疾患
・肝機能低下に伴う中枢神経機能の障害
・気分障害(多幸感や抑うつ)、見当識障害、不適切な行動、傾眠、混乱、昏睡など
・筋症状ではアステリキシス(固定姿勢保持困難、陰性ミオクローヌス)
羽ばたき振戦など
・原則は除外診断
潜在性(ミニマル)肝性脳症
・精神神経症状が明らかでなく、臨床的に顕性の肝性脳症を認めない肝硬変において、鋭敏で定量的な神経機能検査を行うことで精神神経機能に異常が指摘される病態と定義される。
・潜在性(ミニマル)肝性脳症には顕性脳症の前段階の病態が含まれ、日常生活のQOLも低下することから積極的な診断と治療介入が望まれる。
・しかしながら病態解明は十分でなく統一された診断基準はない。
誘因
・消化管出血
・感染症(特発性細菌性腹膜炎や尿路感染症など)
・低K血症
・代謝性アルカローシス
・腎不全
・脱水
・低血糖
・便秘
・鎮静剤
・低酸素血症
検査
血中アンモニア濃度
・感度37.5%、特異度66.7%(確定診断はできない)
他にも痙攣発作後にも血中アンモニア濃度は上がるため
・200μg/dL以上の場合に肝性脳症を積極的に疑う
肝性脳症の鑑別疾患
1)慢性硬膜下血腫
・肝性脳症の人は硬膜下血腫になりやすい
・緩徐進行の経過が似ている
2)アルコール離脱せん妄、Wernicke脳症
・オーバーラップすることがある
・「アルコール離脱からどのくらい時間が経過しているか」「食事摂取ができなくなってからそれくらい経っているか」を聴取
3)NCSE(non-convulsive status epilepticus)
・非痙攣性てんかん重積状態
・種々の検査の末に原因が不明な場合に脳波測定で判明することがある
4)尿路感染症
・ウレアーゼ産生菌による尿路感染症では、ウレアーゼのために尿素が還元されアンモニアになり、高アンモニア血症になることがある
・アルカリ尿のためpH>8.0で疑う
治療
・原疾患の治療
・ラクツロース注腸、内服(第1選択)
・リファミキシン(難吸収性抗菌薬;国内使用不可)
・ポリエチレングリコール
※分枝鎖アミノ酸製剤点滴は有効性は証明されていない
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