鉛
・貧血(へモグロビン合成障害による)
・造血器障害
・腹部疝痛
・伸筋麻痺(末梢神経障害)
・生殖毒性
(なまりません→鉛、疝)
鉛の粉じんやヒュームを吸入すると、鉛は骨に蓄積される。
鉛の生物学的モニタリング指標:
血液中鉛、尿中デルタアミノレブリン酸などがある。
クロム
・鼻中隔穿孔、皮膚炎、慢性中毒(上気道がん、肺がん)
・皮膚に接触して局所の刺激で充血による発赤や、皮膚熱傷(水疱ほうや、水疱による潰瘍)。
・眼に接触して発赤、痛み、重度の熱傷。
・皮膚への長期間のばく露(接触)によってアレルギー性接触性皮膚炎がみられる。
クロムは鼻中隔→上気道→肺
ビーチで黒い皮膚→ビ:鼻中隔穿孔、黒い:クロム、皮膚:皮膚炎
マンガン
・筋肉のこわばり、ふるえ
・神経質になるなどの精神症状、歩行障害、発語障害などのパーキンソン病に似た症状
(キン肉マン)、神経障害
金属水銀
感情不安定、手のふるえ
(金属水銀は不安定)
・金属水銀は、経口ばく露しても、消化管(小腸)からはあまり吸収されない。
無機水銀
標的臓器は腎臓
腎障害
(腎臓がムキになっている→腎臓、無機)
カドミウム
急性中毒(上気道炎、肺炎)
慢性中毒(腎障害、肺気腫、歯の黄色環)
(王の「はきしゅ!」でエンジン可動
→王:黄色環、はきしゅ:肺気腫、エン:肺炎、上気道炎、ジン:腎障害、可動:カドニウム)
ベリリウム
・皮膚潰瘍、接触性皮膚炎
・ベリリウム(肺ベリリウムおよびその化合物の吸入ばく露後に遅延型過敏反応により生じる、肺の非乾酪性肉芽腫性疾患)
・肺がん(扁平上皮癌、腺癌)
(皮膚の潰瘍をべりっつと剥がす)
(ベリー興奮する)
ひ素
・黒皮症、角化症、色素沈着
・慢性中毒では、とくに皮膚に症状が現れ、角化症、黒皮症などの皮膚障害が発症する。また、ボーエン病、皮膚がん、膀胱がん、肺がんの他、鼻中隔穿孔や末梢神経障害などもみられる。
(クロヒ素)
ニッケル
・接触皮膚炎、皮膚感作性
シアン化水素
痙攣、呼吸障害
(けい子じゃん→けい:痙攣、子:呼吸障害、じゃん:シアン化水素)
ベンジジン
膀胱がん、尿路系腫瘍
(原始人暴行)
取り扱う作業者が着用すべき保護具
・経気道ばく露のみならず経皮ばく露が問題になっている化学物質である
・防毒マスク、不浸透性の保護衣及び化学防護手袋の装着が必要
膀胱がんの早期発見の方法
一次健康診断:尿中の潜血検査、尿沈渣検鏡の検査、尿沈渣のパパニコラ法による細胞診の検査)
二次健康診断:膀胱鏡検査等がある。
1,2‐ジクロロプロパン
胆管がん
2012年3月に大阪府内の印刷業の事業場で発生した胆管がん事案
・大阪府で、地下室の換気の十分ではない校正印刷の作業場において、きわめて頻繁にジクロロメタンと1.2-ジクロロプロパンの混合溶剤を用いて、ローラーやブランケットを洗浄する作業に従事していた。
・作業場における気中濃度は、後に行われた再現実験では、ジクロロメタンが70~190ppm(許容濃度:50ppm、TLV-TWA:10ppm)、1,2-ジクロロプロパンが30~80ppm(許容濃度:1ppm(現在)TLV-TWA:10ppm)程度と推測された。
・適切な呼吸用保護具の着用が行われていなかったことから、経気道ばく露をしたものと考えられる。
・作業者に胆管がんが多発した。
各有機溶剤の特異的な毒性
二硫化炭素
精神障害、網膜細動脈瘤、腎障害、動脈硬化
(二流の奴は精神障害)
硫化水素
呼吸麻痺、意識消失
(竜が 屁こき 意識消失)
ノルマルヘキサン
末梢神経障害、多発性神経炎、頭痛、めまい
(ノル末ヘキサン→末梢)
短期の吸入ばく露により、めまい、傾眠などの麻酔作用が見られる。
また、長期ばく露の結果として、多発性神経障害、末梢性神経障害、多発性神経炎の発症が起きるといわれている。
その他、皮膚刺激、強い眼刺激、生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い、呼吸器への刺激のおそれ、眠気やめまいのおそれ、長期にわたる、または、反復ばく露により神経系の障害、飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれがあるとされている。
