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高気圧障害

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高気圧障害とは

高気圧障害とは、高気圧環境にばく露することによる障害であり、厚生労働省の定義は「減圧症、酸素中毒及び窒素酔い等」とされている。

 

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減圧症

・減圧症とは、高気圧状態から急速に減圧したとき、血液中に溶解していた窒素ガスが気泡となって、気泡による血流障害(気泡塞栓)や、気泡が組織を圧迫することによる障害の総称である。凝固系や補体系の活性化や、種々の液性因子の放出によって、さまざまな障害が起きる。

・減圧症は、比較的軽度なⅠ型減圧症と、より重篤なⅡ型減圧症に分類される。

・Ⅰ型には、皮膚の掻痒、疼痛、発疹などの皮膚型と、四肢の関節・筋肉痛などの筋肉関節型減圧症(ベンズ)などがある。

・Ⅱ型には、前胸部痛や呼吸困難、ショックなどの呼吸循環器型減圧症(チョークス)や、重篤な運動麻痺や感覚障害などの中枢神経型、めまいや嘔気などの内耳前庭型などがある。

・肥満は減圧症のリスクになる。脂肪は窒素が溶け込みやすいので、体内の脂肪分が多いと減圧時に窒素の気泡がより多く形成されやすくなり、減圧症のリスクが高まると考えられている。

 

減圧症の予防

4 減圧停止時間に関する規制の見直し

旧高圧則では、呼吸に使用する気体を空気と想定し、単一の減圧表に基づき、減圧停止時間などを確認し、減圧管理を行っていましたが、今回の改正では、空気以外の混合ガスにも対応するため、旧高圧則別表の減圧表を廃止し、代わりに減圧停止時間を求める計算式を導入しました。
具体的には、ある区間ごとに、その区間の不活性ガス(窒素とヘリウム)の分圧を計算式によって求め、その値がその区間で人体が許容できる最大の不活性分圧を超えないように、減圧停止圧力や減圧停止時間を事業者が自ら設定します。

 

 

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酸素中毒

・通常よりも酸素濃度が高い、もしくは酸素分圧が高いガスを呼吸することにより、引き起こされる中毒症状で、肺型酸素中毒と中枢神経型酸素中毒がある。

・肺型酸素中毒の症状としては、胸部の痛み、呼吸困難を生ずる。

・中枢神経型酸素中毒の症状としては、全身の痙攣や意識障害が生ずる。

・慢性の酸素中毒(肺酸素中毒)の主な症状は肺の障害で、胸部違和感、咳・痰、肺活量の減少などが生じる。

 

酸素ばく露量の算出

・酸素ばく露量の算出の際は、UPTD(肺酸素毒性量単位)をその単位として用いる。

Unit Pulmonary Toxic Dose (UPTD:肺酸素毒性量単位)

定義:

1気圧で100%の酸素を1分間呼吸すること により生ずる肺毒性の度合。

高分圧酸素による肺機能障害として、肺活量の減少を指標にした毒性単位

 

 

 

窒素酔い

・加圧により身体に溶け込んだ窒素が多くなることにより引き起こされる麻酔作用を「窒素酔い」という。

・人が陸上(大気圧下)で吸っている空気のおよそ80%は窒素である。窒素は大気圧下では身体に何の作用も及ぼさない。

・しかし水中では大気圧の他に水圧がかかります。水圧は水深が10m増すごとに1気圧ずつ増えていき、水深10mでは大気圧1+水圧1=2気圧、水深20mでは大気圧1+水圧2=3気圧となる。この大気圧と水圧の合計を「環境圧」といいます。

・ダイビング中に呼吸する空気は、環境圧と同じ圧力になっている。そのため、水深が深くなるほど(環境圧が高くなるほど)、空気中の窒素の圧力も高くなる。

・水深25m~30m(環境圧3.5気圧~4気圧)あたりから窒素酔いの症状が出る可能性があるといわれている。
・窒素酔いを避けるため、ヘリウムと酸素を混合したガスや、アルゴンと酸素を混合したガスが用いられることがある。すなわち、ヘリウムやアルゴンは不活性ガスであり、それほど分圧を下げる必要はない。

・窒素酔いそのものはそれほど危険なものではないが、軽い躁状態となり、危機感が薄れるので、事故の原因となり得る。

 

スクイーズ(締め付け現象)

・スクイーズ(締め付け現象)とは、体内に圧力が不均衡に加わることによって発生する障害をいう。

・急速に身体に加圧すると、どうしても体内の圧力が均一に上がるのではなく、不均衡に上がる。

・中耳腔では、耳の鼓膜の内外に圧力差を生じると耳が痛くなる。副鼻腔では、鼻腔と副鼻腔の圧力差によって前額部に疼痛が生じる。

 

 

 

高圧室内業務と潜水業務に共通する課題

・水深40mを超える潜水作業では、ヘリウム混合ガスを呼吸ガスとする。

 

 

健康診断

高気圧作業安全衛生規則上、事業者が高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者に対し、当該業務についた後6か月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。

・健康診断の項目

一 既往歴及び高気圧業務歴の調査

二 関節、腰若しくは下肢の痛み、耳鳴り等の自覚症状又は他覚症状の有無の検査

三 四肢の運動機能の検査

四 鼓膜及び聴力の検査

五 血圧の測定並びに尿中の糖及び蛋白の有無の検査

六 肺活量の測定

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