発行日 2021年7月15日
● 編集 一般社団法人日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会
● 発行 株式会社協和企画
● 定価 8,800円(本体8,000円+税10%)
脳梗塞急性期
・脳梗塞急性期の高血圧は降圧しないように勧められる(推奨 A :エビデンスレベル高)
・しかし、収縮期血圧>220mmHg または拡張期血圧>120mmHg の高血圧が持続する場合や、大動脈解離・急性心筋梗塞・心不全・腎不全などを合併している場合に限り、慎重な降圧療法を行うことを考慮しても良い(推奨度 C :エビデンスレベル低)
・血栓溶解療法を予定する患者で収縮期血圧 185mmHg 以上または拡張期血圧110mmHg 以上の場合と、血栓溶解療法施行後 24 時間以内の患者において、収縮期血圧 180mmHg または拡張期血圧105mmHg を超えた場合、降圧療法が勧められる(推奨度 A :エビデンスレベル低)
・220/120mmHgが持続する場合は、最初の24時間で15%までの降圧を「考慮してもよい」
25%以上の降圧は推奨されない(米国脳梗塞ガイドライン2019)
・降圧治療は発症から1か月以降から開始する(自動能が回復するまでに約1か月かかるため)
第一選択はACE-I(またはARB)
・神経症状が安定している高血圧合併症例では、禁忌等がない限り、発症前から用いている降圧薬を脳卒中発症後 24 時間以降に再開することを考慮しても良い(推奨度 C エビデンスレベル低)
・治療開始から2~3か月後の1次目標は150/95mmHg未満とする
・最終目標は140/90mmHg未満
脳出血急性期
・脳出血急性期における血圧高値をできるだけ早期に収縮期血圧 140mmHg 未満へ降圧し 、7 日間維持することは妥当である(推奨度 B エビデンスレベル中)
・その下限を 110mmHg 超に維持することを考慮しても良い(推奨度 C エビデンスレベル低)
・ 急性腎障害を回避するためには収縮期血圧降下幅が 90mmHg 超の強化降圧療法は勧められない(推奨度 D エビデンスレベル中)
・脳出血急性期に用いる降圧薬としては、カルシウム拮抗薬あるいは硝酸薬の微量持続静注を行うことは妥当である(推奨度 B エビデンスレベル低)
・カルシウム拮抗薬のうち、ニカルジピン塩酸塩(ペルジピン®)を適切に用いた降圧療法を考慮しても良い(推奨度 C エビデンスレベル低)
例)ペルジピン原液(1mg/10mL)シリンジポンプで
3mL/時(1μg/㎏/分)で開始、0.5mLずつ調整、最大10mL/時
・可能であれば、早期に経口降圧治療に切り替えることを考慮しても良い(推奨度 C エビデンスレベル低)
くも膜下出血
・再出血予防のためには、十分な鎮痛、鎮静を施すことは妥当である(推奨度 B エビデンスレベル低)
・軽症、中等症では収縮期血圧を 160mmHg 未満に降圧することが妥当である(推奨度 Bエビデンスレベル高)。前値の80%程度を目標
・降圧薬としては、ニカルジピン静脈内投与の有用性を示すデータが報告されている
・ただし、重症例で頭蓋内圧が亢進している場合には、不用意な降圧により脳灌流圧低下が生じ脳虚血を増悪させることがあるために、降圧薬投与は慎重に行うべきである
レジデントノート 2021年9月 Vol.23 No.9 治療効果が変わる! 利尿薬の選び方・使い方〜根拠をもって使うための基本知識と病態に応じた処方のコツを教えます
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