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個人サンプリング法(C測定、D測定)

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個人サンプリング法(C測定、D測定)による作業環境測定

個人サンプリング法による作業環境測定の今後の在り方について(厚労省)

個人サンプリング法による作業環境測定及びその結果の評価に関するガイドライン(改正 令和6年4月10日)

 

「個人サンプリング法」とは

個人サンプリング法とは:

・「個人サンプリング法」とは、労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う作業環境測定です。

・従前の作業環境測定は、「場所」による測定(A 測定:単位作業場内で原則 5 点以上、B測定:最も高濃度ばく露の作業者の位置)という手法のみでしたが、作業者が発散源とともに移動する場合や、気中への発散の変動が大きいときは適切な評価とならない場合があることから、従来の方法に加えて、労働者の身体に試料採取機器等を装着してサンプリングを行う「個人サンプリング法」が追加されました。

・個人サンプリング法による作業環境測定は、単位作業場所における測定対象物質の平均的な状態を把握する「C測定」と、対象物質の発散源に近接した場所における作業について測定する「D測定」からなります。

・測定の対象者数は、原則として単位作業場所のすべての労働者、またはばく露状態を代表する5人以上の労働者数とします。ただし、作業に従事する労働者が5人未満の場合、同一の作業日にその作業に従事する時間を均等に分割して、測定サンプル数を5個以上とする分割サンプリングが可能となります。

・個人サンプリング法による作業環境測定は、現行の制度では「義務」ではなく、事業者の任意選択となっています。つまり、事業者は従来の方法(定点測定)か個人サンプリング法か、どちらかを選択することができ、衛生委員会等で労働者の意見も踏まえたうえで十分に審議することが望ましいとされています。

 

 

 

 

 

個人サンプリング法による作業環境測定の対象となる測定

【安全衛生】個人サンプリング法を実施できる化学物質と個人ばく露測定の関係についてわかりやすく解説(2023年10月改訂)

 

改訂のポイント

① 「低管理濃度特定化学物質」と呼ばれていたものは、「個人サンプリング法対象特化物」となりました。
② 有機溶剤も「発散減の場所が一定しない作業」と限定されていたものの限定がなくなり、単に「有機溶剤等」になりました。

③ 粉じんが追加されています。

・2023年10月から個人サンプリング法の対象とされる物質に「粉じん」が入ったことは画期的でしょう。

 

個人サンプリング法による作業環境測定の対象となる測定:

① 個人サンプリング法対象特化物及び鉛に係る測定

※「個人サンプリング法対象特化物」とは:

有害性が高いため、管理濃度が非常に低く設定されている低管理濃度特定化学物質(化合物含め12種類)。

ベリリウム及びその化合物、インジウム化合物、オルトーフタロジニトリル、カドミウム及びその化合物、クロム酸及びその塩、五酸化バナジウム、コバルト及びその無機化合物、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、重クロム酸及びその塩、水銀及びその化合物(硫化水銀を除く)、トリレンジイソシアネート、砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く)、マンガンおよびその化合物

② 有機溶剤等(第一種有機溶剤、第二種有機溶剤、及び特別有機溶剤)に係る測定

③ 粉じん係る測定

 

C測定、D測定

C測定、D測定とは:

・個人サンプリング法による作業環境測定は、単位作業場所における測定対象物質の平均的な状態を把握する「C測定」と、対象物質の発散源に近接した場所における作業について測定する「D測定」からなります。

C測定

・個人サンプリング法による作業環境測定のうち、単位作業場所における測定対象物質の平均的な状態を評価するための測定を「C測定」という。

※ 単位作業場所:作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域

・測定の対象者数は、原則として単位作業場所のすべての労働者、またはばく露状態を代表する5人以上の労働者数とします。ただし、作業に従事する労働者が5人未満の場合、同一の作業日にその作業に従事する時間を均等に分割して、測定サンプル数を5個以上とする分割サンプリングが可能となります。

・C測定においては、対象となる作業に従事する時間中は継続してすべて測定することが基本ですが、同一の作業が2時間を超えて繰り返される場合は2時間の測定に短縮することが可能です。例えば、6時間の対象作業がある場合は、そのうちの2時間の測定とすることが可能です。

 

D測定

・個人サンプリング法による作業環境測定のうち、測定対象物質の発散源に近接した場所における作業について評価するための測定を「D測定」という。

・D測定は、 C測定の結果を評価するだけでは労働者が有害物質への大きなばく露を受ける可能性を見逃すおそれのある作業が存在する場合に、有害物質の発散源に近接する場所における作業についての測定である。

・D測定では、ばく露がもっとも高くなると思われる時間に、そのうち連続した15分間を測定します。この場合は、連続する作業時間が15分未満の場合、D測定は実施できませんので、C測定のみ
で評価します

 

※ 「個人サンプリング法」と「個人ばく露測定」の違い

・ともに測定器具に「パッシブサンプラー」や携帯式ポンプ等の「個人サンプラー(アクティブサンプラー)」を用いる点や、労働者の呼吸域(呼吸で化学物質を吸入する可能性のある高さや近さ)における測定を実施する点では同等といえます。

・一方で、異なる点としては、その目的が個人サンプラーを用いて測定を行う個人サンプリング法は「作業環境管理のための作業環境測定」であり、個人ばく露測定では「有害作業における個人のリスク評価」にあるという点があります。

・このため、個人サンプリング法による作業環境測定では評価値として「作業時間平均値」を用いて「管理濃度」と比較しますが、個人ばく露測定では 「8時間平均値」を用いて「ばく露限界値」と比較することになります。

・このように、もっとも大きな違いは、場の評価か、個人の評価かという点にあります。 個人サンプリング法による作業環境測定が、管理濃度を用いるために作業時間の長さが厳密には
考慮されていないのに対して、個人ばく露測定では8時間平均値を算出してばく露限界値と比較するため、作業時間を考慮した評価となり、実作業に近い評価をすることができるということになります。

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