スポンサーリンク

呼吸用保護具

  1. 呼吸用保護具とは
  2. 呼吸用保護具の選び方
  3. 分類
    1. ろ過式:酸素濃度 18%未満の場所では使用してはならない
        1. 種類
    2. 給気式:酸素濃度が18%未満でも使用可
        1. 送気マスク
        2. 自給式呼吸器(酸素呼吸器、空気呼吸器)
  4. 対象有害物による分類
  5. 防毒マスク
    1. 防毒マスクの選択・使用の留意点
    2. 有機ガス用防毒マスクの種類別の使用可能な範囲
        1. 直結式防毒マスク
        2. 直結式小型防毒マスク
        3. 隔離式防毒マスク
    3. 吸収缶
        1. 吸収缶の交換時期
    4. 破過時間、破瓜曲線
        1. 破瓜時間とは
        2. 防毒マスクの吸収缶の破瓜曲線
        3. 防毒マスクの吸収缶の交換の目安
    5. 「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき」防毒マスク
  6. 防じんマスク
    1. 粒子状物質および作業の種類と防じんマスクの区分
    2. 性能区分の表記
        1. ① 「使い捨て式(D:Disposable)」か「取替え式(R:Replaceable)」か
        2. ② 「液体粒子用(L:液体(オイルミストあり)」か「固体粒子用(S:固体(オイルミストなし)」か
        3. ③ 粒子捕集効率によるランク(80.0%以上:区分 1)、(95.0%以上:区分 2)、(99.9%以上:区分 3))
    3. 捕集効率試験
        1. バグフィルタ
        2. 充填層フィルタ(エアフィルタ)
    4. 防じんマスクの吸気抵抗、排気抵抗
    5. 取替え式防じんマスクの密着性を確認する方法
        1. シールチェックの実施
  7. 面体(顔に着ける部分)の大きさによる分類
スポンサーリンク

呼吸用保護具とは

・呼吸用保護具とは、粉じん、ヒューム、ガスなどの有害物質を吸入しないようにするために、口と鼻、または頭部全体を覆うように設計された保護具である。

・大きく「ろ過式」と「給気式」の2 種類に分類される

 

 

 

スポンサーリンク

呼吸用保護具の選び方

呼吸用保護具の選び方:

(1) 酸素濃度が18%未満の酸素欠乏、あるいは酸素濃度がわからない作業場では、 ろ過式呼吸用保護具は使用できない(給気式呼吸用保護具を選択)。

(2) 空気中の酸素濃度が18%以上あり、有害物質の種類がよくわからない場合は、 給気式呼吸用保護具(送気マスクまたは自給式呼吸器)を使用する。

(3) 空気中の酸素濃度が18%以上あり、有害物質の種類が粒子状物質のときは防じんマスク、電動ファン付き呼吸用保護具を選定する。

(4) 気体状物質のときは対象ガスに適合する吸収缶を選択し、さらに使用する吸収缶に限界があるため、濃度が2%以下の範囲で防毒マスク、 有毒ガス用電動ファン付き呼吸用保護具を使用することができる。

これらのうち、自給式呼吸器は災害時の救出作業等の緊急時に用いるものであって、通常の特定化学物質等を取り扱う作業に使用することは適当ではない。

 

 

スポンサーリンク

分類

ろ過式:酸素濃度 18%未満の場所では使用してはならない

・ろ過材や吸気缶を通して空気中の有毒ガス、粉じん等の有害物をろ過して作業場所の空気を吸う呼吸用保護具。

・酸素欠乏の恐れがある箇所および硫化水素と酸素欠乏空気が共存する場所では使用できない。

酸素濃度 18%未満の場所では使用してはならない

種類

・防塵マスク

・防毒マスク

・電動ファン付き呼吸用保護具(フィルターでろ過した空気をファンでフードや面体に吸気する)

 

給気式:酸素濃度が18%未満でも使用可

・ボンベなどから呼吸可能な空気を供給する呼吸用保護具

・給気式は酸素濃度 18%未満でも使え、ろ過式に比べ有害物質を吸入する危険性が抑えられます。

・給気式はホースにより外部からの新鮮な空気を供給する「送気マスク」と、空気や酸素を自分で携行する「自給式呼吸器」に分けられます。

送気マスク

・送気マスクは、電動送風機で清浄な空気を有害な環境以外からパイプ、ホース等により作業者に給気する呼吸用保護具である。

・送気マスクは、自然の大気を空気源とする「ホースマスク」と、圧縮空気を空気源とする「エアラインマスク」および「複合式エアラインマスク」がある

 

