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ネフローゼ症候群

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ガイドライン

エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020

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疾患

・ネフローゼ症候群( Nephrotic syndrome)は、腎糸球体係蹄障害による蛋白透過性亢進に基づく大量の尿蛋白漏出と,これに伴う低蛋白(低アルブミン)血症を特徴とする症候群である.

・ネフローゼ症候群では腎機能障害(慢性腎臓病および急性腎障害)の他,蛋白喪失に伴う合併
症として浮腫,脂質異常症,血液凝固異常(血栓傾向),内分泌異常,免疫不全,易感染性などさまざまな病態を合併する.

・病理学的には糸球体基底膜の透過の亢進を一次的異常として認める。時に脂質異常症も合併する。

・ネフローゼ症候群は、原発性糸球体疾患に起因する「一次性」と、続発性糸球体疾患による「二次性」に分類される。

 

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原因疾患

一次性ネフローゼ症候群
一次性ネフローゼ症候群は腎生検による病理診断によって分類される.
・微小変化型ネフローゼ症候群(または微小変化型:Minimal change nephrotic syndrom:MCNS)
・巣状糸球体硬化症(Focal glomerulosclerosis:FGS)、または
巣状分節状糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)
・膜性腎症(Membranous nephropathy:MN)
・増殖性糸球体腎炎(Membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)
二次性ネフローゼ症候群の原因疾患
二次性ネフローゼ症候群は自己免疫疾患,代謝性疾患,感染症,アレルギー・過敏性疾患,腫瘍,薬剤,遺伝性疾患などに起因して発症する
・自己免疫疾患:ループス腎炎、紫斑病性腎炎、血管炎
・代謝性疾患:糖尿病性腎症、リポ蛋白腎症
・パラプロテイン血症:アミロイドーシス、クリオグロブリン、重鎖沈着症、軽鎖沈着症
・感染症:溶連菌、ブドウ球菌感染、B型・C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パルボウイルスB19、梅毒、寄生虫(マラリア、シストゾミア)
・アレルギー過敏性疾患:花粉症、蜂毒、ブユ刺虫症、ヘビ毒、予防接種
・腫瘍:固形癌、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、白血病
・薬剤:ブシラミン、D-ペニシラミン、金製剤、非ステロイド性消炎鎮痛薬
・遺伝性疾患:アルポート症候群、ファブリー病、ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)
・そのほか:妊娠高血圧腎症、放射線腎症、移植腎(拒絶反応、再発性腎炎)

ネフローゼ症候群の症状

・浮腫(眼瞼や下肢)、強度の全身倦怠感、皮膚の蒼白化や無気力、食欲不振、腹水・胸水・血尿、など。

・主に、アルブミンなどの血中タンパクが排泄されるため、血中タンパクが減少し、血漿膠質浸透圧が低下する。このため、全身に浮腫を形成する傾向が現れる。

・また、尿中タンパクが増大するため、尿の浸透圧が増大し、尿細管における水の再吸収が抑制され、一過性に利尿傾向となる。

・この遺失タンパク分を肝臓が補完しようとするため、肝臓がアルブミンの合成を開始するが、同時にLDLのようなコレステロール運搬タンパクも合成してしまうため、高頻度に脂質異常症の状態をみることがある。

・長期の利尿期間を経て、腎臓の病態が改善されず、高度に腎不全の状態を呈し始める時期には、乏尿となる。

 

成人ネフローゼ症候群の診断基準 (ネフローゼ症候群診療ガイドライン2020)

1 蛋白尿:3.5 g/日以上が持続する.
(随時尿において尿蛋白/クレアチニン比が 3.5 g/gCr 以上の場合もこれに準ずる)

2 低アルブミン血症:血清アルブミン値 3.0 g/dL 以下.
血清総蛋白量 6.0 g/dL 以下も参考になる.

3 浮腫

4 脂質異常症(高 LDL コレステロール血症).

注:
1)上記の尿蛋白量,低アルブミン血症(低蛋白血症)の両所見を認めることが本症候群の診断の必須条件である.
2)浮腫は本症候群の必須条件ではないが,重要な所見である.
3)脂質異常症は本症候群の必須条件ではない.
4)卵円形脂肪体は本症候群の診断の参考となる.

 

治療

・細胞外液量は増加しているため、原則として補液は不要。ただしネフローゼ急症(nephrotic crisis)といわれる高度の血管内脱水によるショック時には、生食やアルブミン製剤投与が必要。
・原因治療:二次性(続発性)のものは原因疾患の治療を行う。
・食事療法:塩分制限(1日5〜7g)、摂取カロリーは35kcal/kg(標準体重)/日
・浮腫に対して対症的にループ利尿剤、尿蛋白抑制のため抗凝固薬を使用することがある。
高度の浮腫・肺水腫・呼吸不全や、血管内脱水による急性腎不全を呈した場合には一時的に透析療法を行うこともある。
・薬物療法:副腎皮質ステロイド。症状によりステロイドパルス療法も有効とされる。
・ステロイド抵抗性や頻回再発型に対し、免疫抑制剤(ミゾリビン)を投与する(併用の場合も)。

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