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長時間労働(過重労働)者に対する医師による面接指導、事後措置

  1. 過重労働により引き起こされる健康障害の発症に関連する職場における業務上の負荷要因
  2. 1か月当たりの時間外・休日労働が 80 時間を超える場合に労働者の生活サイクルへの影響
  3. 時間外・休日労働時間の算出方法
        1. 時間外・休日労働時間の算出方法
  4. 長時間労働に対する医師による面接指導
    1. 長時間労働者に対する医師による面接指導制度の趣旨:
    2. 長時間労働者への面接指導制度の概要:
  5. 長時間労働者(過重労働者)に対する面接指導の流れ
    1. 長時間労働者に対する面接指導の流れ
  6. 医師による長時間労働に対する面接指導の対象となる労働者
        1. (1)労働者(高度プロフェッショナル制度適用者を除く):
        2. (2)研究開発業務従事者:
        3. (3)高度プロフェッショナル制度適用者:
  7. 長時間労働者(過重労働者)に対する面接指導における確認事項
    1. 長時間労働者(過重労働者)に対する医師による面接指導の確認事項
        1. 記録すべき事項
  8. 面接指導の記録
  9. 面接指導を行う医師
  10. 産業医に健康相談や面談等がしやすい環境作成
  11. 労働者の状況を把握するために参考となる自記式質問票
        1. 「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」(2023 年改正版)
        2. 「抑うつ症状に関する質問」
        3. 職業性ストレス簡易調査票
        4. 日本産業衛生学会の自覚症しらべ
        5. 気分プロフィール検査(Profile of Mood States:POMS)
  12. 面接指導結果報告書・就業上の措置に係る意見書
  13. 面接指導の事後措置
        1. 事業者の事後措置
        2. 衛生委員会に報告するときの留意点
  14. 衛生委員会等での調査審議事項
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過重労働により引き起こされる健康障害の発症に関連する職場における業務上の負荷要因

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について

・労働時間

・不規則な勤務

・拘束時間の長い勤務

・出張の多い勤務

・交代制勤務・深夜勤務

・作業環境(温熱環境・騒音・時差等)

・精神的緊張を伴う業務

 

 

 

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1か月当たりの時間外・休日労働が 80 時間を超える場合に労働者の生活サイクルへの影響

・1月当たりの時間外労働時間が80時間を超えると、1日当たりの平均で睡眠時間が6時間よりも短くなると言われている。

・そして長期間にわたる1日4~6時間以下の睡眠不足状態では、睡眠不足が脳・ 心臓疾患の有病率や 死亡率を高めるとする報告がある。

 

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時間外・休日労働時間の算出方法

厚労省の労働時間管理に関する資料

「時間外・休日労働時間」(休憩時間を除き1週間当たりの労働時間が40時間を超えた場合に、その超えた時間をいいます)が1ヶ月当たり100時間を超えて疲労の蓄積が認められる従業員が労働安全衛生法第66条の8に基づく面接指導の対象となります。

ただし、医師が不要と認めたときは毎月行う必要はなく、連続する2ヶ月に一度は省略することが可能です。さらに、時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超えて、疲労の蓄積が認められる従業員や健康上の不安を有している従業員のほか、事業場で定めた基準に該当する従業員についても、面接指導等必要な措置の対象とするように配慮することが必要です。

この事業場における基準については衛生委員会等で審議し事業者が決定しますが、少なくとも時間外・休日労働時間が「1ヶ月当たり100時間を超える従業員」と「2ヶ月ないし6ヶ月の平均で1ヶ月当たり80時間を超える従業員」については該当する全従業員を対象に面接指導を行うようにしましょう。

また、これほどの長時間労働者がいなくても、時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり45時間を超える従業員がいる場合には、従業員の健康確保の観点から必要な措置を行うことが望まれます。

時間外・休日労働時間の算出方法

時間外・休日労働時間は、以下の計算式で算出します。

「時間外・休日労働時間数」
=1ヶ月の総労働時間数-(計算期間(1ヶ月間)の総暦日数/7)×40
【1ヶ月の総労働時間数=労働時間数+延長時間数+休日労働時間数】

 

 

 

 

長時間労働に対する医師による面接指導

長時間労働者への医師による面接指導制度について

 

 

長時間労働者に対する医師による面接指導制度の趣旨:

長時間の労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康の状況を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講じるものです。

 

長時間労働者への面接指導制度の概要:

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)の発症が長時間労働との関連性が強いとする医学的知見を踏まえ、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を行わなければならないこととされています。

また、この面接指導の対象とならない労働者についても、脳・心臓疾患発症の予防的観点から、面接指導または面接指導に準じた必要な措置を講ずるように努めましょう。

 

 

長時間労働者(過重労働者)に対する面接指導の流れ

厚生労働省パンフレット「医師による長時間労働面接指導実施マニュアル」

長時間労働者への医師による面接指導制度について

 

長時間労働者に対する面接指導の流れ

① 事業者から医師(産業医)への長時間労働者に係る情報の提供

② 事業者から「時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者」への、労働時間に関する情報の通知:

面接指導にあたっては、産業医等に

 

③ 医師(産業医)による面接指導の申出の勧奨

④ 対象労働者から事業者に対する面接指導の申出

・月100時間超の時間外・休日労働を行った研究開発業務従事者、高度プロ
フェッショナル制度適用者については、面接指導実施の申出がなくても面接指導の対象となる

⑤ 事業者から対象労働者への面接指導等の実施の通知

⑥ 医師(産業医)による面接指導等の実施

・勤務状況・疲労の蓄積状況等の把握
・メンタルヘルス面でのチェック
・把握結果に基づく必要な指導

⑦ 事業者から面接指導結果についての医師(産業医)の意見聴取

⑧ 事業者による事後措置の実施

・医師の意見を勘案して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数
の減少等の措置を講じる。

・衛生委員会への報告を行う

 