 

自給式呼吸器(酸素呼吸器、空気呼吸器)

・自給式呼吸器は、清浄な空気または酸素を携行し、それを給気する呼吸用保護具である。

・自給式呼吸器には、圧縮空気を使用する「空気呼吸器」と、酸素を使用する「酸素呼吸器」がある。酸素呼吸器には圧縮酸素形と酸素発生形がある。

 

 

対象有害物による分類

① 防じんマスク(一般粉じん、ヒューム、ミスト、アスベスト)

・フィルタにより99.9%の粉じんを除去

・防じんマスクは有害ガスには無効

② 防毒マスク(ガス、蒸気)

・吸入缶による有害ガスの除去

③ 防じん機能付き防毒マスク

・粉じんとガスが混在する場合に使用

 

防毒マスク

・防毒マスクは、環境に存在する有毒ガス及び混在する粒子状物質を除去し、着用者が吸入する空気を浄化します。

・粒子状物質も除去する場合は、防じん機能を有する吸収缶を使用してください。

・防毒マスクは、面体、吸収缶などから構成され、直結式小型、直結式、隔離式の3種類に分類される

・作業環境に応じた吸収缶を選び、吸収缶を面体に取付け、正しくお使いください。

 

防毒マスクの選択・使用の留意点

・ガスの種類、危険有害性、濃度に適したものを使用する。
・粉じんが発散している環境で、防毒マスクを使用する場合には、防じん機能を有する防毒マスクを使用する。
・高濃度の化学物質などを取扱う場合には、送気マスクの装着を検討する。
・マスク面体と顔の間に隙間が無く、顔に合うものを選定する
・吸気弁、面体、排気弁、しめひも等に破損、亀裂、変形が無いことを確認する。
・使用前にシールチェック(密着性の確認)を行う。
・防毒マスクと顔面の間にメリヤスカバーやタオルを当てない。

 

有機ガス用防毒マスクの種類別の使用可能な範囲

・防毒マスクは「直結式防毒マスク」、「直結式小型防毒マスク」、「隔離式防毒マスク」の3種類に分類される

・直結式小型防毒マスクは、大気中で対象ガス又は蒸気の濃度が 0.1 %以下で使用するとされている。

 

 

直結式防毒マスク

中濃度ガス用の吸収缶が使用され、吸収缶が面体に直接つながっているため、直結式と呼ばれています。

 

直結式小型防毒マスク

面体および吸収缶からなっています。構成は直結式と同じですが、低濃度ガス用の吸収缶を用いるため、直結式小型と呼ばれています。

 

隔離式防毒マスク

面体、連結管および高濃度ガス用吸収缶からなっています。面体と吸収缶とが離れていて、連結管で接続されているため隔離式と呼ばれています。

 

吸収缶

ガスの種類に応じて吸収缶が色分けされている
有機ガス用:黒

硫化水素用:黄
一酸化炭素用:赤

シアン化水素(青酸ガス)用:青

アンモニア用:緑

酸性ガス用 灰色

 

【語呂合わせ】

ありくいが隆起した!イアと青青とした網

解説)あり(有機ガス)く(黒色)いが、隆(硫化水素)起(黄色)した!イ(一酸化炭素)ア(赤色)と青(青酸ガス:シアン化水素)青(青色)としたあ(アンモニア)み(緑色)

 

吸収缶の交換時期

防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について

・着用者の感覚では、有毒ガス等の危険性を感知できないおそれがあるので、吸収缶の破過を知るために、有毒ガス等の臭いに頼るのは、適切ではない

 

破過時間、破瓜曲線

破瓜時間とは

・吸収缶が除毒能力を喪失するまでの時間を破過時間という

メタノール二硫化炭素アセトン、ジクロルメタンなどは試験ガスより破過時間が著しく短くなるので注意が必要

理由)活性炭は、多くの有機溶剤について優れた吸着能力を有しているが、低沸点で極性の高い溶剤に対する吸着性能は低く、特にメタノールについてはきわめて短時間で破過することが知られている。このような溶剤を使用している作業現場で有機ガス用の防毒マスクを使用する場合、頻繁に吸収缶を交換する必要が生じる。

・有機ガス用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の温度又は湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向があり、沸点の低い物質ほど、その傾向が顕著である

一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶は、使用する環境の湿度が高いほど破過時間が短くなる傾向にある

