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がん性疼痛に対するオピオイド治療

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オピオイド使用のタイミングと導入の方法

原則

・まずはNSAIDsやアセトアミノフェンといった非オピオイド性鎮痛薬で開始。

・これれらの薬剤で十分な鎮痛効果が得られない時、オピオイド使用を考慮する。

・「痛みが強くなりそうになったら早目に使用」するように指導

・体動時に痛みが強くなる患者であれが「動く少し前にあらかじめ内服してみて下さい」と促すのも有効

ソセゴンは「μ受容体部分作動薬」であり、モルヒネ、フェンタニルなどの「μ受容体完全作動薬」を使用中にソセゴンを用いると、μ受容体の完全作動薬と部分作動薬が競合し、鎮痛効果がかえって弱まるため併用すべきではない(オピオイドが処方されている場合の痛みの増強に対してはレスキューを称すること)。

 

徐放性製剤と速効性製剤(レスキュー)の組み合わせ

・レスキューは徐放性製剤の1日投与量の1/6程度(1/8~1/4程度)を目安とする

1時間以上あけて、使用回数に制限はなし

・原則として徐放性、速効性の薬剤は同一成分のものを用いる

オキシコドン:オキシコンチン®→オキノーム®

モルヒネ:MSコンチン®→オプソ®(液剤)、モルヒネ塩酸塩注

フェンタニル:フェントステープ®→アブストラル®(舌下錠)、フェンタニル注

トラマドール:ワントラム®→トラマール®

 

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副作用への対応

眠気

・眠気、吐気は1~2週間で耐性ができ、症状が軽減することが多い

 

嘔気(予防的制吐剤の併用)

・嘔気に対しては、投与開始初期に1~2週間程度予防的に制吐薬を処方するか、頓用として用意しておく

・通常2週間程度で耐性ができるため、以降は不要

頓用

・プロクラルペラジン(ノバミン®)1回5㎎1日3回 7~10日間で飲み切り

・メトクラプラミド(プリンペラン®) 嘔気時 1錠頓用

消化管閉塞がある場合は使用しない

 

定時

・メトクロプラミド(プリンペラン®)5mg錠 1回1錠 1日2回(9時21時)

消化管閉塞がある場合は使用しない

・プロクロルペラジン(ノバミン®)(5㎎) 3T 3×毎食後

・糖尿病がない場合:オランザピン(ジプレキサ®)(2.5㎎) 1T 1×眠前

中枢性制吐薬(消化管閉塞があっても使用可)

耐糖能異常を引き起こす可能性があり

・糖尿病がある場合:ペロスピロン(ルーラン®)(4㎎) 1T 1×眠前

・注射:ハロペリドール

中枢性制吐薬(消化管閉塞があっても使用可)

 

便秘

・嘔気と違い、便秘は耐性ができないため継続内服が必要

・便秘に対しては緩下剤(酸化マグネシウム)を同時処方しておく。

・それでも便秘になる場合はナルデメジン(スインプロイク®:末梢性μ受容体拮抗薬。消化管のオピオイド受容体に結合し、オピオイド鎮痛薬に拮抗することでオピオイド誘発性便秘症を改善する)の投与を考慮する

処方例)

・酸化マグネシウム(330㎎) 1回2錠 1日3回 排便状況に応じて自己調節

・ナルデメジン(スインプロイク®) 1回0.2㎎ 1日1回

消化管末梢のμオピオイド受容体に結合してオピオイド鎮痛薬と拮抗することでオピオイド誘発性便秘症を改善するもの

 

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効果・副作用の評価と調整

・オピオイドを開始または用量変更したら2~3日を目安に効果と副作用の評価を行う

・NRSやVAS、レスキューの使用回数や使用前後の疼痛変化などで評価

・痛みが残存する場合は、徐放性製剤の1日量の20~50%ずつ増量、それに合わせてレスキューの1回量も増量する

・痛みはあるが副作用も強い場合はオピオイドの種類を変更することで症状コントロールがよくなることがある(オピオイドローテーション)

 

換算表

経口モルヒネ30㎎換算:

・オキシコンチン20㎎

・静注・皮下注モルヒネ15㎎

・モルヒネ座薬20㎎

・フェントステープ1㎎

 

 

 

 

 

 

レジデントノート 2022年3月 Vol.23 No.18 一般外来 処方ドリル〜症例で鍛える! 慢性疾患・コモンプロブレムへの上手な薬の選び方・使い方

 

 

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