症状はありませんか?(あれば、「その内容を教えて下さい」)

 

12.うつ症状

食欲「食事は美味しく食べられますか?」「体重は減りましたか?」

抑うつ気分「気持ちが沈みこんだり、滅入ったり、憂鬱になったるすることがありますか?」

興味・喜びの喪失「何をしても楽しくなくなっていませんか?」「今まで興味を持てていたことに興味が持てなくなっていませんか?」

 

13・服薬

「今薬を飲んでいますか?」(飲んでいるなら「何をどれくらい飲んでいますか?」「その薬を飲み始めてから眠れなくなったということはありませんか?」

「今までに睡眠薬を飲んだことはありますか?」(あれば、「何をどれくらい飲んでいますか?」「その薬はあなたに合っていましたか?」

 

14.アルコール

「お酒は飲みますか?」(飲んでいるなら、「何をどれくらい飲んでいますか?」

 

15.喫煙

「タバコは吸いますか?」(吸っているなら「1日何本吸いますか?」)

 

16.カフェイン

「コーヒーなどのカフェインを含む飲み物を飲みますか?」(飲むなら、「1日どれくらい飲みますか?」)

 

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検査

反 復 睡 眠 潜 時 検 査(Multiple Sleep Latency Test:MSLT)

・覚醒因子を除いた環境のもと眠りに就く能力・眠りやすさを客観的に評価する検査。

・MSLT は過眠症であるナルコレプシーの診断に広く用いられている検査方法である.ナルコレプシーは日中の過度の眠気(自分では制御できない眠気が繰り返し起こる)を特徴とする睡眠障害である

脳波においては入眠時 REM 段階(sleep onset REM period: SOREMP),逆説α抑制が出
現することが特徴である.

・ナルコレプシーの確定診断には,睡眠障害国際分類(The International Classification of Sleep Disorders-3rdedition: ICSD-3)より MSLT が必須である

 

 

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睡眠衛生指導

 

※ 不眠症治療の中心は薬物療法ではなく睡眠衛生指導

※ 睡眠衛生指導とは、誤った睡眠習慣を是正し、正しい睡眠をとるための教育である

※ 睡眠時間はひとそれぞれ、自分にとって適切な睡眠時間を知ろう。

※ 年齢と共に睡眠時間は短くなる。65歳を越えたら睡眠時間は6時間以下が普通である。

※ 適切は睡眠時間とは、昼間の活動に支障をきたさない睡眠時間である。昼間に元気ならそれでいい

 

起床

・前日眠れなくても朝は決められた時間に起きる

・朝起きたらすぐに太陽の光を浴びる

 

食事

・食事は規則正しく摂る

・夜のメラトニン分泌を増やすために、朝にその原料となる「トリプトファン」を摂取する。

大豆製品、乳製品、バナナ、卵など)

 

 

昼寝

・昼寝は基本的にしない。

・しかしどうしても昼間眠い時には30分以内(できれば15分以内)の仮眠を取る。

昼の仮眠は15時までとする。

 

嗜好

・日没後(就眠の6時間前)のカフェインは控える

・睡眠の6時間前にとったカフェインは睡眠に悪影響を与える(カフェイン効果は6時間以上持続)

・喫煙は控える

・お酒は控える(短期的には眠気を強くするが、浅い眠りが増え、長期的には睡眠の質、量とも悪化させる)

 

運動

・適度な運動をする(就寝時間の4時間以内は避ける)

・毎日30分程度の運動が推奨

 

日没後

・夕食後に仮眠を取らない

・入浴は就寝1~2時間前には済ませる

 

就寝

・眠くなった時だけ、寝床につく

・早寝、長寝は不眠の大敵!寝室は寝るためだけの場所として、不必要に早く寝床に入らず、眠くなったら寝床に入る

・15~20分以内に眠くなければ寝室を出て、静かな音楽を聴くなどしてリラックスする。眠くなったらまた戻る。

・眠れない時にテレビやスマホは見ない(光刺激によるメラトニン分泌抑制)

・眠れない時に時計を見ない

寝室は暗くする

どんなに眠くても、毎日同じ時間に起きる

 

 

睡眠薬処方の適応

・明らかな基礎疾患がなく、適切な睡眠衛生指導を行っても効果不十分な症例では睡眠薬の投与を考慮する。

・最終目標は睡眠薬なしの状態に置く、つまり「出口を見据えた治療」が重要である。

・睡眠薬の効果と副作用のバランスが重要であり、特に依存症を生じないように注意する。

 

 

睡眠薬の処方例 

以下のサイトを参照のこと

睡眠薬(具体的処方、不眠時指示)
睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドラインー出⼝を⾒据えた不眠医療マニュアルー不眠症の定義、分類・適切な睡眠環境下で、睡眠の質や維持に関する訴えがあり、これに基づいて日中の機能異常が認められる症状・日中の機...

 

 

 

 

 

レジデントノート 2022年3月 Vol.23 No.18 一般外来 処方ドリル〜症例で鍛える! 慢性疾患・コモンプロブレムへの上手な薬の選び方・使い方

 

 

 

 

 

 

 

 

総合診療2020年10月号 特集 ポリファーマシーを回避する! エビデンスに基づく非薬物療法のススメ

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