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肺炎球菌ワクチンについて

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肺炎球菌ワクチン

現在の肺炎球菌ワクチン

「15価肺炎球菌結合型ワクチン」(PCV15:バクニュバンス®)(→2024年4月から乳幼児定期接種

「20価小児用肺炎球菌ワクチン」(PCV20:プレベナー20®)(→2024年10月から乳幼児定期接種)

「23価莢膜多糖体型肺炎球菌多糖体ワクチン」(PPSV23: ニューモバックスNP®)(→高齢者定期接種)

 

 

結合型と莢膜多糖体ワクチンの違い

・肺炎球菌は爽膜多糖体の抗原性により、現在93種類の血清型に分類されている。
・PPSV23(pneumococcal polysaccharide vaccine23)は、23種類の血清型の莢膜多糖体が含まれたワクチンである。肺炎球菌感染症の85-90%をカバーすると言われている。
・侵襲性(重症化する)の肺炎球菌感染症、特に高齢者の肺炎を起こす頻度の多い種類から、そしてワクチンとして使える種類を 23 種類選択して作成されている。
・一方、乳幼児用の15価肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌性髄膜炎を予防するために、髄膜炎を起こしやすい種類を選択している。

・結合型ワクチンは莢膜多糖体をキャリア蛋白に結合させることで、T細胞依存性抗原に変換され、よりaffinityの高い抗体産生能があり、免疫学的記憶の成立によりブースター効果も期待でき、B細胞が未熟な乳幼児にも良好な免疫応答を誘導することができる
・一方、成人用の莢膜多糖体型ワクチンに含まれる莢膜多糖体はB細胞依存性抗原であるため免疫記憶を獲得できず、免疫は数年後には減弱し、また追加接種による著明なブースター効果は認められない。

 

「15価肺炎球菌結合型ワクチン」(PCV15:バクニュバンス®) (→2024年4月から乳幼児定期接種)

・15価肺炎球菌結合型ワクチン(バクニュバンス®)は、2022年9月に国内で承認され、2023年4月から高齢者や肺炎球菌に罹患するリスクが高い成人を対象に任意接種が可能となりました。2023年6月からは小児にも適応が拡大され、2024年4月1日からは小児の定期接種にもなっています。
・カバーする型:PCV13の13種( 1, 3, 4, 5, 6A, 6B, 7F, 9V, 14, 18C, 19A, 19F, 23F)+ 22F, 33Fの合計15価
・15種類の血清型の血清型の莢膜多糖体に担体となるキャリア蛋白(非病原性ジフテリア蛋白:CRM197)を結合させたワクチンである。キャリア蛋白に結合させることで、T細胞依存性抗原に変換され、よりaffinityの高い抗体産生能があり、免疫学的記憶の成立によりブースター効果も期待でき、B細胞が未熟な乳幼児にも良好な免疫応答を誘導することができる
※ 一方、成人用のPPV23( ニューモバックスNP®)に含まれる莢膜多糖体はB細胞依存性抗原であるため免疫記憶を獲得できず、免疫は数年後には減弱し、追加接種による著明なブースター効果は認められない。

・小児の予防接種ではPCV15が定期接種であるが、65歳以上の者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果が承認された。

 

20価小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー20®) (→2024年10月から乳幼児定期接種)

・2024年10月1日から20価小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー20®)が定期接種に追加されました。

・カバーする型:PCV15の15種 + 8, 10A, 11A, 12F, 15Bの合計20価

・2024年10月1日以降の小児用肺炎球菌予防接種に使用するワクチンは20価小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)と15価小児用肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス)になります。

・バクニュバンス(PCV15)とプレベナー20(PCV20)の交互接種はできません(交互接種に関する効果や安全性に関して十分なデータがないため)。従って、バクニュバンス(PCV15)ではじめた方はバクニュバンスですべて打ち終える必要があり、10月以降は基本的にプレベナー20(PCV20)で開始し、すべてプレベナー20で打ち終える必要があります。

 

PPSV23( ニューモバックスNP®)

