疾患
・菊池病は1972年に九州大学病理学講座・菊池昌弘氏らにより報告された原因不明の急性~亜急性の経過で発症する良性の壊死性リンパ節炎である。
・「組織球性壊死性リンパ節炎」や「亜急性壊死性リンパ節炎」とも呼ばれる
・不明熱の鑑別疾患の一つ
・40歳以下の若年女性に好発するといわれている
・東洋人に多く,欧米では比較的まれで、20代~30代の女性に多くみられます。
・頸部リンパ節腫脹、発熱(微熱であることが多い)、皮疹(紅色丘疹型)、体重減少などを主徴候とする
・菊池らに報告されるまで、悪性リンパ腫と考えられ治療されていた例の中に、この病気が隠れていたことが分かり、その後「Kikuchi’s disease(菊池病)」として世界中へ広まった。
症状
・リンパ節腫脹
片側性の後頚部リンパ節腫脹が多い
大きさは0.5~4㎝、時に6㎝を超えることもある
弾性硬、可動性良好
圧痛は約60%に認める
全身性リンパ節腫脹を1~22%に認める
・発熱(微熱であることが多い)
・皮疹(紅色丘疹型)
・体重減少などを主徴候とする
・関節痛、筋痛、腹痛、肝脾腫などもある
血液検査
・白血球減少、貧血、血沈上昇、フェリチン高値を認めることがある
・異型リンパ球、汎血球減少、肝機能障害、LDH上昇を認めることがある
画像検査
頚部エコー検査
・複数のリンパ節が重なるように連続して腫大し、数珠のように並ぶ所見
造影CT
・罹患したリンパ節の内部は均質な造影効果を示す
・またリンパ節周囲への炎症浸潤や内部壊死を認めることもある
診断
・ウイルス感染(Epstein-Barr ウイルスなど)や悪性疾患を除外し、臨床経過と合わせて診断する。
・診断に迷う症例では、穿刺吸引細胞診やリンパ節生検が必要になる
リンパ節生検(または穿刺吸引細胞診)
・傍皮質から皮質にかけての壊死を伴う大型化、芽球化したリンパ球の浸潤を認める
・また核崩壊産物を貪食する組織球の出現を認める
鑑別疾患
・SLE
・悪性リンパ腫
・結核性リンパ節炎
治療
・確立された治療法はなく、対症療法が中心
・通常は無治療でも 1ヵ月から 1年弱の経過で自然軽快すると言われている。
・ステロイド剤が有効であることが多く、血液検査やリンパ節所見を確認しながら漸減する
予後
・3割は自然軽快する
・75%は3か月以内に軽快したが、6%は6か月以上の経過であった
・数ヵ月から数年後に再発する場合もあり(約5%)、症状が改善した後もしばらく慎重な経過観察が必要と考えられる
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