「白癬」の定義
・「白癬」は皮膚糸状菌という真菌の一種によって起こる主に皮膚表面の感染症をいう。
・「白癬」と「皮膚糸状菌症」はほぼ同義語として使われてる。
・皮膚糸状菌は皮膚の表面の角質(ケラチン)を分解できる性質を持つ。
白癬の病型
・代表的なものは足に生ずる「足白癬」(俗に水虫とも呼ばれる)
・股にできれば「股部白癬」(俗称はインキンタムシ)
・髪の毛に白癬菌が感染したものは「頭部白癬」(俗にシラクモと呼ばれる)
・爪に感染したものは「爪白癬」
・手に感染したものは「手白癬」
・股以外の体に生じた白癬は「体部白癬」と呼ばれ、「銭型」をしているために俗に「ゼニタムシ」とも言われる
・白癬菌が皮膚の表面より内側、あるいはそれより深く侵入した場合は「深在性白癬」と呼ばれますが、この状態は極めて稀
カンジダとの鑑別
・白癬もカンジダ症もともに「表在性皮膚真菌症」に含まれる。
・表在性皮膚真菌症では白癬が最も多く,カンジダ症,マラセチア感染症の順で続き,この3疾患でほぼすべてを占める.
・皮膚真菌症では,臨床像から疑ったら,真菌学的に菌を証明することが必須である.鏡検が頻用される.
・診断したら治療であるが,表在性皮膚真菌症では菌が角層に存在するため,大部分の病型では外用抗真菌薬が基本となる.
・その際,菌種ごとに効果の高い抗真菌薬を選択することと病変の状態をみて適切な剤型を選択することが重要である.
・基剤選択を誤るとかえって悪化させてしまうこともある.
・また,爪白癬や頭部白癬,爪カンジダ症,カンジダ性爪囲炎など経口薬が基本となる病型および他の病型でも重症例では経口抗真菌薬を用いるが,経口薬の用法・用量
や採血内容を理解して,積極的に活用する.
・爪白癬外用抗真菌薬の適用となる病型や重症度を理解し,安易な外用療法を行わないように注意する
カンジダ性指間びらん症
検査
① 検鏡
参考サイト:皮膚真菌症の検査法
② 検査キット
治療
湿疹やびらんなどの合併症のある場合
・湿疹やびらんなどの合併症のある足白癬に外用抗真菌薬を使用することは推奨されない(推奨度4)。
・外用抗真菌薬は刺激性を有することがあるという観察研究が存在する。
・びらんがある場合は外用抗真菌薬による接触皮膚炎を起こしやすいため、亜鉛華軟膏などで治療した後、外用抗真菌薬を使用する。
イミダゾール系抗真菌薬
・「抗真菌外用薬」は,薬効の点から主に「白癬に有効なも」のと「カンジダ症に有効なもの」の 2 つに分類されていた。しかしイミダゾール系抗真菌薬の登場により,広い抗菌スペクトルを有する抗真菌薬が利用可能になった.
※ 非イミダゾール系薬(ハイアラージン、ラミシール、ペキロン)は白癬への高い殺菌力を持つが、カンジダにはあまり効かない。
ルリコン®(一般名:ルリコナゾール)
・イミダゾール系の外用抗真菌薬。
・真菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの合成を阻害することで、抗真菌作用を示す
・皮膚糸状菌(白癬)やカンジダ属真菌、マラセチア属真菌に対してすぐれた抗真菌活性を示す。
・また、ほかの病原性真菌(酵母様真菌、アスペルギルス属真菌、黒色真菌)にも強い抗真菌活性を示す
・作用持続時間が長いため、1日1回の使用で十分な効果が期待できます。
・軟膏・クリーム・液の3つの剤型がありますが、いずれも適応症は白癬(足白癬、体部白癬、股部白癬)、カンジダ症(指間びらん症、間擦疹)、癜風。
・使用回数は1日1回で、基本的にいつ塗っても構いません。しかし、入浴後は角質が軟らかくなっていて薬が浸透しやすいため、入浴後の使用がおすすめ。
フロリードD®(一般名:ミコナゾール硝酸塩)
・イミダゾール系の外用抗真菌薬
・フロリードDは、白癬の起因菌である白癬菌属・小胞子菌属・表皮菌属や、カンジダ症の起因菌であるカンジダ属のほか、アスペルギルス属、クリプトコッカス・ネオフォルマンスなどの諸菌種に対しても強い抗真菌作用を有する外用薬です
・フロリードDは、体部白癬(斑状小水疱性白癬、頑癬)、股部白癬(頑癬)、足部白癬(汗疱状白癬)、カンジダ症(指間びらん症、間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症、皮膚カンジダ症)、癜風に適応があります。
・通常は、1日2~3回患部に適量を塗布します。
ニゾラール®(一般名:ケトコナゾール)
・イミダゾール系の外用抗真菌薬。真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害して、抗真菌作用を発揮します。
・皮膚糸状菌やカンジダ属菌、癜風菌に対して強い抗真菌作用を示します。また、角質層への浸透性・親和性が優れており、効果持続時間が長いのも特徴です。
・ニゾラールにはクリームとローションの2つの剤型があり
・適応症は、白癬(足白癬、体部白癬、股部白癬)、皮膚カンジダ症(指間びらん症、間擦疹(乳児寄生菌性紅斑を含む))、癜風、脂漏性皮膚炎となっています。
・用法用量は疾患によって異なり、白癬・皮膚カンジダ症・癜風に使用する場合は1日1回、脂漏性皮膚炎に使用する場合は1日2回患部に塗布することとされています。
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