・2014年10月1日から、高齢者を対象としPPSV23( ニューモバックスNP®)が定期接種化された。

・成人用のPPSV23( ニューモバックスNP®)に含まれる莢膜多糖体はB細胞依存性抗原であるため、免疫は数年後には減弱し、追加接種による著名なブースター効果は認められない。

・多糖体ワクチンであるため、2 回目を追加接種してもあまり劇的な追加免疫効果はない

1回目とほぼ同等か多少低い抗体価しか上昇しない。3 回目はさらに低いとされている。

・また 2 回目の追加接種では 1 回目よりも副反応が多少増えるため注意が必要。

・稀には接種部位が蜂窩織炎様に 10㎝ほど腫れあがり痛みと熱感がひどいという副反応もある。

・そのため、これまでは65 歳以上は1回でもいいとされていたが、最近の検証などでは 2 回目までは有効であろうと考えられている。

・ただ基礎疾患のある侵襲性肺炎球菌感染症に関しての有効性は認められているが、健康人の肺炎予防の有効性についてのデータは様々である。

PPSV23初回接種後の予防効果は3-5年で低下するとの報告もあり、わが国では初回接種後5年以上あければ2回目の接種(任意接種)をすることができる。

・ただし、PPSV23の再接種(2回目以降)の実際のIPD予防効果についてはエビデンスがはっきりしておらず、2回までが一般的

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65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6版 2024 年 9 月 6 日の改訂)

・23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)は定期接種(B類疾病)として、2024年度から65歳の者及び60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患を有する者等を対象に接種されています。
・このたび、20価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV20)が2024年8月28日に国内で高齢者とハイリスク者に対して薬事承認されたことを受け、日本呼吸器学会、日本感染症学会、日本ワクチン学会の合同委員会は「考え方」の第6版を作成し公開することとしました。Life-course immunizationの考え方に基づいて、高齢者やハイリスク者に肺炎球菌ワクチンがさらに普及してゆくことを願っています。

定期予防接種を中心とした肺炎球菌ワクチン接種

1)PPSV23 未接種者について
① 65 歳の者(PPSV23 の定期接種)
PPSV23 未接種で、65 歳の者等及び 60 歳以上 65 歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患を有する者が PPSV23 の定期接種の対象となる。PPSV23 接種後 5 年以上の間隔で PPSV23 の再接種 、または 1 年以上の間隔で PCV20 の接種、あるいは PCV15-PPSV23 の連続接種をすることも考えられる。PCV15 と PPSV23 の接種間隔については、1 年から 4 年が適切と考えられる。
② 66 歳以上の者(任意接種)
PPSV23 未接種で、66 歳以上の者は、PPSV23 接種または PCV20 の接種、あるいはPCV15-PPSV23 連続接種を選択できる。PPSV23 接種の場合は、接種後 5 年以上の間隔をおいて PPSV23 を再接種することもできる 。
PCV15-PPSV23 の連続接種の場合は、PPSV23 の接種間隔は 1 年から 4 年が適切と考えられる
。後述のように、ハイリスク者においては PCV15-PPSV23 連続接種または PCV20 の接種を検討することが望ましい。
2)PPSV23 既接種者について
PPSV23 既接種者は定期接種の対象外となる。PPSV23 接種後 5 年以上の間隔をおいて PPSV23 の再接種、または 1 年以上の間隔で PCV20 の接種、あるいは PPSV23接種後1年以上の間隔をおいて PCV15-PPSV23 の連続接種をすることも考えられる。
PCV15 接種後に PPSV23 を再接種する場合には、1 年から 4 年が適切と考えられる。この場合も PPSV23 の再接種間隔は 5 年以上が必要である。

 

ニューモバックスNPは何回まで繰り返し接種できるか

・PPSV23初回接種後の予防効果は3-5年で低下するとの報告もあり、わが国では初回接種後5年以上あければ2回目の接種(任意接種)をすることができる。

・2回目以降の効果についてはエビデンスがはっきりしておらず、一般はに1-2回接種

 

 

 

 

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