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びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)

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疾患

・悪性リンパ腫の中で最も多い病型であり、悪性リンパ腫全体の30~40%程度を占める.

・日本での 2019 年の悪性リンパ腫の罹患数約 34,100 人から算定すると,1年間におよそ 14,000
人が DLBCL に罹患すると推定される.

・DLBCL は,生理学的に成熟 B 細胞が存在するあらゆる臓器で発生しうる.すなわち,表在・深部のリンパ節,扁桃腺,脾臓などのリンパ組織から,消化管,肝,腎,肺,骨から脳,精巣・卵巣,皮
膚に至るまであらゆる臓器や器官に発生し,比較的急速な増殖スピードを有するため,早期に臓器や機能を障害し多彩な症状を伴って発症する.

・また DLBCL は,近年の microtipなどの解析技術の進歩により分子遺伝学的な理解が進み,多様な分子遺伝学背景を有する不均一な疾患群の集合体でもあることが判明している.

 

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臨床像・診断

・DLBCLの発症年齢中央値は60歳代で,やや男性に多いとされる.

・一般的には進行性で,B症状(発熱,寝汗,体重減少)は30~40%程度の患者に随伴する.

節外臓器に発生・浸潤することも多い.節外病変としては,胃,小腸,大腸等の消化管病変の頻度が高いが,乳腺,鼻腔,副鼻腔,皮膚,精巣,骨,甲状腺,副腎,中枢神経系等,全身に発生し得る.

・病理組織学的には,大型のリンパ腫細胞(小型リンパ球と比較して2倍以上の大きさ)がびまん性に増殖し濾胞構造を有さない,

・免疫学的にB細胞マーカー(CD19,20,22,79a,PAX5 等) が 陽 性 と なる.

 

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血液検査所見

原因不明の発熱を伴う症例で

血清sIL-2R」「LDH上昇」で疑う

 

その他:

・貧血

・血小板減少

・低アルブミン血症

・CRP上昇

などの全身性の炎症所見

分類、診断

・DLBCL の診断は,生検組織から病理免疫組織化学的に大型の B 細胞由来の腫瘍細胞がびまん性に増殖している像を確認することで得られる.

・同時に,生検検体から得られるflow-cytometoly や FISH 法による染色体異常の情報も診断補助として有用である.

他の悪性腫瘍と同様に国際的な診断分類として WHO 分類が用いられているが,2017 年版 WHO
分類からは,diffuse large B-cell lymphoma, not otherwisespecified(DLBCL, NOS) の 中 に germinal center B-cellsubtype (GCB 型) と activated B-cell subtype (ABC 型) が初めて設定され,これまで DLBCL の中に含まれていたT-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma, primaryDLBCL of the central nervous system, primary cutaneousDLBCL, leg type, EBV-positive DLBCL, NOS がその他の亜
型として独立して収載されるようになった

・また,従来 DLBCLとして診断されていたいわゆる double-hit lymphoma やdouble-expressor lymphoma の一部は,WHO 分類 2017 では DLBCL か ら 外 れ,high-grade B-cell lymphoma, NOS
あ る い は high-grade B-cell lymphoma with MYC and BCL2 and/or BCL6 rearrangements と分類され,大幅な改変がなされた.

治療

DLBCLに対する現在の標準治療は
R-CHOP(rituximab,cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,prednisolone)療法である.
一 般 的 に は,R-CHOP療 法 と し て 3 週 ご と に
CHOP及びrituximabを投与し,6~8 コース施行
することが標準的である1,2).R-CHOP療法の開
発によってDLBCL患者の予後改善が得られたも
のの,30~40%程度の患者では再発・抵抗性と
なり,これらの患者の予後は限定的である.

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