特徴
・発作性運動誘発性ジスキネジア(Paroxysmal Kinesigenic Dyskinesia)は,座った状態から立ち上がったり,驚愕したり,運動の速度が変化したりなどの突然の動作によって引き起こされる,片側性あるいは両側性の不随運動発作が特徴である.
・発作は,ジストニア,舞踏病アテトーシス,バリスムの組み合わせから成り,時には前兆もあるが,意識を失うことはない.
・発作は,一日に100回と頻繁な場合や,一月に1回と稀な場合もある.
・発作の持続時間の多くは数秒から1分以内(長くて5分以内)であるが,数時間続くケースもある.
・発作の重症度や不随意運動のタイプや部位は多様である.発症年齢は,一般的に小児期~青年期だが,4か月から57歳にまで及ぶ.
・家族性PKD(常染色体優性遺伝)の場合が多い。孤発例もあるが、家族性の方が頻度が高い。
と乳児痙攣との関連に関する報告はあるが,成人発症の痙攣との関連に関する報告はない.・家族性PKDは男性患者が多い.
・有病率:約6~7人/100万人
・好発年齢:小児期~青年期に多い
・乳児けいれんの既往と関連があるともいわれている。
診断・検査
・家族性PKDの診断は,急な動作によって誘発されるジストニア,舞踏病,バリスム,アテトーシスなどの発作が一日に何度も起き,フェニトインやカルバマゼピンによって発作をとめたり,頻度を減少させたりすることができるという臨床的所見に基づいてなされる.
・PKDに関連する遺伝子は同定されていないが,いくつかの家系で染色体16qとの連鎖が確認されている.連鎖解析は,研究目的にのみ利用可能である.
臨床的マネジメント
・カルバマゼピンやフェニトインなどの抗痙攣薬の内服が著効する。通常,てんかんに対して用いるよりも少量で効果が得られる.
・その他の抗痙攣薬としてはオキシカルバマゼピン,エトサクシミド,ラモトリジンが有効である.
遺伝カウンセリング
・家族性PKDは,常染色体優性遺伝である.家族性PKD患者の90%以上がPKDの親をもつ.
・新生突然変異の割合は不明である.
・患者の子供は,50%の確率で遺伝子変異をうけつぐ.
・家族性PKDは不完全浸透なので,臨床的に発症していない親であっても変異遺伝子を有していて,発端者の同胞が変異をうけつぐ可能性が50%であるという状況はあり得る.
・出生前診断は利用できない.
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