疾患
・網内系(骨髄、肝、脾、リンパ節)における血球貪食性の組織球増殖、複数系統の血球減少、発熱、肝障害、肝脾腫、血清フェリチン著増、DICで特徴づけられる疾患
・特定の遺伝子異常、もしくは家族歴を有し、主に小児に認められる1次性HPSと、感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患等に随伴して起こる二次性に区分される
・青年期~成人期に発症する2次性HPSに関して、悪性腫瘍で最も頻度が高いのは非Hodgkinリンパ腫や急性白血病である
・感染症を原因とするHPSの原因としてはEBV、HIV、ヘルペスウイルス、CMV、結核、リケッチアなど
・致死率は約40%と非常に高い
原因
・種々の原因で T リンパ球やマクロファージが活性化され、高サイトカイン血症により組織球が活性化し、自己血球を貪食する病態である。
・HPS は、一次性(遺伝性)と二次性(反応性)に大別される。
・一次性の多くは小児に発症する。
・日常遭遇するほとんどは二次性HPSであり、感染症・悪性腫瘍・自己免疫性疾患などさまざまな疾患に伴って発症することを念頭に置いておく必要がある。
・成人例では約半数が悪性腫瘍に由来する
分類
一次性(遺伝性)
二次性(反応性)
臨床症状
診断基準(2004診断ガイドライン)
以下の(1)又は(2)が満たされれば、血球貪食性リンパ組織球症と診断する。
(1) 一次性/遺伝性血球貪食性リンパ組織球症と符合する遺伝子異常がある
PRF1
(2) 以下の8つの基準のうち5つ以上を満たす
・38.5℃以上の発熱
・脾腫
・血球減少(3系統のうち少なくとも2系統)
Hb <9.0g/dl(4週未満の新生児では10.0g/dl)
Plt <10万/μl
好中球<1000/μl未満
・高中性脂肪血症(空腹時中性脂肪 265mg/dl以上)
及び/又は 低フィブリノーゲン血症(150mg/dl以下)
・骨髄、脾臓又はリンパ節における特徴的な血球貪食像(かつ悪性腫瘍の所見なし)
・NK細胞活性の低下あるいは消失
・血清フェリチン値 500ng/ml以上
・sIL-2R 2400U/ml以上
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