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Shared decision making(SDM)

医療者と患者が、エビデンスだけでなく、個々の価値観や好み、希望、そして不安について十分に話し合いながら、互いにもつ情報を共有していく中で一緒に治療方針を決定する、家庭医療を特徴付ける手法の一つ。「協働的意思決定」と呼ばれている。

 Elwynの3ステップモデルは、Choice Talk、Option Talk、Decision Talkという3つのステップを踏む方法である。相互にコミュニケーションを取りながら、患者が正しく医学的情報を理解し、自分は何を大事にして決めたいかをよく考えて、自分らしい決定ができるようにつくられたものである。

 このステップの間、医師または看護師などの医療者は情報を提供したり、質問に答えたり、患者さんが意思決定に参加できるように励ましたり、希望を聞くなど意思決定のサポートを行う。

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1)Choice Talk(選択の必要性についての話し合い):
 Choice Talkは3ステップの最初のステップである。具体的には次のような内容を含む。
 ・選択が必要であるということ、話し合いをして決めるということを患者に伝える。
 ・一番ふさわしい選択のためには、患者の好み(プリファレンス)も考慮するべきだという
  ことを伝える。
 ・患者の反応を確認する(関心を持って聞いているか、動揺しているかなど)。
 ・すぐに結論を出さない(患者から医師の薦める方法を尋ねられる場合には、
  決めるプロセスをサポートすることや、医師が自分の意見ももちろん一緒に
  共有するけれど、その前にもう少し詳しく選択肢の説明をすることなどを伝える。)
患者中心の医療を考える場合、医学的診断に加えて、患者の好み(プリファレンス)を治療法の決定に加味することがとても重要である(Mulley,et al, 2012)。Mulleyらの提示する3ステップでは、医師が医学の専門家であるのと同じように、患者には「自分の人生において何を大事にして生きるかを知る専門家である」ということ、チームの一員として決める際に積極的に参加してもらう役割があるということを患者に知ってもらうことを含むので、最初のステップをチームトークTeam talkと表現している(Mulley,et al, 2012)。

2)Option Talk(選択肢についての話し合い)
 Option Talkとは、選択肢それぞれの内容を詳しく伝え患者の理解を深める段階である。
 具体的には次のような内容を含む。
   ・選択する内容について誤解がないか、患者の理解を確認する。
   ・あてはまる選択肢をリストにして提示する
   (場合によっては、積極的な経過観察といった選択肢も含まれる)
   ・選択肢それぞれの医学的方法の違いを説明し、対話の中から好み
   (プリファレンス)を探る(特にそれぞれの選択肢のメリットとデメリット、
    身体・心理面・人間関係や役割などの社会的な面に起こる影響を伝える
    その違いがどう受け止められるかは患者によって違うということも話し合う)。
   ・意思決定の支援ツールを提供する。
   ・まとめと振り返りを行い、理解の確認をする(ティーチバックも活用できる)

3)Decision Talk(決定についての話し合い)
 3ステップモデルの最後のステップ。具体的には次のような内容をむ。
   ・好み(プリファレンス)に焦点をあて、何が大事だと思うかを尋ねる。
   ・希望があれば、もう少し決めるまでに時間をかけてもよいこと
   (治療上どのぐらい待てるか可能な範囲による)を伝え、好み
   (プリファレンス)を引き出す。
   ・決定を先に延ばしたほうがよいか、決定へ移ってよいかを確認する。
   ・決定を振り返ることが、決めるまでのプロセスを終結するのによい方法である。
ここでは、患者にとって何が重要かを尋ねたり、はっきりと好み(プリファレンス)を引き出すことに焦点をあて、そのうえで決定に移行する。

【考察】
SDMは、患者と医療者が話し合いながら意思決定を行う実践的なツールである。絶対的な治療方針の正解がない場面での意思決定に特に有効。またSDMの実践過程では必然的に対話が生まれ、患者の好みや価値観を把握できるためadvanced care planningとも相性が良く、社会的背景を含めて勘案すべき事項が多い高齢者医療においては特に有効な治療方針決定手法と考えられる。

引用文献
Elwyn, G., Frosch, D., Thomson, R., et al. (2012). Shared decision making: A model for clinical practice. Journal of General Internal Medicine, 27(10), 1361-1367.

Mulley, A. G., Trimble C., Elwyn, G. (2012). Stop the silent misdiagnosis: patients’ preferences matter. British Medical Journal, 345, 1-6.


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