「自律的な管理」への方向
・2021年7月に厚労省から「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」が公表された。その内容は、職場の化学物質管理について「自律的な管理」を基本にしようというものであり、これまでの表示・SDS制度やリスクアセスメントのさらなる推進を図ろうというものである。
・また、5年後に「その時点で十分に自律的な管理が定着してい」ることを条件に、化学物質関連特別規則(石綿則を除く。)を廃止することを想定していると述べている。
「自律的な化学物質管理」が推進される理由
・化学物質による労働災害の約8割が法令による規制対象外の物質によるものである。
・新たに規制対象にしても、他の規制対象外の物質に切り替えるなど「規制のいたちごっこ」が起きている
・この背景から、「法令遵守ありき」ではなく、「自律的管理」を行う必要が生じた。
本改正の主なポイント
リスクアセスメント対象物質に関する事業者の義務
・ばく露される程度を最小限にしなければならない
(代替物の利用、密閉、局所排気装置など)
・濃度基準値設定物質(厚労大臣が定める物質)は濃度基準値以下にする
・ばく露を最小限にする措置内容をばく露状況の記録を3年間保存する(がん原生物質は30年)
ラベル表示、SDS等による通知義務対象物質の追加
・GHS分類で危険性、有害性が確認されたすべての物質がリスクアセスメントの対象物質に追加される。
化学物質管理者の選任の義務
・リスクアセスメント対象物質を製造、取り扱い、譲渡提供する事業場は「化学物質管理者」を選任しなければならない。
・化学物質管理者の職務は
① SDSの確認
② 化学物質のリスクアセスメント
③ ばく露防止対策の実施
④ 自律的管理のための記録作成
⑤ 化学物質の自律的管理の周知教育
⑥ SDSの作成
⑦ 労災が発生した時の対応
保護具着用管理責任者の義務化
・保護具を使用させる作業場では保護具着用管理責任者を選任しなければならない
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