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妊婦、授乳婦へのX線検査や薬剤処方時の注意点

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まずは妊娠週数の推定から

妊娠週数の数え方

・最終月経が始まった日を「妊娠0週0日」とする

例)

〇月1日から月経が始まった場合、〇月29日は「妊娠4週0日」となる

 

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妊娠中の画像検査

・受精後10日までは奇形を残すことはない

・受精後10日~妊娠10週の器官形成期に50mGy未満の被曝を受けてもで奇形発生率は上昇しない

・放射線を使用する画像検査は「妊娠4~10週」では注意が必要

・日本産婦人科学会は「50mGy未満の被曝量で奇形発生率を上昇させない」と説明している

(産婦人科診療ガイドライン―産科編  2020)

 

腹部単純X線の平均胎児被曝量:1.4mGy以下

骨盤単純CTの平均胎児被曝量:25mGy(最大79mGy)

臨床的に必要であれば、妊娠中でもこれらの検査は実施可能

・妊娠9~26週では中枢神経障害を起こす可能性があるが、100mGy未満では影響しない

 

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妊娠中の薬

・薬剤の胎児への影響を考える場合、「服用時の妊娠時期」の同定が重要

・「妊娠3週末まで」は、薬剤による胎芽へのダメージは胎芽死亡(流産)を引き起こす可能性があるが、死亡しなければダメージは修復されて先天異常は起こらない

「妊娠4以降~7週未まで」は主要な器官形成期で、胎児は薬に対して感受性が高く、催奇形性が理論的には問題となり得る時期であり注意が必要(ただし催奇形性が証明された薬は少ない)

ワルファリン、バルプロ酸ナトリウム、ARB/ACE阻害薬、NSAIDs、テトラサイクリン系抗菌薬は避けること

・「妊娠8週以降12週末まで」は大奇形は起こさないが小奇形を起こしうる薬剤が極わずかにある

・「妊娠13週以降」は形態異常は引き起こさないが、胎児毒性(胎児機能障害)を引き起こしうる可能性がある薬が僅かにある。

 

アセトアミノフェンについて

・妊娠中の発熱に対してはアセトアミノフェンを使用し解熱を行うことが推奨される

・「妊娠末期のアセトアミノフェン使用による胎児動脈管早期収縮」の注意喚起があったがエビデンスはまだ非常に弱く,現時点ではアセトアミノフェンの動脈管収縮効果は否定的と考える専門家が多い.

・ただし長期間の使用は,児の神経運動発達障害との関連が指摘されていることもあり、漫然と使用することは避けるべきである

(参照:日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」

 

妊婦の感冒症状に対する処方

・メジコン(頓用)

・麦門冬湯

・ザジテン点鼻、インタール点鼻

・ポララミン

※漢方では、葛根湯、小青竜湯など麻黄が入っているものや、大黄(子宮収縮作用あり)が入っているものは少量に留める

※PLにはエフェドリンやカフェインが含有されているため、処方は避けた方が良い

 

妊娠中の抗菌薬

・ペニシリン系(アモキシシリン)、セフェム系は非妊娠時と同じ用法・用量で使用できる

・アジスロマイシンも基本的に安全だが、一部で流産や児のてんかんリスク増加の報告があるため、必要時のみに限定する

 

糖尿病治療薬について

・妊娠前の「経口血糖降下薬」「GLP-1受容体作動薬」はインリンに変更する

・メトホルミンは催奇形性が否定的であり、妊娠判明後に中止も許容される

 

授乳中の薬

・禁忌は「抗がん薬」「放射線ヨウ素」「アミオダロン」

・注意が必要な薬は「抗てんかん薬」「抗うつ薬」「炭酸リチウム」「抗不安薬」「オピオイド(コデインリン酸塩を含む)」「無機ヨウ素」の6タイプ

 

参照:「授乳中に安全に使用できると考えられる薬 – 50音順 -」(国立成育医療研究センター)

 

参考サイト

日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン産科編2020」

 

国立成育医療研究センタ「妊娠と薬情報センター」

 

 

総合診療 2021年 3月号

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