電動ファン付き呼吸用保護具(powered air-purifying respirator:PAPR)
・「電動ファン付き呼吸用保護具」(Powered Air Purifying Respirators:PAPR)は、着用する労働者の周辺の作業環境中の空気をろ過して清浄にした空気を供給する「ろ過式呼吸用保護具」の一種で、空気中の粒子(粉じん)をフィルタによって除去し、電動ファンとバッテリーを使用して着用者に送風するため、自分の肺で空気を吸引する防じんマスクや防毒マスクより楽に呼吸ができ、着用者の呼吸用インタフェースの内部が外気圧より高く保たれる(陽圧)ため外気の漏れが少ない、防護率性能の高い呼吸用保護具のことです。
・PAPRは、防じんマスクや防毒マスクと比べ一般的に防護性能が高く、労働者の健康障害防止の観点からより有用であるため、着用が義務付けられている特定の作業以外の作業においてもPAPRを着用することが望まれます。
・PAPRには酸素を供給する能力はありませんので、酸素欠乏環境(酸素濃度18%未満)では指定防護係数が1000以上の全面形面体を有する給気式の呼吸用保護具(着用者が、周辺の作業環境中の空気とは別の空気、酸素又は呼吸可能なガスを呼吸する方式の呼吸用保護具)を使用してください。
電動ファン付き呼吸用保護具の種類
電動ファン付き呼吸用保護具の分類
(Powered Air Purifying Respirator for Particulate Matter:P-PAPR)
←従来の「電動ファン付き呼吸用保護具」② 防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具
(Powered Air Purifying Respirator for Toxic Gases:G-PAPR)
電動ファン付き呼吸用保護具の選択:
・粉じんが存在する環境では「P-PAPR(防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具)」を選択し、有毒ガスが存在する環境では「G-PAPR(防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具)」を選択し、有毒ガスと粉じんが混在する環境では「G-PAPRで防じん機能を有するもの」を選択します。

「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)」が型式検定の対象機械に追加されました
「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)」が型式検定等の対象機械に追加されました:
・これまで電動ファン付き呼吸用保護具については、「防じん用電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)」のみが型式検定の対象とされてきましたが、今般、「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」(G-PAPR)も「型式検定」の対象となりました。この改正は、令和5年10月1日から施行・適用されました。
・これに伴って、従来の「電動ファン付き呼吸用保護具」の名称は、「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」(P-PAPR)に変更されました。
・型式検定に合格していない「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具」(G-PAPR)は、2026年(令和8年)9月30日までしか使用できませんので、それまでに型式検定に合格したものに買い換えてください
・ 型式検定化に伴い、有機則、特化則等が改正され、法令等で防毒マスクを使用しなければならないとされていた作業でG-PAPRが使用できるようになりました。
PAPRの使用が義務付けられている作業
電動ファン付き呼吸用保護具の使用が義務付けられている作業:
• 石綿除去作業(石綿障害予防規則)
・石綿除去作業のうち、「石綿除去作業用マスク区分1」(最も発じん性が高い「レベル1」のアスベスト(吹き付け石綿など)除去作業で必要とされる最高性能の防じんマスク)を使用する作業
・国家検定合格品の面体形及びフード形(大風量形、S級、PL3又はPS3)
• トンネル建設工事作業(粉じん障害防止規則)
・ずい道等建設作業のうち「動力を用いて掘削する場所」、「動力を用いて鉱物等を積み込み又は積み卸す場所」、「コンクリート等を吹き付ける場所」における作業
• 溶接作業(特定化学物質障害予防規則)
・国家検定合格品
・溶接ヒューム濃度測定結果に応じて算出した要求防護係数を上回る指定防護係数に限定
※溶接ヒューム濃度測定の結果によっては、PAPR以外の呼吸用保護具を使用可。
• ナノマテリアル取扱い作業(通達「ナノマテリアルに対するばく露防止等のための予防的対応について」)
・国家検定合格品(大風量形、PL3又はPS3)
・予想される作業者のばく露量等に応じ形状を限定
※作業環境によっては、PAPR以外の呼吸用保護具を使用可。
• インジウム取扱い作業(特定化学物質障害予防規則)
・国家検定合格品(大風量形、PL3又はPS3)
※作業環境測定の結果によってPAPR以外の呼吸用保護具を使用可
• ダイオキシン類取扱い作業(通達「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱の改正について」)
・ダイオキシン類等のばく露のおそれのある作業のうち、レベル1に該当する作業
・国家検定合格品(大風量形、PL3又はPS3)
電動ファン付き呼吸用保護具の規格
・電動ファン付き呼吸用保護具の規格には、区分、形状、電動ファンの性能、防じん機能、材料、 構造があります
電動ファン付き呼吸用保護具:形状による種類

