ガイドライン
疾患情報(疫学・病態)
・尋常性痤瘡とは、顔面、胸背部の毛包・脂腺系を場とする脂質代謝異常(内分泌的因子)、角化異常、細菌の増殖が複雑に関与する炎症性疾患である。
・尋常性痤瘡は「青春のシンボル」と呼ばれており、多かれ少なかれすべての人が思春期前後に罹患する。
・尋常性痤瘡は「たかがニキビ」と軽視されがちだが、社会の成熟とともに治療への欲求が高まっている。尋常性痤瘡患者のQOLは、アトピー性皮膚炎など慢性炎症性皮膚疾患の場合と同様に低下している。
鑑別すべき疾患は好酸球性毛包炎や酒さなど多岐にわたるが、尋常性痤瘡には面皰が合併していることから、鑑別は容易である。
・患者は市販薬や通信販売などで入手したニキビ治療薬を併用していることが多い。医薬品との併用で副作用が増幅される場合があるので、注意が必要である。
面皰
・毛穴に皮脂や角質が詰まっている状態
・皮脂(皮膚のあぶら)の分泌が多いことと毛穴の先が詰まることで、毛穴の中に皮脂がたまることで始まります。この状態が面皰(めんぽう)です。
・面皰の中は、皮脂が豊富で酸素が少なくアクネ菌(Cutibacterium acnes)が増えやすい環境にあります。
・アクネ菌はどんな毛穴にもいる常在菌ですが、数が増えると炎症を起こして赤いぶつぶつしたにきびや膿がたまったにきびを引き起こします。強
・い炎症を生じて、毛穴の周りの皮膚に障害を与えると、ケロイド状に盛り上がったり凹んだりして瘢痕(はんこん)を残します。
炎症性皮疹に対する内服抗菌薬
CQ11:炎症性皮疹に内服抗菌薬は有効か?
推奨文 炎症性皮疹に,内服抗菌薬を強く推奨する.
推奨度
A:ドキシサイクリン
ないし
A*:ミノサイクリン
・痤瘡の炎症には,C. acnes が重要な役割を演じている.抗菌薬の選択にあたり一般の感染症では感受性が重要な要素であるが,痤瘡においては,感受性に加えて抗炎症効果を期待して,テトラサイクリン系やマクロライド系の抗菌薬が処方されることが多い.
・多くの RCT で有効性が示され,炎症性皮疹に,内服抗菌薬を強く推奨するが,耐性菌の出現を防ぐため長期間の使用は控えた方がよい.
・Global Alliance は,内服抗菌薬の投与は 3 カ月までとし,6~8 週目に再評価して継続の可否を判断することを推奨している
・さらに,内服抗菌薬の単独療法や外用抗菌薬との併用は避け,過酸化ベンゾイルやアダパレンとの併用や維持療法を推奨している
・ドキシサイクリンはテトラサイクリン系の薬剤で,抗菌作用とともに抗炎症作用が期待される.
・炎症性皮疹にドキシサイクリン内服を強く推奨する.
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