 

防毒マスクの吸収缶の破瓜曲線

・破過曲線とは、有毒ガス濃度と吸収缶の破過時間との関係を表した曲線

・縦軸はガス濃度を、横軸は吸収缶の有効時間を表しています。
・例えば、300ppmのガス濃度の環境で防毒マスクを使うと、200分経過すれば破過するということが分かります。ガス濃度がもう少し高い800ppmの場合は、75分で破過することが読み取れます。
・つまり、ガス濃度が高くなることにより、有効時間が短くなるということが分かります。

 

 

防毒マスクの吸収缶の交換の目安

防毒マスクの吸収缶の交換の目安

いずれも完全な方法ではありませんが、現場の状況によっていずれかを、あるいは複数の方法で判定してください。

1)使用時間を正確に記録し、あらかじめ設定した時間を目安とする。

・現場のガス濃度(平均値)を測定し、破過曲線図から破過時間を求めた後、十分安全を考慮した使用時間を目安として交換します。

有機ガス用吸収缶を2種類以上の有機ガスが混在している環境で使用する場合は、最も沸点の低いガスに対する破過時間を基準として、使用時間を定めておけば、安全です。

2)湿気又は有毒物質の吸収による、吸収缶の質量増加を量って目安とする。(吸湿しても能力が減退しない吸収缶を除く。)

吸収缶は、有毒ガスを吸収することによって、質量が増加しますので、この増量を吸収缶交換の目安とすることができます。

ただし、吸収缶の質量増加は、環境の湿度、ガスの種類、濃度などによっても異なります。

この方法を採用するには、作業環境のガス濃度、湿度などが比較的安定している必要があります。

3)シアン化水素用、リン化水素用及びメタノール用の吸収缶は、必ず1回使用ごとに廃棄する。

4)フィルタと一体型の防じん機能付き吸収缶の場合、1)のあらかじめ設定した使用時間に達する前であっても息苦しくなったら交換する。

注意:
使用中にガスの臭気や刺激を感じたときには、直ちに使用を中止してください。

 

「厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備すべき」防毒マスク

① ハロゲンガス用防毒マスク

② 有機ガス用防毒マスク

③ 一酸化炭素用防毒マスク

④ アンモニア用防毒マスク

⑤ 亜硫酸ガス用防毒マスク

 

 

防じんマスク

・防じんマスクは、国家検定合格品から選定する必要がある。

・国家検定合格の防じんマスクには、合格標章が貼付されている

・防じんマスクの分類は、まず形状により「使い捨て式(D:Disposable)」と「取替式(R:Replaceable)」の2種類に大きく分かれています。

・また、それぞれを粒子捕集効率により3段階に分類し、粒子捕集効率 80.0%以上(区分 1)、95.0%以上(区分 2)、99.9%以上(区分 3)の3段階に分類される。

(最も捕集効率の高いものを「区分3」、低いものを「区分1」)

・さらに、その粒子捕集効率試験を固体粒子である塩化ナトリウム(NaCl)で行うか、液体粒子であるフタル酸ジオクチル(DOP)で行うかにより種類に別れ、合計12種類に分類されています。

 

粒子状物質および作業の種類と防じんマスクの区分

・防じんマスクを選択する際は、下記の表を参考にする。

・作業環境中の粉じん等の種類、作業内容、粉じん等の発散状況、作業時のばく露の危険性の程度等を考慮した上で、適切な区分の防じんマスクを選ぶこと。

 

性能区分の表記

① 「使い捨て式(D:Disposable)」か「取替え式(R:Replaceable)」か

・ 防じんマスクは、形状により「使い捨て式(D:Disposable)」と「取替え式(R:Replaceable)」の2種類に大きく分かれています。

・「使い捨て式」は、濾過材と面体部分が一体型となった簡易式のタイプで、一回きりの使用で使い捨てるものです。

・一方「取り替え式」は、何度も使用する面体部分と、取り替えできるカートリッジの形となった濾過材を組み合わせるタイプです。

 

 

② 「液体粒子用(L:液体(オイルミストあり)」か「固体粒子用(S:固体(オイルミストなし)」か

・S級のろ過材は、固体粒子に対しては有効であるが、オイルミスト等の粒子を捕集した場合、捕集効率が低下する。

・一方、L級のろ過材は、固体粒子とともにオイルミスト等に対しても有効なろ過材である。

※オイルミストを捕集すると、吸気抵抗が上がらず、捕集効率が急激に低下するフィルタがある。そのためオイルミストが存在する環境では「液体粒子用(L)」を使用する。オイルミスト等が含まれていない場合には、S,Lどちらでもよい。