トリクロルエチレン
・肝機能障害
(鳥の黒い肝臓)
・モデルSDSの発がん区分は1A(発がん性あり)
・ばく露指標:尿中トリクロル酢酸又は総三塩化物
テトラクロロエチレン
・GHS分類1B(ヒトに対して恐らく発がん性がある)
・特別有機溶剤等
・主にドライクリーニングや金属の洗浄剤などに利用
・
ベンゼン
特定第二類物質、特別管理物質、製造禁止物質
・造血器障害(貧血、白血病)
・悪性腫瘍
安衛法第57条第1項
ベンゼン等について、容器(主として一般消費者の生活の用に供するための容器を除く。)に入れて提供する場合、その容器に「名称」、「人体に及ぼす作用」及び「貯蔵又は取扱い上の注意」等を表示しなければならない。
ベンジジン
膀胱がん
(原始人暴行)
トルエン(→尿中馬尿酸)
中枢神経系抑制
多発性神経炎
(多ル炎→多発性神経炎)
代謝と排泄
トルエンは肝臓のミクロソーム系によってベンジルアルコールになり、さらに安息香酸となってグリシン又はグルクロン酸と抱合し、馬尿酸又はグルクロン酸ベンゾイルとして尿中に排泄される。
また、少量ではあるが o -クレゾール及び p -クレゾー ルに代謝される。
肺では、吸収されたトルエンの一部は変化せずに排泄される。吸収されたトルエンの 15~20%は肺から排泄され、腎臓からは馬尿酸として60~70%が排泄される。
症状
一時的に高濃度のトルエンを吸入すると、急性毒性として筋脱力、錯乱、協調障害、散瞳などが起き、さらに重篤な場合には重度の疲労、著しい嘔気、精神錯乱や昏睡などが発生する。
また、長期にわたったばく露では、疲労、記憶力障害、集中困難、情緒不安定、神経衰弱性症状が現れる。
また、高濃度または長期吸引した妊婦に早産、児小頭、耳介低位、小鼻、小顎、眼瞼裂など胎児性アルコール症候群類似の顔貌、成長阻害や多動などの生殖毒性がある。
キシレン(→尿中メチル馬尿酸)
メタノール
視神経障害
酢酸メチル
視力低下、視野狭窄
酢酸目チル→視野
・ジメチルホルムアミド
頭痛、めまい、肝機能障害
頭めチルホルムアミド→頭痛、めまい
塩化ビニル
肝臓がん、肝血管肉腫
(演歌は簡潔→肝血)
・弗化水素
斑状歯、骨の硬化、弗化水素、腎障害、肺水腫
(班長の 骨 ふかふかで 心 配)
・ビスエーテル
肺がん
(ハイ ビスカス)
四塩化炭素
・肝硬変、肝障害
1-ブロモプロパン
洗浄剤として使用していた労働者が小脳失調と末梢神経障害を示した例が報告されている
2-ブロモプロパン
生殖機能障害
クロロホルム
動物に対し、眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性がある。
短期の吸入ばく露により、麻酔作用、咳、眩暈、嗜眠、感覚鈍麻、頭痛、吐き気、嘔吐、腹部痛、衰弱、意識喪失、昏睡、麻酔作用などが発生する。
長期ばく露では黄疸を生じることが知られており、肝炎の進展、黄疸、悪心、嘔吐などの症状がみられる。
また、発がん性、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑いがもたれている。
メチルセロソルブ
・メチルセロソルブは第2種有機溶剤である。
・血液、骨髄に影響を与え、貧血、血球障害を生じることがある
オルト‐トルイジン
膀胱がん
・2015年12月に福井県の顔料などの製造を行う化学工場における「膀胱がん」事案の原因物質
・芳香族アミンの一つ
・経皮吸収により健康障害を起こす
・常温で無色~黄色の液体
・アゾ系及び硫化系染料の原料として用いられる
・噴霧することにより許容濃度を超えても臭気を十分に感じないが、わずかな臭気がある。
・引火性がある
・o-トルイジンによる膀胱がんの発がんメカニズムには、多くの種類の酵素による代謝活性化が関与しているものと考えられている。
・慢性毒性として発がん性(膀胱がん)が確認されているほか、急性毒性として呼吸困難、意識喪失、神経障害、チアノーゼ、メトヘモグロビン血症などがみられる。
2015年12月に福井県の化学工業の事業場において発生した膀胱がん事案
