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鉄欠乏性貧血(症状、診断、治療)

・肥満(体内への鉄吸収、体内の鉄遊離低下をきたすヘプシジンが増加するため)

 

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特徴的な症状

・restless legs 症候群の合併あり

・異食症(土、粘土、チョーク)

・氷食症

 

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検査

血算

・一般には小球性低色素性貧血となるが、MCV正常の正球性正色素性貧血も40%以上あり

・反応性血小板増多症を来すことがある

 

血清フェリチン値

診断能に最も優れた検査

血清フェリチン値<15ng/mLの時、鉄欠乏性貧血と確定診断できる(LR 51.8)

高齢者では血清フェリチン<50ng/mLで鉄欠乏が強く示唆される

・血清フェリチン値≧100ng/mLで否定できる

 

TIBC、UIBC、Fe

・血清中の鉄は、すべて血清蛋白のβ1グロブリン分画に属するトランスフェリンと結合して存在する。

・鉄と結合しているトランスフェリンはは全体の約1/3で、残り2/3は未結合の形で血液中に存在している。

・トランスフェリンの総量が総鉄結合能(TIBC)である。そのうち、鉄が結合していないトランスフェリンの量が不飽和鉄結合能(UIBC)である。

したがって、

TIBC(トランスフェリンの総量) = UIBC + Fe(すべてトランスフェリンと結合)

の関係がある。

 

・トランスフェリンは主に肝臓で産生される為、肝障害や低栄養状態などが要因でトランスフェリンの合成が低下した場合や、ネフローゼ症候群のように蛋白質が体外に排出される病態ではトランスフェリンが低下する(TIBCも低値となる)

 

トランスフェリン飽和度:transferrin saturation(TSAT)
・TIBCのうちで、鉄が結合している割合を「トランスフェリン飽和度(TSAT)」という。
TSAT = Fe / TIBC ×100(%) 正常:20~25%
・TSATとフェリチンから鉄が足りているか、鉄欠乏の診断ができる。
・トランスフェリン飽和度20%以下
・血清フェリチン濃度 100ng/mL 以下
の場合、鉄欠乏と診断する。
鉄欠乏性貧血での検査の解釈
・鉄欠乏性貧血では、貯蔵鉄(フェリチン)で補えているうちは、貧血症状は出現しないが、徐々に血清フェリチンが低下する。フェリチンが尽きると、次に血清鉄が減少する。
・それに対して体は、運び屋であるトランスフェリンを増やして対応しようとするので、TIBCが増加する。しかしトランスフェリンに載せる鉄がそもそも少ないので、空のトラックであるUIBCも増加する。

 ※ 鉄欠乏性貧血 ⇒ TIBC、UIBCともに上昇

 

鉄欠乏性貧血を認めたら、次にすべきこと

・男性と更年期以降の女性では、悪性腫瘍による消化管出血を見逃さないために、上部および下部の消化管内視鏡検査を行う

・月経のある女性の高度な鉄欠乏性貧血では、過多月経の原因となる婦人科疾患を見逃さないため、産婦人科へのコンサルテーションを行う。

PPI等の制酸薬は鉄剤の吸収を阻害するため、処方内容を確認すること

・一般的な検索で原因が見つからない場合

ヘリコバクター・ピロリ感染症(思春期患者に多い)、Celiac病、自己免疫性萎縮性胃炎、遺伝性疾患(iron-refractory iron deficiency anemia)の有無について検討する(プライマリ・ケアではピロリ感染の評価まで行う)

 

治療

・鉄剤の内服、静注(静注の方が改善が早い)

・鉄剤投与期間の判断は、血清フェリチン値が安定して25ng/mLを上回るまで、

あるいはHbが改善してから最低6か月後まで

・ただし、250ng/mL以上の場合は鉄過剰であり、投与を中止する。

 

治療抵抗性の鉄欠乏性貧血の鑑別

・持続的な消化管出血(大腸進行癌、過多月経)

・鉄吸収障害(胃切除後、自己免疫性萎縮性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症)

・PPI内服

 

 

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