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自己免疫性胃炎

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疾患

・自己免疫性胃炎は、抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体などの自己抗体が関与し、自己免疫機序により胃粘膜の萎縮を引き起こす疾患である。

・典型例では、胃体部を中心とした萎縮性胃炎で、胃の出口付近の前庭部には萎縮を認めないか軽度である。

・Helicobacter pylori感染による胃前庭部を中心として胃体部に拡がる萎縮性胃炎とは内視鏡像が異なる(画像所見で判別は可能)。

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症状

・自覚症状は乏しく、長期にわたり無症状のまま徐々に進行する。

・進行後に出現する自覚症状も非特異的であることが多いが、進行すると胃酸分泌低下による鉄欠乏や、内因子低下によるビタミンB12欠乏の状態となり、貧血を認めるようになる。

 

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他疾患合併

・胃壁細胞の破壊により胃酸が低下するため、ネガティブフィードバックから高ガストリン血症を生じ、胃NET(neuroendocrine tumor/neoplasm: NET/NEN:神経内分泌腫瘍)が発症し易くなる。

・NET1型が多く発生しやすくなる。

・自己免疫性甲状腺炎の合併が多い

・自己免疫性胃炎と自己免疫性甲状腺炎との合併をきたしたものを「自己免疫性多内分泌腺症候群Type3B」と分類される

・甲状腺疾患や1型糖尿病など胃外の自己免疫性疾患の合併や、他部位の悪性腫瘍の発生率が高いとも言われており、単なる胃の疾患ではなく、全身性の疾患としてとらえて精査していく必要がある

 

検査

・血液検査で抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体を認める

・胃粘膜萎縮に伴いペプシノゲンが低下する

・内因子低下に伴いビタミンB12が低下し、鉄の吸収障害も起こしやすく貧血を生じる

・胃酸低下のネガティブフィードバックにより高ガストリン血症を生じる

・病理学的には、胃底腺領域のリンパ球、好酸球浸潤、壁細胞萎縮、腸上皮化生、幽門腺化生、内分泌細胞過形成を認める。

 

診断

日本では、Helicobacter pylori感染による萎縮性胃炎の頻度が高く、並存している場合も多いため、病態が複雑になり診断がつきにくいとされており、確定診断には上部消化管内視鏡検査や病理診断、血液検査も含め総合的に診断する。

自己免疫性胃炎のみによって萎縮が進んだ場合、尿素呼気試験が陽性(偽陽性)になることがあり、繰り返しHelicobacter pylori除菌を行われている場合がある。

また、血中Helicobacter pylori抗体陰性かつペプシノゲンI値とペプシノゲン I/ ペプシノゲンII比が低下する(ペプシノゲン検査陽性:胃がんリスク層別化検診D群)

そのためHelicobacter pylori感染によって萎縮が進行し自然除菌(除菌治療を行っていなくても、Helicobacter pyloriが自然に消失すること)されたと解釈されることが多いが、その中には自己免疫性胃炎が含まれている可能性がある。

早期発見、早期治療を行うためにも、少なくとも1年に1度の定期的な上部内視鏡検査を行うことをお勧めします。

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