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月経前症候群 / 月経前不快気分障害(参考:月経周期)

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参照:月経周期

女性ホルモン

卵胞ホルモン(エストロゲン)

・卵胞から分泌される

・子宮内膜の増殖、卵胞の成長促進、子宮筋の肥大、乳管の成長促進

 

黄体ホルモン(プロゲステロン)

・黄体ホルモンは代謝されて抗利尿ホルモンになる

→水分貯留作用(浮腫)

・黄体ホルモンは体温を上げる(基礎代謝亢進)

→高温期

 

参照(このサイトより引用):https://imidas.jp/seichishiki/2/?article_id=l-88-005-19-12-g241

 

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「月経前症候群」と「月経前不快気分障害」の違い

・ともに、典型的には月経前数日に、多彩な心身症状が出現(あるいは増悪)し、月経開始後速やかに減退、あるいは消退という周期を繰り返す病態をさす

・「月経前症候群」は主に身体症状が前景となる、より軽症の病像を呈し、産婦人科領域で定義される。感情症状を必須としない点で月経前不快気分障害と区別される

・一方、「月経前不快気分障害」は主に精神症状が前景となる、より重症の病像を呈し、日常生活に支障をきたすもので、精神科領域で定義される。

・月経前不快気分障害の症状が軽い場合は、月経前症候群との線引きは難しい

 

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1)月経前症候群

・月経開始の3~10日前、黄体期後期に出現する発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退ないし消退するもの

・黄体ホルモンが原因とされる

・浮腫を呈することがある

・月経開始後4日以内に軽快する

 

症状

・過度の疲労感、倦怠感

・眠気

・食欲亢進

・腹部膨満感

・下腹部痛

・腰痛

・むくみ(65%)

・乳腺の張り

・頭痛

・精神症状(イライラ、抑うつ、落ち込み、情緒不安定、食欲亢進、健忘、集中力低下など)

※ 社会生活に明らかに支障をきたしている場合に限る

 

2)月経前不快気分障害

・抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラの4症状が中心で、食行動の変化や睡眠障害などの特徴的な症状が月経前に出現することで社会活動や人間関係に支障をきたす。

・原因や病態についてはまだ完全には明らかにはなっていません。

 

診断基準(アメリカ精神医学会)

A~Fの項目に該当し、BとCの項目(症状)についてはBで1つ以上、Cで1つ以上がそれぞれ当てはまり、BとCを合わせて5つ以上であることが診断の条件となる

 

A :ほとんどの月経周期において、月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が認められ、月経開始数日以内に軽快し始め、月経修了後の週には最小限になるか消失する。

B: 以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在する。
(1)著しい感情の不安定性(例:気分変動;突然悲しくなる、または涙もろくなる、または拒絶に対する敏感さの亢進)
(2)著しいいらだたしさ、怒り、または対人関係の摩擦の増加
(3)著しい抑うつ気分、絶望感、または自己批判的思考
(4)著しい不安、緊張、および/または“高ぶっている”とか“いらだっている”という感覚

C :さらに、以下の症状のうち1つ(またはそれ以上)が存在し、上記基準Bの症状と合わせると、症状は5つ以上になる。
(1)通常の活動(例:仕事、学校、友人、趣味)における興味の減退
(2)集中困難の自覚
(3)倦怠感、易疲労性、または気力の著しい欠如
(4)食欲の著しい変化、過食、または特定の食物への渇望
(5)過眠または不眠
(6)圧倒される、または制御不能という感じ
(7)他の身体症状、例えば、乳房の圧痛または膨脹、関節痛または筋肉痛、“膨らんでいる”感覚、体重増加

D: 症状は、臨床的に意味のある苦痛をもたらしたり、仕事、学校、通常の社会活動または他者との関係を妨げたりする(例:社会活動の回避;仕事、学校、または家庭における生産性や能率の低下)。

E; この障害は、他の障害、例えばうつ病、パニック症、持続性抑うつ障害(気分変調症)、またはパーソナリティ障害の単なる症状の増悪ではない(これらの障害はいずれも併存する可能性はあるが)。

F: 基準Aは、2回以上の症状周期にわたり、前方視的に行われる毎日の評価により確認される(注:診断は、この確認に先立ち、暫定的に下されてもよい)。

 

注:基準A~Cの症状は、先行する1年間のほとんどの月経周期で満たされていなければならない。

 

治療

日常生活、勤務などの社会生活に影響を与える中等度以上のPMS、PMDDのみが治療の対象になる

・治療にはカウンセリング、生活指導、薬物療法がある。

・比較的軽度の症例ではカウンセリング、生活指導が適応となる。

・生活指導には、症状日記の記録、疾患の理解、頻度と発症時期、重症度の位置づけの認識(認知療法)などがある。睡眠を含め規則正しい生活を送り、定期的に有酸素運動を行い、喫煙とコーヒーなどの嗜好品を制限する。重症の場合には仕事の制限、家事の軽減などを指導する。

・薬物療法には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、抗不安薬、鎮痛薬、漢方薬などがある。

・欧米では根本的治療としてSSRIが第1選択となっているが、これらの薬剤はわが国では保険適用がないので症状に応じて保険病名で対応する。

・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は、身体的症状の改善には有効であるが、精神的症状には有効ではないとされる

・患者に各薬物療法の効果、メリット、デメリットを詳細に説明して、患者本人に処方する薬剤を選択してもらう(informed choice)ことを原則とする。

・最終的にはGnRHアゴニストによる排卵抑制の選択枝がある。

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