 

③ 粒子捕集効率によるランク(80.0%以上:区分 1)、(95.0%以上:区分 2)、(99.9%以上:区分 3))

・防じんマスクの粒子捕集効率とは、マスクがどれくらいの大きさの粒子をどれだけ捕集できるかを示す性能値です。

・一般的に、固体粒子(粉じん)と液体粒子(ミスト)に対してそれぞれ評価され、粒子捕集効率により 粒子捕集効率 80.0%以上(区分 1)、95.0%以上(区分 2)、99.9%以上(区分 3)の3段階に分類される。

・上記により「RL3」「RL3」「DL2」などと設定される。

 

捕集効率試験

・粒子の捕集効率は粒径により異なる。粒径の大きな粒子は慣性効果やさえぎり効果など物理的な効果によって捕集するが、小さな粒子はブラウン運動をしながらフィルタを通過するときにファン・デア・ワールス力によって捕集する。

・そのため、小さな粒子ほど通過しやすいというわけではなく、ある径の粒子が最も通過しやすく捕集効率が低く、それより大きくても小さくても捕集効率は上がることとなる

・マスクの捕集効率試験は、粒子の捕集効率が粒径により異なるため、捕集効率の低いとされる粒径の粒子を用いて行われる

・現在は最も捕集効率の悪いと言われる0.06~0.10µmのNaCl粒子又は0.15~0.25µmのDOP粒子が用いられる。

・マスクの捕集効率は、バグフィルタではヴァージンよりもある程度使用したものの方がよくなる。これはある程度使用したものは、すでに捕集された粒子によって、通過しようとする粒子が捕集されるからである。そのため、マスクの捕集効率は、フィルタへの粉じんの堆積による変化が考慮されている。

・許容される粒子捕集効率の最低値は80%である。しかし、マスクには必ず漏れがあるので、マスクの内側の濃度が外側の濃度の20%以下になるわけではない。

 

バグフィルタ

・バグフィルタとは、布や紙等のろ材によってろ過して粉じんを除去する装置である。

・ろ材は多少の粉じんが付着している方が、効率よく除じんすることができるが、あまりに粉じんが付着すると空気そのものが通りにくくなるため、粉じんの払落し装置がついていることが多い。

・円筒状と封筒状の2種類の形状のろ布と、パルス式と機械振動式の2種類の払い落とし装置の組合せによる4種類の型式のものがある。

 

充填層フィルタ(エアフィルタ)

・充填層フィルタ(エアフィルタ)による粒子の捕集は、主に粒子と繊維との衝突効果を利用しているので、ろ過風速を下げると除じん性能は低下する。

 

防じんマスクの吸気抵抗、排気抵抗

・防じんマスクの吸気抵抗、排気抵抗の上限値は、等級ごとに定められており、捕集効率の高いマスクほど高い値まで許容されている。

・吸気抵抗、排気抵抗は低いほどよいのだが、捕集効率の高いマスクは、フィルターが細かくなるため、抵抗も高くならざるを得ない。

・排気弁のない使い捨て式防じんマスクでは、吸気抵抗及び排気抵抗の上限値は等しい(排気弁のない使い捨て式防じんマスクは、吸気と排気が同じフィルタを通して行われ、排気時に開く弁がないので同じにならざるを得ない)。

 

取替え式防じんマスクの密着性を確認する方法

シールチェックの実施

シールチェックの主な方法には、陰圧法と陽圧法がる。

ア 陰圧法によるシールチェック

面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて吸気口をふさぐ(連結管を有する場合は、連結管の吸気口をふさぐ又は連結管を握って閉塞させる)。息をゆっくり吸って、面体の顔面部と顔面との間から空気が面体内に流入せず、面体が顔面に吸いつけられることを確認する。

イ 陽圧法によるシールチェック

面体を顔面に押しつけないように、フィットチェッカー等を用いて排気口をふさぐ。息を吐いて、空気が面体内から流出せず、面体内に呼気が滞留することによって面体が膨張することを確認する。

 

 

 

面体(顔に着ける部分)の大きさによる分類

① 半面形面体(鼻上部から顎下まで覆う)

② 全面形面体(顔全体を覆うことで、同時に眼も保護する)

 

 

コメント