医師による長時間労働に対する面接指導の対象となる労働者

(1)労働者(高度プロフェッショナル制度適用者を除く):

義務:月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た

 

(2)研究開発業務従事者:

・義務:月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり面接を申し出た

・義務:月100時間超の時間外・休日労働を行った者

 

(3)高度プロフェッショナル制度適用者:

義務:1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた時間について月100時間超行った者

※ 健康管理時間:

高度プロフェッショナル制度(高プロ)の対象労働者が「事業場内にいた時間」と「事業場外において労働した時間」の合計時間のこと。

 

 

 

長時間労働者(過重労働者)に対する面接指導における確認事項

長時間労働者(過重労働者)に対する医師による面接指導の確認事項

・医師は、面接指導を行うに当たっては、当該労働者の「勤務の状況」「疲労の蓄積の状況」「その他心身の状況」について確認を行うものとする。

・事業者は、面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について、原則として、面接指導が行われた後、遅滞なく、医師の意見を聴かなければならない

・事業者は、面接指導の結果に基づき、実施年月日、労働者の氏名、面接指導を行った 医師の氏名、労働者の心身の状況及び面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するために必要な措置についての 医師の意見を記載した記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。

 

記録すべき事項

・実施年月日

・労働者の氏名

・面接指導を行った医師の氏名

・労働者の疲労の蓄積の状況

・労働者の心身の状況及び面接指導の緒果に基づく労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見

 

面接指導の記録

・安衛則第52条の6により、事業者は、面接指導の結果に基づき、実施年月日、労働者の氏名、面接指導を行った医師の氏名、労働者の疲労の蓄積の状況、労働者の心身の状況及び面接指導の結果に基づく労働者の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見を記載した記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。

 

面接指導を行う医師

・事業場に選任されている産業医が実施することが望まれます。

・産業医が選任されていない事業場においては、地域産業保健センターの登録医、健康診断機関(労働衛生機関)の医師、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師が実施しましょう。

 

産業医に健康相談や面談等がしやすい環境作成

・労働者に対して、「事業場における産業医の業務の具体的な内容」、「産業医に対する健康相談の申出の方法」及び「産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法」を周知しなければならない。
・また、時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超えた労働者に対しては、速やかに超えた時間に関する情報を通知しなければならない。このとき、面接指導の実施方法・時期等の案内を併せて行うことが望まれる。

 

労働者の状況を把握するために参考となる自記式質問票

「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」(2023 年改正版)

労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023 年改正版)

・労働者の疲労蓄積を、「最近1か月間の自覚症状」と「最近1か月間の勤務の状況」から判定するものです。

 

「抑うつ症状に関する質問」

抑うつ症状に関する質問

6抑うつ症状に関する質問

 

 

職業性ストレス簡易調査票

職業性ストレス簡易調査票

 

日本産業衛生学会の自覚症しらべ

日本産業衛生学会の自覚症しらべ

 

気分プロフィール検査(Profile of Mood States:POMS)

気分や感情を主観的側面から評価するために1971年に開発された、65項目から構成される自己記入式の評価尺度である

・POMSは、緊張、抑うつ、怒り、活気、疲労、混乱の6種の因子が測定できる心理テストである。

 

面接指導結果報告書・就業上の措置に係る意見書

長時間労働者、高ストレス者の面接指導に関する報告書・意見書作成マニュアル

 

 

面接指導の事後措置

事業者の事後措置
事業者は、医師の意見を勘案して適切な事後措置を決定し、実施します
事業者は実施内容について記録し、5年間保存します。
労働者への事後措置を講じた後、健康状態の改善が見られない場合には、再度、医師による面接指導を実施し、適切な措置を講じます。
事後措置を効果的に実施するために労働者の主治医と連携することが有効であると考えられる場合、産業医は主治医へも事後措置の内容を伝えることが望ましいでしょう。
産業医が事業場に選任されていない場合は、他の医療職か衛生推進者が主治医へ事後措置の内容を伝えるとよいでしょう。
衛生委員会に報告するときの留意点

衛生委員会の関与について
・衛生委員会で面接指導の対象者数及び実施者数、事後措置に関する医師の意見等の報告を行うことで、事業場における長時間労働の状況を把握でき、対策に結びつけることができます。

・ただし、個人が特定されないよう注意することが必要であり、どのような情報を共有するか事前に衛生委員会で決めておくとよいでしょう。
・ 面接指導対象者が多い職場や事業場が明らかとなり(継続して面接指導対象者が多い部署など)、組織的な対応や職場環境改善が必要と考えられる場合、必要に応じて衛生委員会で改善策を審議することが大切です。

・衛生委員会で審議された後は、管理監督者へ通知し、職場環境改善や面接指導対象者への事後措置へつなげることが必要です。

 

衛生委員会等での調査審議事項

過重労働による健康障害防止対策について、衛生委員会等での調査審議事項
① 長時間にわたる労働による労働者の健康障書の防止対策の実施計画の策定等に関すること
② 事業場で定める必要な措置に係る基準の策定に関すること
③ 面接指導等の実施方法及び実施体制に関すること
④ 労働者の申出が適切に行われるための環境整備に関すること
⑤ 申出を行ったことにより当該労働者に対して不利益な取扱いが行われることがないようにするための対策に関すること
⑥ 事業場における長時間労働による健康障害の防止対策の労働者への周知に関すること

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