吸入薬の選択基準
・吸入薬は大別すると「ドライパウダー吸入器(DPI)」と「加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)」がある。
DPI(dry powder inhaler)
・早い吸気速度が必要。深く早く吸い込むことになる
・自分のタイミングで吸い込むことができる
・青壮年者では使い勝手が良い
・レルベア®、アニュイティ®(ICS)、シムビコート®(ICS+LABA)など
pMDI(pressurized meterd-dose inhaler)
・吸気速度をあまり必要とせず、3秒ほどでゆっくり吸い込むことで投与可能
・プッシュする際に同調して吸入する必要がある
・早く吸入できない、同調できない場合は「スペーサー」を用いることで吸入可能(小児や高齢者)
・メプチン®、サルタノール®など
デバイスの種類
ブリーズヘイラー
・COPDの「ウルティブロ」「オンブレス」「シーブリ」、気管支喘息に用いられる「エナジア」(3種配合喘息治療薬)、「アテキュラ」の全5種類
・器具にカプセルを入れて、横のボタンを押すと出てくる針でカプセルに穴をあけ、それを吸い口から吸うという器具
・メリット:
吸入カプセルが透明で、薬剤の粉末を外から確認できる
吸入後に吸ったかどうか確認できる
しっかり吸えている時にはカプセルが回転してカラカラ音が鳴るため、うまく吸えているか確認しやすい。
・50L/分の吸気力(そばをすする力)が必要。弱い方では、薬を十分に吸い込めない。
・器具の中に薬剤カプセルをセットした後、横のボタンを押して、それによって出てくる針でカプセルに穴を開けるわけですが、穴を開けずに吸ってしまったら全く薬は出ない。またボタンは左右ともあるので、両方とも押すことでカプセルの左右両方から針が出てきて穴を開けられるが片方しか押さないと穴も片方しか開かず、中の粉がうまく出ない。
・一方吸入するときにはボタンを離さす必要があるが、ボタンを押したまま吸入すると、当然カプセルは串刺しのままになるので全く薬は出なくなってしう(実際に時々見かける落とし穴)。
エリプタ製剤
※とりあえず基本はこれで可
・フタを開けると、その動作でパウダーの薬剤が充填され、あとは吸うだけという非常にわかりやすい吸入器具
・ワンタッチで使える
・種類がそろっている(ICS、ICS+LABA、LAMA、LAMA+LABA、ICS+LABA+LAMA)
・1日1回でよい
・レルベア®(ICS+LABA)、アニュイティ®(ICS)、エンクラッセ®(LAMA)、アノーロ®(LAMA+LABA)、テリルジー®(ICS+LABA+LAMA)など
タービュヘイラー
・シムビコート®(ICS+LABA)、ブデホル®(シムビコートのジェネリック)
・「クルッ、カチッ」の2動作が必要
・スマート療法が可能(定期+発作時で合計1日最大8吸入まで可)
レスピマット
・DPIとpMDIの中間的機材
・ボタンを押すと噴霧し、それを自分のタイミングで吸入する
・吸入しやすい(吸う能力が低い高齢者などでよい適応)
・スピリーバ®(LAMA)、スピオルト®(LAMA+LABA)
吸入ステロイド
LAMA(long-acting muscarinic antagonist) 長時間作用性抗コリン薬
作用機序:
・気管支平滑筋のムスカリンM3受容体に結合し、副交感神経節後線維末端から放出されるアセチルコリンの作用を阻害することで、気管支平滑筋収縮を抑制する
・またM3受容体は粘膜下腺と杯細胞にも局在しており、抗コリン薬はこれらの受容体への結合阻害により気道分泌抑制作用を示す
禁忌(以下の場合はLABAを検討する)
・尿閉または排尿障害を呈する前立腺肥大症
・未治療の閉塞隅角緑内障
スピリーバレスピマット(2.5μg)®
・1回2吸入、1日1回
・COPDと喘息に保険適応
スピリーバ吸入用カプセル(18μg)
・1回1カプセル 1日1回
・COPDのみに保険適応
LABA:
オンブレス吸入用カプセル(150μg)®
・1回1カプセル 1日1回
・COPDのみに保険適応
セレベント50 ディスカス®
・1回50μgを1日2回 朝および就寝前
・COPDと喘息に保険適応
LAMA / LABA配合剤
ウルティブロ吸入カプセル(150μg)®
・1回1カプセル 1日1回
・COPDのみに保険適応
アノーロエリプタ®
・1回1吸入 1日1回
・COPDのみに保険適応
スピオルト®
・1回2吸入 1日2回
・COPDのみに保険適応
トリプル吸入製剤
テリルジー®
・ICS、LAMA、LABAの3成分を含有するエリプタ製剤
ビレーズトリエアロスフィア®
・pMDI製剤
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