下血、血便、黒色便とは?
・肛門から血が出ることを総称して「下血」と呼ぶ。
・「黒色便」と「血便」を総称して「下血」という
・便に鮮血が出ることを「血便」といい、黒い血(タール便)がでることを「黒色便」と言う。
初期対応
1.バイタルの確認
起立試験(Schellong試験)
・5分以上安静臥床の後、立位または坐位にした直後と3分以内の血圧差が、
収縮期血圧で20㎜Hg 、拡張期血圧で10㎜Hg以上あれば陽性
・陽性であれば「バイタルサイン不安定な消化管出血」として輸液を開始する
2.直聴診
・「本当に下血か?」の確認のために必ず行うこと
(血尿、性器出血の除外)
・活動性出血の確認
3.血液ガス
・Hb低下、アシドーシスの有無、乳酸値の確認
抗血栓薬(抗血小板薬、抗凝固薬)内服中の対応
1)抗血小板薬(アスピリン、DAPT、チエノピリジン系)
① 心血管疾患の「一次予防」で、単剤の低用量アスピリン服用中
・アスピリンは中止
・止血確認後、心血管リスクが出血リスクを上回ると考えられた場合、
上部消化管出血では再開を検討
下部消化管出血では、アスピリンは大腸憩室出血の再発リスクを増加させるため、そのまま中止も検討
② 心血管疾患の「2次予防」で単剤の低用量アスピリンを服用
・2次予防の場合は、内服中止により血栓症のイベント発生リスクが高いため、アスピリンは中止しないことが推奨される
③ DAPTを行っている場合
・循環器内科医に相談することが推奨される
・すぐに相談できない場合、上部消化管出血ではアスピリンは継続し、2剤目の抗血小板薬を中止する。PPIを併用する。
下部消化管出血では、
④ チエノピリジン系(クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル)
・原則として休薬する
・血栓症イベント発生リスクが高い場合は、アスピリンへの置換を推奨
・止血確認後はできるだけ早期に再開する
2)抗凝固薬
① ワルファリン
・基本的に中止
・止血確認後、速やかに再開
・出血のため血行動態が不安定な場合は、ビタミンKに加え、PCC(プロトロンビン複合体製剤)投与。PCCが入手できない場合はFFPを投与
・血栓リスクが高い場合は、止血から48時間後に低分子ヘパリン療法を検討する
② DOAC
・基本的に中止
・血行動態が不安定であれば、DOACの中和剤(ダビガトランに対するイダルシズマブのみ)投与やPCC投与を検討
・止血確認後は速やかに再開(DOACは内服再開後1~3時間で抗凝固作用を発揮する)
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