・O-トルイジンによる職業性疾病の事案は、この物質などを原料として染料中間体(固体)を製造する工場で発生している。その事業場の様々な工程で発生しており特定の作業に限定されないが、直接取り扱う作業において発生している。
・災害が発覚した段階では、気中濃度は問題となるレベルではなかったが、過去の作業環境測定の結果から判断すると、過去に経気道ばく露した疑いは持たれる。
・また、この工場では再生有機溶剤で保護手袋を洗浄しており、この再生有機溶剤にo-トルイジンが含まれていたため、保護手袋に付着したo-トルイジンが経皮吸収された可能性がある。
・また、化学防護手袋の使用状況・管理状況に問題があり、そのために経皮吸収された可能性もある。
・作業者に膀胱がんが多発した。
シンナー
・シンナーとは、塗料を薄めて粘度を下げるために用いられる有機溶剤である。語源は英語の「thin(薄める)」に由来する。
・希釈したい塗料の種類によってシンナーの種類も変わるため、「シンナー」と一言で言っても、沢山の種類がある。
・シンナーは有機溶剤を混合させて作られたものがほとんどである。含有される有機溶剤の種類によっては、「シンナー中毒」になる可能性もある為、取り扱い時は注意しなければならない。
シンナーの主成分
1 トルエン
2 酢酸メチル
3 メタノール
4 キシレン
5 酢酸イソブチル
6 アセトン
7 メチルエチルケトン
水銀
有機水銀
・有機水銀とは、炭素−水銀 (C−Hg) 結合を持つ有機金属化合物である。代表的なものに、水俣病の原因物質である「メチル水銀」や「ジメチル水銀」、消毒液である「マーキュロクロム液(赤チン)」がある。
メチル水銀
・メチル水銀 CH3HgX(X は Cl, OH など任意のアニオン)は、有機水銀の1種
・神経中枢を冒す強い毒性を有し、「水俣病」や「イラク農薬水銀中毒事件」などの原因物質となった化学物質である。
・求心性視野狭窄、聴覚障害、運動失調
(有酸素運動のイメージ)
無機水銀
・無機水銀とは、水銀が炭素原子以外の原子と結合した化合物で、硫化水銀(HgS)、酸化水銀(HgO)、塩化第1水銀(Hg2Cl2)、塩化第2水銀(HgCl2)などがある。
・このうち塩化第2水銀は強い毒性を有するが、無機水銀の毒性は一般に有機水銀より低い。
有機水銀と無機水銀の毒性の違い
吸収排泄
・無機水銀は消化管からの吸収率も低く、ヒトでは摂取量の7%程度である。
・これに対し有機水銀は脂溶性が高く、消化管から吸収されやすい。メチル水銀は、ほぼ100%近く吸収される。
・また、ヒトにおける生物学的半減期は、無機水銀で約40日だが、メチル水銀は約70日と長くなっている
・メチル水銀は脂溶性が高く、肝臓や腎臓の他、脳にも蓄積されて、それらの器官に影響を与える。また、妊婦の場合胎児にも移行する。
・無機水銀は、主にアルブミンと結合して全身に広がるが、その後、ほとんどが腎臓に蓄積され、腎臓に影響を与える。
・無機水銀の毒性は一般に有機水銀より低い。
・無機水銀は消化管からの吸収率も低く、ヒトでは摂取量の7%程度である。
・これに対し有機水銀は脂溶性が高く、消化管から吸収されやすい。メチル水銀は、ほぼ100%近く吸収される。
・また、ヒトにおける生物学的半減期は、無機水銀で約40日だが、メチル水銀は約70日と長くなっている。
・メチル水銀は脂溶性が高く、肝臓や腎臓の他、脳にも蓄積されて、それらの器官に影響を与える。また、妊婦の場合胎児にも移行する。
・無機水銀は、主にアルブミンと結合して全身に広がるが、その後、ほとんどが腎臓に蓄積され、腎臓に影響を与える(腎臓がムキになっている→腎臓、無機)
物性の違い
・メチル水銀は無機水銀に比較して脂溶性が高いため吸収されやすく、脳などに蓄積されやすい。
・近年、蛋白質がメチル水銀の細胞毒性を増強する作用を有するとも言われている。
有毒性の違い
・有害性としては、メチル水銀は、主に知覚異常、運動失調、言語障害、聴力障害、求心性視野狭窄などのハンターラッセル症候群と呼ばれる中枢神経症状を示す
・無機水銀はの標的臓器は腎臓で、腎障害を起こす
(腎臓がムキになっている→腎臓、無機)
特別有機溶剤(発がんのおそれのある有機溶剤)
エチルベンゼン
クロロホルム
四塩化炭素
一・四―ジオキサン
