不明熱の定義(1991年基準)
・体温38.3℃以上が複数回確認されている
・3週間以上継続している
・3回以上の外来か、3日以上の入院で原因が不明
推奨される初期対応・検査
1)初期対応
・まずは薬剤熱の除外から
2) 詳細な病歴聴取
全身状態:
・高熱
・悪寒戦慄
・日常・社会生活
・食欲・体重減少
→これらが急激に悪化する場合は感染症を考慮する
患者背景:
・旅行歴
・動物接触歴
・虫さされ
・免疫抑制状態(既往歴、服薬歴)
・性行為歴
・違法薬物使用歴
局所症状/身体所見:
・側頭動脈炎の確認
・歯周囲膿瘍(歯叩打痛で確認)
・精巣痛(結節性多発動脈炎)
・動脈(圧痛、血圧左右差、硬結、拍動消失、血管雑音)
・甲状腺
・泌尿器、肛門疾患
3)局所所見が分かりにくい細菌感染症の例
・歯髄炎、歯根部膿瘍
・急性腎盂腎炎
・急性前立腺炎
・化膿性胆管炎
・肝膿瘍
・カンピロバクター腸炎の初期
・憩室炎の微小穿孔
・肛門周囲膿瘍
・蜂窩織炎(溶連菌などで後から発赤が明瞭になることがある)
・感染性心内膜炎
・化膿性血栓性静脈炎
・CRBSI
・サルモネラ菌血症
・レジオネラ感染症
検査
全例行うべき検査
・末梢血液検査+血液像
・血液生化学検査(LDH、ビリルビン、肝酵素を含む)
ALP→粟粒結核、甲状腺機能亢進症、リンパ腫、転移性骨腫瘍
CRP正常→SLE、皮膚筋炎
・フェリチン
3000以上→成人Still病、血球貪食症候群、悪性リンパ腫
・尿検査
円柱→糸球体腎炎
・胸部X線検査
・血液培養(3セット)
・頚部~胸部~腹部・骨盤造影CT腹腔内膿瘍
(肝膿瘍、腸腰筋膿瘍、腎膿瘍、肝臓悪性腫瘍、腎細胞癌、悪性リンパ腫の検査検索)
適宜考慮する検査
・尿培養
・赤沈
亢進:
グロブリン↑(感染症、骨髄腫、慢性肝疾患、膠原病、悪性腫瘍など)
アルブミン↓(肝硬変、ネフローゼなど)
貧血
著明な亢進(>100mm/時):
感染症
結核
PMR
血管炎
骨髄炎
膠原病
悪性腫瘍
腎疾患
・sIL-2R
5000以上→悪性リンパ腫
・抗核抗体(特にSLE)
・リウマチ因子(関節リウマチ、シェーグレン症候群、クリオグロブリン血症性血管炎)
↔高齢者でも陽性になることがあるが、その場合は力価は低い(≦40倍)
・HIV抗体
・Q熱の血清学的検査(曝露歴が明らかな時)
・サイトメガロウイルスIgM抗体
・肝炎血清マーカー(肝機能異常を認める時)
・骨髄検査(血球減少、脾腫、LDH高値などがみられる場合)
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