・電動ファン付き呼吸用保護具の形状は、呼吸用保護具が装着者の顔面に密着する構造の「面体形」と、呼吸用保護具が装着者の顔面に密着しない構造の「ルーズフィット形」に大別される。
・「面体形」と「ルーズフィット形」はそれぞれ、面体と吸収缶とが離れていて連結管で接続されている「隔離式」と、吸収缶が面体に直接つながっている「直結式」に分類される

1)面体形
面体は顔面全体を覆う「全面形」と鼻及び口辺のみを覆う「半面形」に分類される
① 面体形隔離式
電動ファン、ろ過材又は吸収缶、連結管、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより連結管を通して面体内に送気し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの
② 面体形直結式
電動ファン、ろ過材又は吸収缶、面体、排気弁及びしめひもからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより面体内に送気し、呼気は排気弁から外気中に排出するもの
2)ルーズフィット形
① ルーズフィット形隔離式
電動ファン、ろ過材又は吸収缶及び連結管並びにフード又はフェイスシールドからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンにより連結管を通してフード内又はフェイスシールド内に送気するもの
② ルーズフィット形直結式
電動ファン及びろ過材又は吸収缶並びにフード又はフェイスシールドからなり、かつ、ろ過材又は吸収缶によって粉じん又はガス若しくは蒸気をろ過した清浄空気を電動ファンによりフード内又はフェイスシールド内に送気するもの
電動ファン付き呼吸用保護具:性能による区分
(1)電動ファンの性能による区分
・電動ファンの性能により、「通常風量形」と「大風量形」に区分するものとする。

(2)電動ファン付き呼吸用保護具の「漏れ率に係る性能」による区分
漏れ率(パーセント)とは:
・作業環境の粉じん濃度と、マスクの内側の粉じん濃度の比率(パーセント)
・呼吸用保護具の漏れ率は、防護係数の逆数で計算される。
・マスクと顔面とのフィット(密着)性を示す。
・粒子を含む部屋の中でマスクを着用し、粒子がマスクと顔の隙間から漏れ込む率を計算する。
・「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)」は、その漏れ率に係る性能により、S級(0.1%以下)、A級(1.0%以下)及びB級(5.0%以下)に区分するものとする。
・「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)」にあっては、最も高い漏れ率が、0.1パーセント以下であること。

(3)電動ファン付き呼吸用保護具の「ろ過材の性能による区分」(粒子捕集効率による種類):
・「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)」及び「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するもの(G-PAPR)」のろ過材は、その性能により、PS1、PS2、PS3(固体粒子)、PL1、PL2、PL3(液体粒子)に区分するものとする。
・粒子捕集効率95.0%以上を「区分 1」、99.0%以上を「区分 2」、99.97%以上を「区分 3」とする

※ 口頭試問用:
電動ファン付き呼吸用保護具の規格について:
① 漏れ率による区分
・マスクと顔面とのフィット(密着)性を示す区分。粒子を含む部屋の中でマスクを着用し、粒子がマスクと顔の隙間から漏れ込む率を計算する。
漏れ率
=(面体内粉じん濃度) / (室内粉じん濃度)
=1 / {(室内粉じん濃度)/(面体内粉じん濃度)}
=1 / 防護係數
※ 呼吸用保護具の漏れ率は、防護係数の逆数で計算される。
・「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)」は、その漏れ率に係る性能により、S級(0.1%以下)、A級(1.0%以下)及びB級(5.0%以下)に区分される。
・「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(G-PAPR)」にあっては、最も高い漏れ率が、0.1パーセント以下であることが必要である。

② 粒子捕集効率による区分(ろ過材に係る性能)
・「防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(P-PAPR)」及び「防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であって防じん機能を有するもの」のろ過材は、その性能により、PS1、PS2、PS3(固体粒子)、PL1、PL2及びPL3(液体粒子)に区分するものとする。
・粒子捕集効率95.0%以上を「区分 1」、99.0%以上を「区分 2」、99.97%以上を「区分 3」とする

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