一・二―ジクロロエタン(別名二塩化エチレン)
一・二―ジクロロプロパン
ジクロロメタン(別名二塩化メチレン)
スチレン
一・一・二・二―テトラクロロエタン(別名四塩化アセチレン)
テトラクロロエチレン(別名パークロルエチレン)
トリクロロエチレン
メチルイソブチルケトン
特別有機溶剤を取り扱う作業に義務付けられている措置
作業環境管理に関する措置
作業環境測定評価と記録の30年間の保存
・作業環境測定とは、作業場の気中濃度を測定し、管理濃度を用いて評価を行い、評価結果に基づいて改善を行うものである。
作業管理に関する措置
作業記録の作成と30年間の保存
有害性等の掲示
堅固な容器・確実な包装の使用
・常時作業に従事する労働者について1カ月以内ごとに、「労働者の氏名」、「従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間」並びに「当該物質によって著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要」について記録する必要がある。
・有害性等の掲示については、作業に従事する労働者が見やすい箇所に、名称、人体に及ぼす作用、取扱上の注意事項及び使用保護具について掲示するものである。
・堅固な容器・確実な包装の使用については、その物質を運搬し、又は貯蔵するときは、漏れたり、こぼれたりするなどのおそれがないように、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をする必要がある。
健康管理に関する措置
健康診断(生物学的モニタリングは作業管理に位置付けられる。)の実施とその結果の30年間の保存
・健康診断の実施とその結果の30年間の保存については、特定化学物質障害予防規則の規定に基づき健康診断を行い、個人票などについて記録の保存を行うものである。
作業環境測定とは、作業場の気中濃度を測定し、管理濃度を用いて評価を行い、評価結果に基づいて改善を行うものである。発がん性物質については記録は30年間保存する必要がある。
作業記録の作成と30年間の保存は、常時作業に従事する労働者について1カ月以内ごとに、「労働者の氏名」、「従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間」並びに「当該物質によって著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び事業者が講じた応急の措置の概要」について記録する必要がある。
有害性等の掲示については、作業に従事する労働者が見やすい箇所に、名称、人体に及ぼす作用、取扱上の注意事項及び使用保護具について掲示するものである。
堅固な容器・確実な包装の使用については、その物質を運搬し、又は貯蔵するときは、漏れたり、こぼれたりするなどのおそれがないように、堅固な容器を使用し、又は確実な包装をする必要がある。
健康診断の実施とその結果の30年間の保存については、特定化学物質障害予防規則の規定に基づき健康診断を行い、個人票などについて記録の保存を行うものである。
「職業病リスト」とは?
・労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による傷病などに対して、必要な保険給付を行うものである。
・この制度の補償の対象となる疾病を定めたものを「職業病リスト」という。
・「職業病リスト」は「労働基準法施行規則別表第1の2」と、これに基づく厚生労働大臣告示で構成されている。
・厚生労働省では、「職業病リスト」を改正し、MOCAにさらされる業務による尿路系腫瘍 などを新たに追加しました。(令和5年1月18日施行)
職業病リスト
労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 別表第一の二
・ベンンジジン:尿路腫瘍
・ベリリウム:肺がん
・ベンゼン:白血病
・オルト‐トルイジン:膀胱がん
・1,2ージクロロプロパン:胆管がん
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